【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

成長戦略 | 技術伝承 | グローバル | 改善改革 | コストダウン | 等 プロジェクト現場から最新情報やお役立ち情報をお届けします。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 牛奥 修三

先般、異業種交流会にて、群馬県前橋市に拠点を置く通信機器メーカーである株式会社ナカヨ様の工場見学に行って来ました。
今回のテーマは、「
IoTによる製造現場の革新」です。

 同社は、1944年に中与通信機製作所として設立後、情報通信機器の開発、製造、販売、環境及びエネルギー設備関連機器、関連商品の製造、販売を事業としています。

2014年に株式会社ナカヨに社名を変更後、ものづくりサポ
ートにも力を入れ始めました。70年以上の通信機器製造に裏付けされた高品質な“ものづくり”をもとに、一歩先を行く最適なソリューション提案を行っています。また、IoTが昨今のように話題になる前から、自社工場の見える化に取り組み、様々な施策を行ってきました。マウスに使われているセンサーを取り外して利用することで、ライン稼働の可視化を試行錯誤したこともあるそうです。見える化の画面に関しても、現在でも見やすく、比較も容易ですが、さらなる改良に努めていらっしゃいます。
確かな技術
力とサポート力はもちろんのこと、一番感銘を受けたのは、改良に取り組む姿勢や、可視化したデータを全社で共有し、次に繋げるという体制です。朝礼等の打ち合わせの場には、毎月の改善活動内容をまとめた社内報や、収集されたデータが様々な角度・視点で検討できる状態に加工されて掲示されていました。改善活動の打ち合わせの様子も拝見しましたが、見える化が目的なのではなく、現場の改善や、生産性の向上を目的に取り組む姿勢が社内風土として定着していると強く感じました。
今回のテーマである「
IoTによる製造現場の革新」の本質を見た気がしました。

夜は、異業種交流会のメンバーと工場の方々とで懇親会が行われ、おいしい料
理と一緒に、群馬の地酒である水芭蕉、谷川岳、赤城山を頂きながら、(銘酒を飲み比べというには、多すぎる?量ではありましたが楽しくおいしく頂きました。)現場改善力や気づき力を持った人材の育成に対する熱い思いを聞かせていただきまた。さらに脱線したお話もいくつか聞かせて頂き、いろいろな意味で魅力的な企業だと感じました。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 古谷 賢一

 コンサルティングを行っていると、改善活動に消極的な人が必ずいるものです。
消極的であればまだマシな方で、積極的に否定をする人もいるのが現実です。
しかし、あるタイミングをきっかけにガラっと考えが変わり、改善活動に積極的な姿勢へ転じることもあります。そういう瞬間に出会えることは、コンサルタント冥利に尽きる思いです。

 ある会社での印象的な出来事を紹介しましょう。
 規模の大きな化学メーカー
で現場の5S活動を行った時の事例です。業界でもトップクラスの生産を誇る工場でしたが、それに満足することなく、さらなる競争力の強化を目指して、ものづくり力の基礎体力を徹底して強化するべく5S活動に取り組んだものでした。しかし、足もとの職場を見ると、紙袋に入った粉体や、ドラム缶に入った液体などを多用するために、特に設備の周辺は、垂れた液まみれ、舞い散った粉まみれのひどい状態でした。長年そのような職場であったので、工場で働く多くの人たちにとって、それは”普通の姿”でしたので、誰も問題とは思わない状態でしたが、コンサルタントが指摘を繰り返すことで「これではまずい」という意識が芽生え、活動が進むにつれて現場が徐々に綺麗な職場へと変わってゆきました。

 しかし1箇所だけ、改善に後ろ向きの職場があったのです。設備の至る所から、水や蒸気、そして処理中の液体が漏れている職場だったので、コンサルタントは「まず、この設備を綺麗にしませんか?」と提案したのです。しかし、その返答は「綺麗にしても、どうせすぐ汚れる」、あるいは「設備のあちらこちらが老朽化しているが、修理の予算も無く、このままでしかたがない」と言ったもので、なかなか動いてはくれませんでした。

 そうしているうちに他の職場は、どんどん活動が進み、見違えるように綺麗になり、同時に生産性や品質にも改善の兆しが見えてくるので、問題の職場だけが取り残されるような状態になってしまいました。ところが、周囲の変化に危機感を覚えたのでしょうか、ある時、操業が無いタイミングを活用して、その職場のメンバーが自主的に、とにかく設備をピカピカにしようと立ちあがったのです。そのあと少ししてからコンサルタントが訪問をした時、その職場のリーダーがやってきて、「設備とその周辺を綺麗にしてみました、すると、どこから液が漏れているかはっきり分かりました」、そして「一番漏れが激しい箇所も分かったので、今期、その箇所だけは修理をしてもらえるようになりました」と喜んで報告をしてくれたのです。

 コンサルタントが、設備を綺麗にしたらと提案した理由は、ただ綺麗にするのではなく、綺麗にする事で、汚れや漏れなどの異常個所が分かりやすくなり、それによって設備保全にむけた行動を促したいと考えたのです。汚れまみれの設備では異常が見えにくいために改善活動の手が動かないのです。この職場では、コンサルタントが狙っていたことを、彼らが自ら行動したことで気付いて頂いたのでした。その後、その職場の設備が再び汚くなることはありませんでした。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

 前回は機械学習における学習プロセスとして、教師あり学習、教師なし学習、強化学習という3つの考え方について触れ、その中で「教師あり学習」をご紹介しました。今回は「教師なし学習」についてご紹介していきます。

「教師あり学習」が、正解がある情報をベースとしてモデルを作成するのに対して、「教師なし学習」については、正解とみなす要素がないデータ群から、何らかの特徴や関係性を見出しモデル化する方法となります。最近では、すっかり見聞きすることが少なくなった「データマイニング」手法が活用される領域となります。オーソドックスな統計手法でいうと、「クラスタリング」や「主成分分析」といったものが適用されます。ここで、居酒屋でのメニューの売上分析を行なっている場合を想定してみましょう。定番メニューである枝豆、冷奴、メインどころの各種魚料理、肉料理類、ご飯もの、デザート、もちろん各種酒類といった感じでしょうか。お客さんの会計毎に、注文されたメニューを分析すると、日本酒と烏賊塩辛が同時に良く注文される、酒量と関係なく枝豆は良く出るといった特徴や関係性が見出されます。こういった手探り状態から、何らかの特徴、関係性を見出していくことが「教師なし学習」です。ここで得られた関係性をもとに、更にその関係性に何が影響しているのかといったことを「教師あり学習」で因子分析を行なっていき、効果的な販促等に用いていきます。この分野での有名な話として、ホームセンターにて缶ビールとおむつの売行きに相関があり、その要因を調査分析したところ、奥さんからおむつの買い物を頼まれた若いパパが、ついでに缶ビールを買っているということが売上データから判り、その結果をもとにおむつ売り場の近くに缶ビールを置くようにして、缶ビールの「ついで買い」で売上を伸ばしたという事例があります。おむつと缶ビール売上の間に相関があるからといって、缶ビール売り場の近くにおむつを置いても、おむつの「ついで買い」を誘発することは期待出来ず、相関分析に留まらず、その先の因子分析等が重要となってくることが判ります。

さて、今の世の中、クレジットカードでの支払や各種ポイントカードの利用が当り前となっています。上記では居酒屋でのメニュー別売上げ分析という形で話を進めましたが、ここに個人情報もリンクさせることが技術的には可能となってきています。酒 類や食品に関する趣向や摂取量といった情報を連係させることにより、その人が注文しそうなメニューや、はたまた病気リスク等も勝手に診断されるような世の中になっているんでしょうね。更に言えば、いたるところ監視カメラが設置され、画像認識技術も向上しているので、カードを出す前から個人が特定され、注文する前から料理の仕込が開始されるなどということもあり得る世の中だと思います。これから年末に向けて飲み会も増えることかと思いますが、飲み過ぎて羽目を外し、居酒屋グループのブラックリストに載ることだけは避けたいですね。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部事業部長 森岡 琢


前回(第3回)では「タマの事業化戦略」(パート1:戦略検討与件の明確化)について解説しました。

戦略検討与件の明確化とは、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈を行うこと。
具体的には、
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析
といった活動を行うことになります。
戦略検討与件を明確化した上で、戦略を構想するわけですが、難しく考える必要はありません。
押さえるべきポイントは3つしかありません。
・誰に(Who)
・何を(What)
・どうやって(How)
提供するのかを考えることです。

「誰に」とはつまり顧客の定義です。具体的な顧客名をすぐに挙げがちですが、そうではなく「どんな課題を持った企業(or個人)なのか?」という問いかけをもとに顧客を定義します。一般的に顧客とは自社にお金を払ってくれる企業(or個人)と定義できますが、顧客の顧客、さらにそのまた顧客とは?まで定義づけておくと、ビジネスの全体像が見えやすくなるでしょう。

「何を」とはタマを活用した製品なりサービスなりソリューションを指します。タマそのものが商材になる場合もありますが、上記でも触れたように顧客の課題を解決できるような「状態」に姿を変えて提供する必要があります。前回解説した受容性調査の結果もふまえて、「タマ」を「商材」に変える行為と言えます。

「どうやって」とは単にデリバリの方法を指すのではありません。川上から川下までどういうバリューチェーンを構築して商材を顧客に届けるかというビジネスデザインを行います。バリューチェーンの日本語訳は価値連鎖と言う通り、川上から川下に進むごとに(付加)価値が積み重なることになります。競合優位に立つにはその価値が競合より「相対的」に大きくなる必要があります。ゆえに戦略与件の明確フェーズで競合企業の実態調査が必要となるのです。
いま、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを考えることについて説明しましたが、戦略構想のうえでは、実はもう1点大切なことを考えなくてはなりません。それは「どうやって儲けるのか?」ということです。顧客は(付加)価値の大小だけで選ぶわけではありません。最終的には価値と価格のバランスをみて選ぶことになります。誰に支払い、誰から支払ってもらうのか、バリューチェーンの設計とあわせて収入・支出モデルも描くことにより、戦略と呼ばれるものが仕上がっていくことになります。

最後に「新規事業のバリューチェーン構築」について解説します。前述した「どうやって」を検討する際、自前ですべて揃えることは困難なことが多いのが一般的です。新規事業であればなおさらのことです。「新規事業のバリューチェーン構築」には、将来的なM&Aも含めたアライアンス・提携といった柔軟な発想が必要です。
どの領域でアライアンスや提携が必要なのかを検討する際のステップを簡単に記します。
1. バリューチェーン毎に具備すべき要件を抽出する(当然複数の要件が存在する)
2. 各要件毎に自社の具備度合いを評価する
3. 具備していない要件を自前で獲得する場合の難易度を評価する
4. 具備していない要件のインパクトを評価する(その用件が差別的かどうか)

このプロセスを経て、「要件の具備難易度が高い」かつ「要件を具備した場合の差別性が高い」領域にて優先的にアライアンスや提携を検討するとよいでしょう。
今回は以上になります。
次回(第5回)はいよいよ実践フェーズである「市場創造・顧客開拓」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

前回は、ゲストとしてお招きした食品会社の活動事例を掲載しました。
今回は、某事業所の取り組みをご紹介いたします。

 
<その2>某事業所の取り組み

某事業所所長時代

東日本大震災(2011.3.11)でこの事業所は終わりかなと思った。(この時は前任の所長)

数百億円、1年かけて工場を建て直した。社員も仕事を失わず、一瞬モチベーションもあがった。

直ったのは表面的だけで、潜在的に残っている問題がある。だんだん疲弊してきた。

2013年から自分が所長になった。震災を経験していない者が言っても、ダメ。

1年間、何も言わずに、話を聞いた。

「時間がない」「人がいない」「疲れてる」・・・何か変えてあげたい。

外部活用をいろいろ検討したが、今回はJEMCOに働き方改革を頼んだ。

きっかけは、現場の人たちを少しでも楽にしてあげたいという事から始めた。

①労働時間を減らそう。どうすればいいか?考える時間がない。

そこで、会議を減らした。

・目標で30%減らす

・会議の参加者を減らす

・会議の構成を変える

事務所方は時間が減ったなと実感した。

 

②アンケートをとる

会社が

・良い1割

・悪い1割~2割

・分からない7~8割

「分からない」は、言いたい事はあるが言えない。隠している。

会社に言えないのであれば、第三者(ジェムコの大西さん)に聞いてもらう。(コーチング)
聞いてもらうと人は楽になる、会社での会話も増えてきた。
自分たちの“夢”を共有化してもらいたい。

<コンセプト>

・仕事を減らすのは美徳

・なんでも言える風土

 

課長の下のキーマンを探して、職場の不満を色々ジェムコの大西さんに聞いてもらう。

大西さんから提出されたレポートを見ると、匿名だが誰だか想像がつく。

課長もそれを聞いて、どうしたらコンセプトに繋がるか、課長とキーマンで仕事を変えていく。

期限とか効果、目標を自分たちで決めてもらう。

・自主性を持たせる

・やらされ感を持たせない

・責任は問わない(責任はすべてトップが負う)と明言する

・揉め事を課長が中に入って解決する

・仕事をゼロから見直した

・お金(予算)をつける(好きに使ってよい。使った結果だけ、報告する。)→やる気を促進

【活動の全体イメージ】

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<方針が通るということが経験できた>具体的には?

・自分が現場に飛び込んでいく

・3ヶ月に1回/年4回 班ごとに(10名程度)話をする→2年間行った

・自分から現場(職場)に足を運ぶことで、コミュニケーションをとれた 

現場は安全第一。上からたたかれる。職場の中の先輩には口がきけない。怖い。

・若手に主体性を持たせる

・中堅クラスが仕切ると若手が何も話せない

・ミーティングでも若手を主体におこなう 

工場の基準はだんだん厳しくなるが、自己サイドで改善してもよいという部分に着手すると隠れている改善のポイントがでてくる。


次回は、
自動車ディーラーでの営業マンの成績向上事例をご紹介します。

文責:ジェムコ日本経営 営業部

今回は報告会からのエピソードというよりも、我々営業部隊が日々感じていることについて少しお話してみたいと思います。 

少し前の話題になりますが、2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子さんが金メダルを取りました(もう17年も前のことなんですね・・・時が経つのは早い)。ずいぶんと興奮した記憶があります。おそらく、高橋選手に憧れて多くのアスリートが奮起した事でしょう。陸上に携わる者であれば、オリンピックの舞台は究極の目標のはずです。 

しかしながら、誰もが高橋選手のようになれるかというと、そうはいきませんよね。高橋選手は、練習量の多さが有名ですが、おそらく、基本的な大部分の練習メニューは、他のアスリート達が行っているものと大差があるものではないはずです。でも、なかなか高橋選手のようにはなれませんよね。恐らく、高橋選手の強みは基本的なこと(ある意味あたりまえのこと)を確実に且つ、執拗に「やりきる力」がある事にあるのであろうと思います。 

我々営業部隊がジェムコ日本経営を理解頂くことに苦労するところは、正にこの執拗に「やりきる力」を伝える所にあるのだろうと思います。 

モノづくりの世界で言えば、例えばトヨタの生産の仕組みについては、今では深く研究もされ、実際に取り入れている企業は多いはずです。ですが、すぐにトヨタと同じ様なパフォーマンスはなかなか出ないことも多いようです。 

すり合わせ理論で有名な東大の藤本隆宏教授の著書「日本のもの造り哲学」の中に、「トヨタの生産現場の仕組みの大半は、テーラー主義や古典的な官僚制論、あるいは経営プロセス論といった百年近く前の経営学で説明できてしまうようにさえ思います。(中略)シンプルな経営原則を全員で首尾一貫して行っている。そこにこそトヨタの強さの本質があるがある。」との一節があるますが、つまり強い会社は、基本ができているという事なのだと思います。 

もちろん技術や手法、最新のツール(IT等)は重要ですし、効率化に大いに貢献しますが、ことの本質は「やりきる力」「基本」にあるのだろうと思います。

例えば、コストを作りこんでいく事に、目のさめるような技法や、魔法の杖があるはずも無く、ある意味当たり前のことを確実にやりきることこそが重要なのかもしれません。
つまり我々のご支援は、ある意味当たり前にやるべきことを、時間や色々な制約がある中で「どのようにマネジメントして確実にやりきって頂くか」ということとも言えます。(それ故に、マネジメントコンサルタントといいます)もちろんコンサルタント会社ですから最新の技術や手法もご提供できることは、大前提です。 

「知っていること」「やっていること」と「出来ていること」の間には深く、且つ大きな川が流れています。どうやったらこの川を渡って頂くご支援ができるのか・・・。

これが非常に厄介なところで、この点の訴求が中々難しい所です。 

日々このような事を考えつつ、色々な方々とお会いしながら悪戦苦闘している毎日ですが、色々なお考えをお伺い出来るので、とても楽しく、刺激のある仕事であります。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 古谷 賢一

コンサルティングを行っていると、大企業であれ中堅企業であれ、とても悩ましい状況に陥ることがあります。このコラムでは、“隣の工場”で身近に起こった事例をモデルにして、どのように事態を打開していったのかを紹介したいと思います。

 例えば、改善活動を推進しようとしても、現場があまり乗り気にならず、改善活動への逆風が吹き荒れることがあります。「忙しいのに、改善活動をすると、さらに忙しくなる」、あるいは「改善活動って、しょせんは会社が儲かる話で、俺たちには何の得にもならない」、さらには「改善活動って、人減らしでしょう? 自分が不要になるようなことを誰が喜んでやりますか?」と言った言葉は、決して珍しいものではありません。

 ここで紹介するX社も、そのような声が渦巻く悩ましい職場でした。X社は金属加工を生業としており、全国規模の大企業ではありませんが、その地域では中核的な存在の会社でした。しかし、職人気質の従業員が多く、自分達の作業が一番だという自負もあり、改善や改革と言う言葉にはずいぶん抵抗がある職場風土でした。

 同業者が競争に切磋琢磨しながらレベルアップをしているなかで、市場の厳しさを肌で感じていた社長が、工場の改善取り組みの必要性を訴えるものの、現場の反応はまさに上記のような言葉が返ってくるばかりでした。改善を得意とするコンサルタントが、社長の助っ人役を仰せつかり、最初に工場を訪問した時も同じで、社長が席を外した途端、社長批判が続出して話しあいには程遠いものでした。

 しかしコンサルタントが根気よく、現場の人たちの話を聞いていると、今まで改善活動というと“おしつけの活動”ばかりであり、“自分達が苦労する事はあっても、改善で楽になることはなかった”という本音が見えてきたのです。そこで、コンサルタントは社長と密な話し合いを持ち、従来の改善での良くない記憶を払拭させて、前向きな職場を目指すことが重要だとの合意を得たうえで、現場に対して「改善活動とは、そもそも、作業する人が楽になることだ」と言うメッセージを発信しました。作業が楽になれば、結果として作業性も高くなるからです。

 “面倒な仕事は減らしましょう”、“身体に負担のかかる作業は減らしましょう”、“複雑な動作を簡単な動作に変えましょう”、そういうスローガンを掲げて、現場の人たちに実例を繰り返し体験してもらうことで、頑なだった現場の意識が変わり始め、その後、改善活動に弾みがつくようになりました。改善への道のりには時間がかかりましたが、それまで短期成果を追い求めるあまり、現場の意欲を大きく削ぎ落していたことが、この会社の反省点であったのです。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

ドラエモン開発のコンセプトを「人の生活を楽にする」としました。AIを搭載したドラエモンは世間の情報をSNS経由等で収集して、形態素解析等を通して困り事に関連した単語等を分類・整理していきます。ここで、ひとつ開発者サイドとして、悩ましい事柄が発生します。果たしてSNS上のあらゆる情報をそのまま読み込ませてしまっても良いものでしょうか?ご記憶の方も多いかとは思いますが、中国IT企業の対話プログラムにて「中国の夢は米国への移住」などと、中国政府にとっては好ましくない発言を連発したり、米国IT企業の対話プログラムは米国では最大のタブーである人種差別発言をしたりと、全てをAI任せにはできない面があります。映画の話になりますが、「チャッピ-」(2015年)ではギャングに育てられた?AIがギャングの行動規範で動くようになってしまいます。

ここで、AIがどのように学習をしていくかということに関連して、教師あり学習-教師なし学習-強化学習という3つの機械学習に関わる考え方について触れておきたいと思います。

まず「教師あり学習」ですが、簡潔に表現すると「正確とみなす情報があるデータを基準にモデル化」する方法です。例えば、住宅価格を求めたいとき、住宅の広さ、間取り、住所、駅からの距離、周辺の施設、等々と住宅価格のデータをもとに住宅価格算定モデルを作成するようなイメージです。この例の場合であれば、従来からあった多変量解析と同様な手法と言っても良いかもしれませんが、コンピューターの性能アップで膨大なデータに対しても処理できるようになったとともに、随時新たなデータを取込んでモデル修正を行なっていける部分が従来の多変量解析から機械学習が進んだ部分と言えます。第3AIブームの火付け役のひとつの事象であるGoogleが画像処理と深層学習でネコの画像を認識させることに成功したのも、「これはネコだ」といって数百万枚のネコの画像を読み込ませて、ネコの特徴からネコを判別できるようにしたからですが、これも教師あり学習にあたるものです。「ネコ」ではなく「ネズミ」としてデータ入力していれば、ネコの画像をネズミとして回答するようになっていたはずです。このように書くと当たり前と思われるかもしれませんが、次のような場合はどうでしょうか?ある研究機関で人の遺伝子情報からある病気との関連性をAIを活用して研究していましたが、人間だと思って取り扱っていたサンプルの中にイヌのものが入っていたようで、あやうく狼人間の研究をするところだったという笑えない話もあります。ここにも、まだまだ、恣意的ではないにしてもAI任せにする訳にはいかない例がありますね。健康診断用のサンプルにペットのものを出した記憶がある読書の方はいらっしゃいませんか?

教師なし学習と強化学習については、次回以降に記載させて頂きます。

文責:ジェムコ日本経営 営業部

会議室のドアを開けてメンバーが入ってきた。

5ヶ月間のコーチング研修を終えたメンバー一人ひとりの足取りと視線は、自信にあふれているとすぐにわかりました。

 

私達コンサルタント会社は成果を必ず求められます。

定量的な数字は成果の結果とし評価される重要なファクトとして扱われますが、コーチング研修などでは定量的な成果は見えづらく、私達としては評価がどう下されるのか、とても緊張する場面です。

「始めたころと何一つ変わってない」と言われてしまえば、それで終わってしまいます。

でも、私達の想いはメンバーが席に着く前に全て吹き飛びました。 

研修の目的は、「自律的に変化を生み出し組織に進化をもたらす」ことで、自らを活性化させ、周囲に影響力を発揮する次世代の人材を育てることにあります。

5月上旬に部内全体で集合研修を行いその後、選抜メンバーを対象に個別コーチングを実施、本日の最終回は全員でお互いの心情を共有し振り返る報告会です。

 報告会は本部長も出席しており、これまでお互いがどのような個別コーチングを受けてきたのか分からないので、メンバーは少し不安と緊張している面持ちです。その状況は集合研修と同じでした。

しかし、大きく変化していたのはメンバーの行動。コンサルタントが「振り返りのコメントをお願いします」と切り出すと、誰からともなく話し始めたこと。始まったころは、「○○さんお願いします」と発言を促されるのを待っている状態でした。

私は、この短期間にいったい何が、彼ら変えたのだろう?その答えは彼らの迷いのない振り返りコメントで理解しました。 

人は日常生活の中で必ず他人との接点ができ、様々な情報や価値観が入り、自分の感情に影響をあたえられます。誰しも感情の影響を直接的に受けないように、無意識のうちに自分の周りに膜をつくり身を守ろうとします。

ちょうど紫外線から地球を守るオゾン層のようなもので、私はこれを「Mind Block」と呼んでいます。

Mind Blockの内側にいれば安全で安心して過ごせます。ただし成長はしません、さらに自分の意識を塗り変えてしまう副作用も起こります。

意識の塗り替えとは、他人からの影響を極力受けないように、自分の「本当の思い」に嘘をつき「思っている」と思い始めてしまうことです。

この副作用が起きると、本当の気持ちが分からなくなり、混乱し葛藤が始まります。混乱と葛藤を抑えようとして膜を重ねて厚くして閉じこもるようになります。これを「心が乱れている状態」といいます。 

彼らは、まず「心を整える」ことから始めたそうです。その方法は一人ひとり違いますが、共通していたことは職場以外でも自分の小さな感情の変化を意識し一日を振り返る行動です。

感情が乱れる時は自分の心が乱れている時。小さな心の乱れが、なぜそうなったのか、どうすれば心を整えられるのかを意識する。

それを個別コーチングで言葉に出してコンサルタントと話し合う。次はこうしてみたいとかコミットしながら実行して失敗と成功を繰り返しながら習慣化したそうです。 

心を整える習慣をつけることで、自分が「本当に思っていること」へ素直に向き合えるようになり、さらには相手の気持ちに寄り添えるようになったと、メンバーは口をそろえて振り返っていました。

メンバーの自信に満ち溢れた姿は、自分の周りを取り囲んでいたMind Blockが消えた証、迷いのない発言は、自分の気持ちに素直に向き合えるようになったから、私はそう理解しました。 

人の行動は自分が思っていることが顕著に現れます。行動を習慣づけることは質が高まります。そしてその行動は周囲の人に変化をもたらし影響を与えていくことになります。

報告会の最後にメンバーは行動を習慣づけるために何をするのか、コンサルタントと一人ずつ握手をしながらコミットしました。その言葉には熱い魂が入っているとても印象に残るコミットでした。

会議室を出る姿からは、ワクワクした気持ちが伝わってくるものでした。


文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

本日開催の趣旨

本日は、お忙しいところありがとうございます。世の中では「働き方改革」と称して残業規制や、女性活用などの制度作り、ルール作りに取り組まれていますが、本質的な部分が置き去りにされているようです。本日、ゲストとして某食品会社の社長と元某石油会社の製油所長にお越しいただき、本質的な部分をお聞きしながら、皆様でディスカションをしたいと思います。 

1.ゲスト2社の取り組みについて

<その1>某食品会社・M氏の取り組み 

2年前に社長就任した時

・女性社員や派遣社員がトイレを使用できないなど、いろんな事があり、理由が突き止められないような中身だった。

社員の中には、

「この人が嫌い」「絶対にしゃべらない」「一生許さない」

という人がたくさんいた。

いろいろな事が隠れている会社だと感じた。

原因として、

・親会社からの出向社員

・プロパーで入ってくる人(平均3~4社経験している)・派遣・パート

といろんな人がいる中で、自分がよければいいという考えが中心となり、人との関わりが薄いく、陰口・噂話が多くなった。

どうやったら一人ひとりが幸せに働けるか?

会社の売上を上げるには、自分たちの商品で幸せをお客様に与える事。その為には、働く人が幸せである事が前提になる。

一人では解決できない、色々な事がでてくることから、広野ゆい氏(ご本人も発達障害で、同じ障害を持っている人達の支援をしているコンサルタント)に相談した。

会社の中に、

コミュニケーション障害と言われる、得意先で挨拶ができない、名刺交換ができない、人と同じ事ができない人たちがいた。これは、能力が低いわけではなく、障害である。

・普通の人と病気の人は白と黒ではない。完全な人はいない。ほとんどが灰色であって、度合いが違うだけ。 

まずは、役員、部長、全社員、全パートを集めて研修をしてもらった。

楽しそうに話しているのをみて、自分の中の思いこみが強かったと感じた。(この人とこの人は仲がよくないのでは?等)

研修終了後、一人ひとりの価値観を大切にしたいと思い、これまでの2年間は、お昼を役員だけで食べていたが、この事は、“縦の関係はフラットだ”と言いつつも、役員だけで食事をしているのは、下からみたら間逆の事。

派遣社員が辞める理由に、

・いじめられる

・陰口言われる

・トイレも使えない

・お昼に45分も休めない、休む場所もない

と言われていた時に、その人の45分を大切にしたいと思い、自分が一緒に食べたら時間を邪魔し、緊張させてしまうかもという考えだったが、

現在は、事前に確認をしたうえで、違う人達と一緒に昼食を食べるようにした(理想の理想「今日いやです」と言える会社)結果、「皆も呼んで食べましょう!」と言ってくれるようになった。「お昼一緒に食べていいの?」 と言うと、「そんな事思っているのは社長だけですよ。」と言われ、

あらゆる事に対して自分が目指している姿と、自分のやっている事は一致しているのか見つめ直した。 

各部署で5~6人のグループに分かれて、皆で会社を良くするには?とディスカッションをした。

全員が明日から自分が毎日すること(目標)・行動することを決めた。

(自分がお昼を皆と食べるのも、この活動のひとつ)

1か月に1回:できたか・できなかったか確認しあう 

一人ずつの目標を出してもらっているで、

明日からの行動で一人ひとり何をしましょうといった時には、もの凄く意識を持つ。 

自分も言っているので、破るわけにはいかないし、辛そうにやっている姿を見ているので、

皆もやらないわけにはいかないし、習慣化した時に気持ち良くなってきている。

Q:変化は見られるか?

徐々にだが、最初は否定した人達もだんだん変ってきている 

一部の部署では、

毎朝“ハイテンションで、全員でハイタッチ”を行っているが、習慣になっていて、ものすごく明るい。でも、逆に、他の部署との距離はあいていく・・・。

原因は、自分がその部署と一緒にハイタッチをしていなかったから、そのように周りから見られる。 

と思い、今は一緒にハイタッチを行っている。

男性は男性、女性は女性でお昼を食べるのが習慣になっている。

その中、皆で仲良くしようと、ある男性と女性が一緒にお昼を食べていたら、ネットに書き込みをされ、結局、男性は男性、女性は女性でお昼を食べる元の形に戻った。

そこで、後日、2人と一緒に食べたが、会社の雰囲気は自分がどう動くかで変える事ができる。と感じた。 

問題がある人とは何十時間も関わって話をするが、この事は、社長は問題がある人たちとは話すが私たち(普通の人)とは話さない。

時間に対しても平等にしなければならない。

目指す会社とは程遠いし、何がどう変わっているか分からないが、

行動ではなく“気持ちでどう動くかが大切”

高度経済成長時代の

・給料が上がる・いい家が買える・いい車が買える、ことだけを求めていた時代とは違い

一人ひとりの価値観、何を求めているのか何を本当に幸せと思っているのか、

時代に一番あっているのは、若い人たちほど、時代にあっているし、一番進化を遂げているのは若い人。

これからの時代、どうしていくかをみんなで考えながらやっていこうという取り組みをしています。 

【モデレーター】

よく言われることだが、7歳違うと価値観は合わないと思ったほうがよく、世代間のGAPがある。

私の年代(60歳前後)が境目で、高度成長時代に理不尽な事を言われても、泣きながら仕事をやってきた“プロジェクトX”の世代。“根性”と“度胸”、で行ってきたマネジメントは、通用しない。 

我々の世代がまだおさまっているので、マネジメントをなかなか変えられない。良き時代でのマネジメントを身に付けた人達がまだまだいる。我々の時代は、合理化、コストダウン、IT化での効率化を徹底してきたので、コミュニケーションが減った。内部統制とかISOとかで、失敗させない仕組みを作ってきたので、チャレンジしない風土を作ってきてしまった。

          無題


毎日のように企業様から相談をもらう。特に、大手企業の方が悩みが深いようだ。

           無題1

次回は、某石油会社の取り組みをご紹介いたします。

文責:ジェムコ日本経営 営業部


我々コンサルタント会社にとっての報告会とは、そこですべてのコンサルティングの評価が下される緊張する場面です。メンバーとは血のにじむ思いで頑張っても報告会でトップから「こんな内容じゃ評価できない」と言われてしまえば落第点になってしまいます。

過去には、ある楽器メーカーの社長から「エクセレント。感無量」という言葉を頂いた感動的シーンもありました。 

今回ご紹介するのは、技術力の高い高収益体質の電子部品メーカーでの報告会です。

この会社は、高い技術力はあるのですが、謙虚すぎて「せっかくのブランド力が活かされずもったいない」と言われており、会社名も知る人は知るという感じで、新卒の採用にも困っていました。

そこで、外に向かって訴求する力をつけようということで広報を中心としたコンサルティングを展開し、今回の報告会となりました。主な発表の内容は次のようなことです。

まずやったことは、プレス発表会です。雑誌・新聞社の記者に会社に来てもらっての名刺交換からです。全員の記者が訪問は初めてで、多くの記者からは「名前は知っていたけど・・・」「こんな技術があるんだ」「これは話題性が高いですよ」など多くの反響を呼び、技術者インタビューの記事は複数社で無料での記事化を実現できました。これはのちに展示会などの集客にも効果を表しています。

展示会も上記の記事化に加え、製品をかたどった手ぬぐいが受けて、名刺の交換数が前年の4.5倍になり、トップの方々も驚いていました。たかが手ぬぐいですがユーモアがあり好センスのもので、営業からも使いたいという申し出があり、営業がサンプルをその上に置いて説明をしたのですが、顧客からは「サンプルよりこの手ぬぐいをください」と言われるほどだったそうです。発表会場の皆さんは大笑いしていました。 

今回は、雑誌の記事も外に向かってだけではなく、100周年に向けて社長から若手社員へのメッセージも含まれています。「常に期待に満ち溢れる未来を向いて、未来が来るのを待つのではなく主体的に未来をつくっていく積極的な風土をつくり、お客様の期待を100周年に向けて醸成しよう」というものです。

とても夢のある良い会社だとつくづく思いました。 

こうして、笑いの絶えない報告会が終了しました。コストダウンの報告会などでは、プロジェクトX的な「根性と最後まであきらめない覚悟で成し遂げた」というような感動的なものもあるのですが、今回は広報ということもあり、希望に満ちた楽しい報告会で好評価を頂くことができました。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第2回)では「新規事業のフォーカス領域」を選定(第1回)した後の、「新規事業のタマ(テーマ)出し」について解説しました。


テーマ領域


第3回と第4回の一部で、選び出した「タマの事業化戦略策定」について解説します。
事業化戦略策定は次の2つのフェーズから構成されており、今回は①の要点を説明します。

①戦略構想の与件明確化フェーズ
②戦略構想フェーズ

戦略構想の与件明確化とはつまり、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈に
あたります。

ジェムコでは具体的に次の3つの活動を通して、戦略構想のための与件を明確化しています。
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析

(1)競合企業の実態調査
新規事業領域で既に活動しているプレイヤーの事業実態を調査します。定量情報・定性情報を収集し、競合企業の事業実態から、事業特性や成功要因を探ります。

競合企業は、リーダー企業(フロントランナー)、チャレンジャー企業(対抗馬)、ニッチャー企業(独自ポジションを築いている企業)からバランスよく選ぶとよいでしょう。またあまり多くの企業を選び過ぎると調査が目的化してしまいがちなので、3~4社で充分です。

(2)タマの受容性調査(フィールドワーク)
これまでの過程で選び出したタマは、いわば机上で論じたものです。市場で本当に受容されるかどうかはまだ分かりません。その一次試験として、顧客候補やチャネル候補、学会の権威・有識者にタマをぶつけてみて客観的な反応やフィードバックを得ることで仮説を磨きます。(場面設定はジェムコでも支援しています)

この活動は困難も伴います。地道であるだけではなく、否定もされるからです。「特に必要ではない」「やめたほうがいい」という意見も当然出てきます。いきなり全肯定されるほど、新規事業は甘くありませんし、美味しいものもありません。ですがこの活動を行い、仮説再検証・再設定を繰り返すことで、タマが磨かれていきます。

(3)参入障壁分析
(1)(2)の結果もふまえて、新規事業領域への参入障壁を抽出し、個別の障壁の影響度を分析しながら、対応策・克服策を検討します。

これらの活動を通して、事業特性、顧客特性、製品(サービス)特性をしっかりと見極めて、重要成功要因を導き、それらの獲得方法を検討します。この獲得方法こそが戦略と呼ばれるものとなります。

今回は以上になります。
次回(第4回)は「タマの事業化戦略」(パート2:戦略構想編)と「新規事業のバリューチェーン構築についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

前回の本稿にてドラえもんを作っていこうという方向性?を記載いたしました。ドラえもんというと、「タケコプター」や「どこでもドア」などのツールをいろいろと出してくれるネコ型ロボットでしたね。もちろん、状況に応じて提供するツールを適時選択してくれるAI搭載型です。

とはいうものの、そもそもドラえもん自体がツールですので、ドラえもんを世の中に送り出す目的をまずは考えておきましょう。コンセプトを「人の生活を楽にする」としたとして、どういった人や場面で困っている人を想定しておくかも考えておきましょう。

ここでは原作に忠実に、特殊な技能や技術を必ずしも有さない一般的な人が、日常生活で起こりうる「ちょっとした困り事」の手助けを行なうようにしたいと思います。決して、金儲けのためのツールに活用されることが第一義とならないようにしておきましょう。目的がある程度明確になったので、次に具体的にドラえもんに備える機能を設定していきたいと思います。AI搭載型と言えども、AIが最初から何か考えて自身でプログラミングを作る訳ではありませんので、手始めに「一般的な人の日常生活上での困り事」として、どういうことがあるかを考えてみましょう。とっかかりがないとアイデアが出ないので、ここはSNSとかに投稿されている情報をスクレイピングという技術を使って拾ってみることにしましょう。きっと、泣いたり、汗かいたりしている絵文字やスタンプと一緒に出てくる文言や単語が困り事の可能性があるかもしれませんね。と、みてみると、「寝坊して遅刻しそう」みたいな投稿も多いですね。こうやって、どんどん情報を取込んで、AIに人間の困り事をインプットしていきましょう。とにかく、AIも基本的には統計の延長・発展系であることを考えるとデータが多ければ多いほど、より賢くなっていきますから。

ある程度困り事が集まってきたら、少し開発者サイドで内容を分類して解決策を検討して登録してあげないといけないですね。「遅刻」に対しては、天候さえ問題なければタケコプターでスイスイと空中を移動するのが早そうですね。でも、日本の航空法では勝手に空に物を飛ばしてはいけないのでした。規制緩和が望まれるところです

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第1回)では新規事業構想の最初のステップである「新規事業のフォーカス領域選定」について解説しました。

 テーマ領域

第2回では、選定したフォーカス領域での「新規事業のタマ(テーマ)出し」について、基本的な考え方を解説します。

新規事業のタマ(テーマ)出しのステップをシンプルに表すと以下のようになります。
①ニーズ分析
②シーズ棚卸・評価
③ニーズ×シーズ分析
④事業性評価

ひとつずつ要点を解説します。

ニーズ分析とは、フォーカス領域における市場ニーズ分析を意味します。分析手法としては、代表的なマクロ環境分析であるPEST分析を用いることが一般的です。ここでのポイントは、川上に位置する企業でも、PEST分析の対象は、川下、つまり最終製品まで視野に入れることです。
このステップで、今後、市場において想定される変化から、世の中で起こり得る問題やニーズを探索します。
次に、自社の技術シーズを棚卸し、競争力を評価します。技術シーズは要素技術まで分解し、研究開発領域だけではなく、製造・加工、品質管理まで範囲を広げるとよいでしょう。
評価にあたっては、さしあたっては自己評価でも構いませんが、外部リソースを活用しての客観評価・定量評価も行ってみるとよいでしょう。この時、技術シーズは、「コア技術」「コア技術ではないが保有している技術」等、メリハリをつけて分類してみてください。
ニーズ分析とシーズ評価が終わったら、ニーズ項目とシーズ項目でマトリクスを作り、機会領域(新規事業のタマ候補)を探索します。ニーズに対し、対応できる技術があるのか?コア技術で対応できるか?技術を保有していなければ技術開発の難易度はどうか?といった具合に複数のメンバーで意見を出し合いながら進めていくとよいでしょう。

こうして出てきた新規事業のタマ候補に対し、本当に取り組む価値があるか?取り組むことができるのか?という評価を行わなければなりません。いわゆる事業性評価です。事業性評価の手法もBMO法(市場性と適社性による評価)など一般に良く知られている評価手法をアレンジしながら進めていきます。この評価を通じて、複数ある新規事業のタマ候補の優先順位をつけ、これから取り組んでいくべき新規事業のタマを決定します。
以上が、「新規事業のタマ(テーマ)出し」のステップと要点になります。ジェムコでは、一般的な手法のみならず独自の手法を用いて、数多くの新規事業のタマ出し支援と事業化のお手伝いをしてきた実績がありますので、新規事業をご検討の際はぜひお問い合わせください。
次回(第3回)は「タマの事業化戦略」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

2001年宇宙の旅」という映画名をお聞きになった時、何を思い浮かべられるでしょうか? A SPACE ODYSSEYがバックグラウンドで流れるなか、類人猿が手にした骨を空高く投げやるとともに画面が宇宙空間へと移るオープニングでしょうか、それともあの独特の白を基調とした宇宙船の中のイメージでしょうか、あるいは何だか意味が良く判らない映画という印象でしょうか? 著者も最近までは前記のようなイメージでしたが、最近は「AIが登場する最初の映画」ということを意識するようになりました。(これ以前に、AIが登場する映画がございましたらご一報頂けますと助かります)

2001年宇宙の旅」が1968年に上映されたものであることを考えると、AIの概念が如何に昔から存在したかを感じることができます。ちなみに、この映画に登場するAIの名称「HAL」、アルファベット順で一文字ずらしてみて頂くと、「IBM」となります。

現在IBMが社運をかけてWATSONの普及を強力に進めているのも、決して偶然ではないと思います。

ここ2~3年急激に認知度が高まったAI、第3次AIブームと呼ばれています。毎日のようにAI関連の記事が必ず紙面を賑わわせ、10年後にはAIに仕事を奪われると、ヒヤヒヤ、ゾクゾクする日々を過ごしていますが、読者の皆様は、HALやターミネーターのような人間と仲良くお付き合いのする気のないAIについて思いを巡らせるのではなく、AIをどのように活用すれば新たなビジネスチャンス、あるいは今の仕事を高度化・効率化していけるかについてご検討されておられることと思います。1990年代からのインターネットの一般普及をはじめとしたIT化の進展が、時間と距離の概念を大きく変えたように、AIの進展により世界中の膨大なデータが複合的、有機的に加工されて、新たな意味を生み出すというデータの価値概念を大きく変える転機となるのではないかと思います。大量なデータにアクセスでき、処理する能力を有する企業、グループが圧倒的に有利な立場を築ける世の中になりつつあるのかもしれません。ターミネーターではなく、ドラえもんを作る人の育成に貢献していきたいと感じる今日此の頃です。



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