【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

成長戦略 | 技術伝承 | グローバル | 改善改革 | コストダウン | 等 プロジェクト現場から最新情報やお役立ち情報をお届けします。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 古谷 賢一

コンサルティングを行っていると、大企業であれ中堅企業であれ、とても悩ましい状況に陥ることがあります。このコラムでは、“隣の工場”で身近に起こった事例をモデルにして、どのように事態を打開していったのかを紹介したいと思います。

 例えば、改善活動を推進しようとしても、現場があまり乗り気にならず、改善活動への逆風が吹き荒れることがあります。「忙しいのに、改善活動をすると、さらに忙しくなる」、あるいは「改善活動って、しょせんは会社が儲かる話で、俺たちには何の得にもならない」、さらには「改善活動って、人減らしでしょう? 自分が不要になるようなことを誰が喜んでやりますか?」と言った言葉は、決して珍しいものではありません。

 ここで紹介するX社も、そのような声が渦巻く悩ましい職場でした。X社は金属加工を生業としており、全国規模の大企業ではありませんが、その地域では中核的な存在の会社でした。しかし、職人気質の従業員が多く、自分達の作業が一番だという自負もあり、改善や改革と言う言葉にはずいぶん抵抗がある職場風土でした。

 同業者が競争に切磋琢磨しながらレベルアップをしているなかで、市場の厳しさを肌で感じていた社長が、工場の改善取り組みの必要性を訴えるものの、現場の反応はまさに上記のような言葉が返ってくるばかりでした。改善を得意とするコンサルタントが、社長の助っ人役を仰せつかり、最初に工場を訪問した時も同じで、社長が席を外した途端、社長批判が続出して話しあいには程遠いものでした。

 しかしコンサルタントが根気よく、現場の人たちの話を聞いていると、今まで改善活動というと“おしつけの活動”ばかりであり、“自分達が苦労する事はあっても、改善で楽になることはなかった”という本音が見えてきたのです。そこで、コンサルタントは社長と密な話し合いを持ち、従来の改善での良くない記憶を払拭させて、前向きな職場を目指すことが重要だとの合意を得たうえで、現場に対して「改善活動とは、そもそも、作業する人が楽になることだ」と言うメッセージを発信しました。作業が楽になれば、結果として作業性も高くなるからです。

 “面倒な仕事は減らしましょう”、“身体に負担のかかる作業は減らしましょう”、“複雑な動作を簡単な動作に変えましょう”、そういうスローガンを掲げて、現場の人たちに実例を繰り返し体験してもらうことで、頑なだった現場の意識が変わり始め、その後、改善活動に弾みがつくようになりました。改善への道のりには時間がかかりましたが、それまで短期成果を追い求めるあまり、現場の意欲を大きく削ぎ落していたことが、この会社の反省点であったのです。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

ドラエモン開発のコンセプトを「人の生活を楽にする」としました。AIを搭載したドラエモンは世間の情報をSNS経由等で収集して、形態素解析等を通して困り事に関連した単語等を分類・整理していきます。ここで、ひとつ開発者サイドとして、悩ましい事柄が発生します。果たしてSNS上のあらゆる情報をそのまま読み込ませてしまっても良いものでしょうか?ご記憶の方も多いかとは思いますが、中国IT企業の対話プログラムにて「中国の夢は米国への移住」などと、中国政府にとっては好ましくない発言を連発したり、米国IT企業の対話プログラムは米国では最大のタブーである人種差別発言をしたりと、全てをAI任せにはできない面があります。映画の話になりますが、「チャッピ-」(2015年)ではギャングに育てられた?AIがギャングの行動規範で動くようになってしまいます。

ここで、AIがどのように学習をしていくかということに関連して、教師あり学習-教師なし学習-強化学習という3つの機械学習に関わる考え方について触れておきたいと思います。

まず「教師あり学習」ですが、簡潔に表現すると「正確とみなす情報があるデータを基準にモデル化」する方法です。例えば、住宅価格を求めたいとき、住宅の広さ、間取り、住所、駅からの距離、周辺の施設、等々と住宅価格のデータをもとに住宅価格算定モデルを作成するようなイメージです。この例の場合であれば、従来からあった多変量解析と同様な手法と言っても良いかもしれませんが、コンピューターの性能アップで膨大なデータに対しても処理できるようになったとともに、随時新たなデータを取込んでモデル修正を行なっていける部分が従来の多変量解析から機械学習が進んだ部分と言えます。第3AIブームの火付け役のひとつの事象であるGoogleが画像処理と深層学習でネコの画像を認識させることに成功したのも、「これはネコだ」といって数百万枚のネコの画像を読み込ませて、ネコの特徴からネコを判別できるようにしたからですが、これも教師あり学習にあたるものです。「ネコ」ではなく「ネズミ」としてデータ入力していれば、ネコの画像をネズミとして回答するようになっていたはずです。このように書くと当たり前と思われるかもしれませんが、次のような場合はどうでしょうか?ある研究機関で人の遺伝子情報からある病気との関連性をAIを活用して研究していましたが、人間だと思って取り扱っていたサンプルの中にイヌのものが入っていたようで、あやうく狼人間の研究をするところだったという笑えない話もあります。ここにも、まだまだ、恣意的ではないにしてもAI任せにする訳にはいかない例がありますね。健康診断用のサンプルにペットのものを出した記憶がある読書の方はいらっしゃいませんか?

教師なし学習と強化学習については、次回以降に記載させて頂きます。

文責:ジェムコ日本経営 営業部

会議室のドアを開けてメンバーが入ってきた。

5ヶ月間のコーチング研修を終えたメンバー一人ひとりの足取りと視線は、自信にあふれているとすぐにわかりました。

 

私達コンサルタント会社は成果を必ず求められます。

定量的な数字は成果の結果とし評価される重要なファクトとして扱われますが、コーチング研修などでは定量的な成果は見えづらく、私達としては評価がどう下されるのか、とても緊張する場面です。

「始めたころと何一つ変わってない」と言われてしまえば、それで終わってしまいます。

でも、私達の想いはメンバーが席に着く前に全て吹き飛びました。 

研修の目的は、「自律的に変化を生み出し組織に進化をもたらす」ことで、自らを活性化させ、周囲に影響力を発揮する次世代の人材を育てることにあります。

5月上旬に部内全体で集合研修を行いその後、選抜メンバーを対象に個別コーチングを実施、本日の最終回は全員でお互いの心情を共有し振り返る報告会です。

 報告会は本部長も出席しており、これまでお互いがどのような個別コーチングを受けてきたのか分からないので、メンバーは少し不安と緊張している面持ちです。その状況は集合研修と同じでした。

しかし、大きく変化していたのはメンバーの行動。コンサルタントが「振り返りのコメントをお願いします」と切り出すと、誰からともなく話し始めたこと。始まったころは、「○○さんお願いします」と発言を促されるのを待っている状態でした。

私は、この短期間にいったい何が、彼ら変えたのだろう?その答えは彼らの迷いのない振り返りコメントで理解しました。 

人は日常生活の中で必ず他人との接点ができ、様々な情報や価値観が入り、自分の感情に影響をあたえられます。誰しも感情の影響を直接的に受けないように、無意識のうちに自分の周りに膜をつくり身を守ろうとします。

ちょうど紫外線から地球を守るオゾン層のようなもので、私はこれを「Mind Block」と呼んでいます。

Mind Blockの内側にいれば安全で安心して過ごせます。ただし成長はしません、さらに自分の意識を塗り変えてしまう副作用も起こります。

意識の塗り替えとは、他人からの影響を極力受けないように、自分の「本当の思い」に嘘をつき「思っている」と思い始めてしまうことです。

この副作用が起きると、本当の気持ちが分からなくなり、混乱し葛藤が始まります。混乱と葛藤を抑えようとして膜を重ねて厚くして閉じこもるようになります。これを「心が乱れている状態」といいます。 

彼らは、まず「心を整える」ことから始めたそうです。その方法は一人ひとり違いますが、共通していたことは職場以外でも自分の小さな感情の変化を意識し一日を振り返る行動です。

感情が乱れる時は自分の心が乱れている時。小さな心の乱れが、なぜそうなったのか、どうすれば心を整えられるのかを意識する。

それを個別コーチングで言葉に出してコンサルタントと話し合う。次はこうしてみたいとかコミットしながら実行して失敗と成功を繰り返しながら習慣化したそうです。 

心を整える習慣をつけることで、自分が「本当に思っていること」へ素直に向き合えるようになり、さらには相手の気持ちに寄り添えるようになったと、メンバーは口をそろえて振り返っていました。

メンバーの自信に満ち溢れた姿は、自分の周りを取り囲んでいたMind Blockが消えた証、迷いのない発言は、自分の気持ちに素直に向き合えるようになったから、私はそう理解しました。 

人の行動は自分が思っていることが顕著に現れます。行動を習慣づけることは質が高まります。そしてその行動は周囲の人に変化をもたらし影響を与えていくことになります。

報告会の最後にメンバーは行動を習慣づけるために何をするのか、コンサルタントと一人ずつ握手をしながらコミットしました。その言葉には熱い魂が入っているとても印象に残るコミットでした。

会議室を出る姿からは、ワクワクした気持ちが伝わってくるものでした。


文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

本日開催の趣旨

本日は、お忙しいところありがとうございます。世の中では「働き方改革」と称して残業規制や、女性活用などの制度作り、ルール作りに取り組まれていますが、本質的な部分が置き去りにされているようです。本日、ゲストとして某食品会社の社長と元某石油会社の製油所長にお越しいただき、本質的な部分をお聞きしながら、皆様でディスカションをしたいと思います。 

1.ゲスト2社の取り組みについて

<その1>某食品会社・M氏の取り組み 

2年前に社長就任した時

・女性社員や派遣社員がトイレを使用できないなど、いろんな事があり、理由が突き止められないような中身だった。

社員の中には、

「この人が嫌い」「絶対にしゃべらない」「一生許さない」

という人がたくさんいた。

いろいろな事が隠れている会社だと感じた。

原因として、

・親会社からの出向社員

・プロパーで入ってくる人(平均3~4社経験している)・派遣・パート

といろんな人がいる中で、自分がよければいいという考えが中心となり、人との関わりが薄いく、陰口・噂話が多くなった。

どうやったら一人ひとりが幸せに働けるか?

会社の売上を上げるには、自分たちの商品で幸せをお客様に与える事。その為には、働く人が幸せである事が前提になる。

一人では解決できない、色々な事がでてくることから、広野ゆい氏(ご本人も発達障害で、同じ障害を持っている人達の支援をしているコンサルタント)に相談した。

会社の中に、

コミュニケーション障害と言われる、得意先で挨拶ができない、名刺交換ができない、人と同じ事ができない人たちがいた。これは、能力が低いわけではなく、障害である。

・普通の人と病気の人は白と黒ではない。完全な人はいない。ほとんどが灰色であって、度合いが違うだけ。 

まずは、役員、部長、全社員、全パートを集めて研修をしてもらった。

楽しそうに話しているのをみて、自分の中の思いこみが強かったと感じた。(この人とこの人は仲がよくないのでは?等)

研修終了後、一人ひとりの価値観を大切にしたいと思い、これまでの2年間は、お昼を役員だけで食べていたが、この事は、“縦の関係はフラットだ”と言いつつも、役員だけで食事をしているのは、下からみたら間逆の事。

派遣社員が辞める理由に、

・いじめられる

・陰口言われる

・トイレも使えない

・お昼に45分も休めない、休む場所もない

と言われていた時に、その人の45分を大切にしたいと思い、自分が一緒に食べたら時間を邪魔し、緊張させてしまうかもという考えだったが、

現在は、事前に確認をしたうえで、違う人達と一緒に昼食を食べるようにした(理想の理想「今日いやです」と言える会社)結果、「皆も呼んで食べましょう!」と言ってくれるようになった。「お昼一緒に食べていいの?」 と言うと、「そんな事思っているのは社長だけですよ。」と言われ、

あらゆる事に対して自分が目指している姿と、自分のやっている事は一致しているのか見つめ直した。 

各部署で5~6人のグループに分かれて、皆で会社を良くするには?とディスカッションをした。

全員が明日から自分が毎日すること(目標)・行動することを決めた。

(自分がお昼を皆と食べるのも、この活動のひとつ)

1か月に1回:できたか・できなかったか確認しあう 

一人ずつの目標を出してもらっているで、

明日からの行動で一人ひとり何をしましょうといった時には、もの凄く意識を持つ。 

自分も言っているので、破るわけにはいかないし、辛そうにやっている姿を見ているので、

皆もやらないわけにはいかないし、習慣化した時に気持ち良くなってきている。

Q:変化は見られるか?

徐々にだが、最初は否定した人達もだんだん変ってきている 

一部の部署では、

毎朝“ハイテンションで、全員でハイタッチ”を行っているが、習慣になっていて、ものすごく明るい。でも、逆に、他の部署との距離はあいていく・・・。

原因は、自分がその部署と一緒にハイタッチをしていなかったから、そのように周りから見られる。 

と思い、今は一緒にハイタッチを行っている。

男性は男性、女性は女性でお昼を食べるのが習慣になっている。

その中、皆で仲良くしようと、ある男性と女性が一緒にお昼を食べていたら、ネットに書き込みをされ、結局、男性は男性、女性は女性でお昼を食べる元の形に戻った。

そこで、後日、2人と一緒に食べたが、会社の雰囲気は自分がどう動くかで変える事ができる。と感じた。 

問題がある人とは何十時間も関わって話をするが、この事は、社長は問題がある人たちとは話すが私たち(普通の人)とは話さない。

時間に対しても平等にしなければならない。

目指す会社とは程遠いし、何がどう変わっているか分からないが、

行動ではなく“気持ちでどう動くかが大切”

高度経済成長時代の

・給料が上がる・いい家が買える・いい車が買える、ことだけを求めていた時代とは違い

一人ひとりの価値観、何を求めているのか何を本当に幸せと思っているのか、

時代に一番あっているのは、若い人たちほど、時代にあっているし、一番進化を遂げているのは若い人。

これからの時代、どうしていくかをみんなで考えながらやっていこうという取り組みをしています。 

【モデレーター】

よく言われることだが、7歳違うと価値観は合わないと思ったほうがよく、世代間のGAPがある。

私の年代(60歳前後)が境目で、高度成長時代に理不尽な事を言われても、泣きながら仕事をやってきた“プロジェクトX”の世代。“根性”と“度胸”、で行ってきたマネジメントは、通用しない。 

我々の世代がまだおさまっているので、マネジメントをなかなか変えられない。良き時代でのマネジメントを身に付けた人達がまだまだいる。我々の時代は、合理化、コストダウン、IT化での効率化を徹底してきたので、コミュニケーションが減った。内部統制とかISOとかで、失敗させない仕組みを作ってきたので、チャレンジしない風土を作ってきてしまった。

          無題


毎日のように企業様から相談をもらう。特に、大手企業の方が悩みが深いようだ。

           無題1

次回は、某元石油会社の取り組みをご紹介いたします。

文責:ジェムコ日本経営 営業部


我々コンサルタント会社にとっての報告会とは、そこですべてのコンサルティングの評価が下される緊張する場面です。メンバーとは血のにじむ思いで頑張っても報告会でトップから「こんな内容じゃ評価できない」と言われてしまえば落第点になってしまいます。

過去には、ある楽器メーカーの社長から「エクセレント。感無量」という言葉を頂いた感動的シーンもありました。 

今回ご紹介するのは、技術力の高い高収益体質の電子部品メーカーでの報告会です。

この会社は、高い技術力はあるのですが、謙虚すぎて「せっかくのブランド力が活かされずもったいない」と言われており、会社名も知る人は知るという感じで、新卒の採用にも困っていました。

そこで、外に向かって訴求する力をつけようということで広報を中心としたコンサルティングを展開し、今回の報告会となりました。主な発表の内容は次のようなことです。

まずやったことは、プレス発表会です。雑誌・新聞社の記者に会社に来てもらっての名刺交換からです。全員の記者が訪問は初めてで、多くの記者からは「名前は知っていたけど・・・」「こんな技術があるんだ」「これは話題性が高いですよ」など多くの反響を呼び、技術者インタビューの記事は複数社で無料での記事化を実現できました。これはのちに展示会などの集客にも効果を表しています。

展示会も上記の記事化に加え、製品をかたどった手ぬぐいが受けて、名刺の交換数が前年の4.5倍になり、トップの方々も驚いていました。たかが手ぬぐいですがユーモアがあり好センスのもので、営業からも使いたいという申し出があり、営業がサンプルをその上に置いて説明をしたのですが、顧客からは「サンプルよりこの手ぬぐいをください」と言われるほどだったそうです。発表会場の皆さんは大笑いしていました。 

今回は、雑誌の記事も外に向かってだけではなく、100周年に向けて社長から若手社員へのメッセージも含まれています。「常に期待に満ち溢れる未来を向いて、未来が来るのを待つのではなく主体的に未来をつくっていく積極的な風土をつくり、お客様の期待を100周年に向けて醸成しよう」というものです。

とても夢のある良い会社だとつくづく思いました。 

こうして、笑いの絶えない報告会が終了しました。コストダウンの報告会などでは、プロジェクトX的な「根性と最後まであきらめない覚悟で成し遂げた」というような感動的なものもあるのですが、今回は広報ということもあり、希望に満ちた楽しい報告会で好評価を頂くことができました。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第2回)では「新規事業のフォーカス領域」を選定(第1回)した後の、「新規事業のタマ(テーマ)出し」について解説しました。


テーマ領域


第3回と第4回の一部で、選び出した「タマの事業化戦略策定」について解説します。
事業化戦略策定は次の2つのフェーズから構成されており、今回は①の要点を説明します。

①戦略構想の与件明確化フェーズ
②戦略構想フェーズ

戦略構想の与件明確化とはつまり、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈に
あたります。

ジェムコでは具体的に次の3つの活動を通して、戦略構想のための与件を明確化しています。
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析

(1)競合企業の実態調査
新規事業領域で既に活動しているプレイヤーの事業実態を調査します。定量情報・定性情報を収集し、競合企業の事業実態から、事業特性や成功要因を探ります。

競合企業は、リーダー企業(フロントランナー)、チャレンジャー企業(対抗馬)、ニッチャー企業(独自ポジションを築いている企業)からバランスよく選ぶとよいでしょう。またあまり多くの企業を選び過ぎると調査が目的化してしまいがちなので、3~4社で充分です。

(2)タマの受容性調査(フィールドワーク)
これまでの過程で選び出したタマは、いわば机上で論じたものです。市場で本当に受容されるかどうかはまだ分かりません。その一次試験として、顧客候補やチャネル候補、学会の権威・有識者にタマをぶつけてみて客観的な反応やフィードバックを得ることで仮説を磨きます。(場面設定はジェムコでも支援しています)

この活動は困難も伴います。地道であるだけではなく、否定もされるからです。「特に必要ではない」「やめたほうがいい」という意見も当然出てきます。いきなり全肯定されるほど、新規事業は甘くありませんし、美味しいものもありません。ですがこの活動を行い、仮説再検証・再設定を繰り返すことで、タマが磨かれていきます。

(3)参入障壁分析
(1)(2)の結果もふまえて、新規事業領域への参入障壁を抽出し、個別の障壁の影響度を分析しながら、対応策・克服策を検討します。

これらの活動を通して、事業特性、顧客特性、製品(サービス)特性をしっかりと見極めて、重要成功要因を導き、それらの獲得方法を検討します。この獲得方法こそが戦略と呼ばれるものとなります。

今回は以上になります。
次回(第4回)は「タマの事業化戦略」(パート2:戦略構想編)と「新規事業のバリューチェーン構築についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

前回の本稿にてドラえもんを作っていこうという方向性?を記載いたしました。ドラえもんというと、「タケコプター」や「どこでもドア」などのツールをいろいろと出してくれるネコ型ロボットでしたね。もちろん、状況に応じて提供するツールを適時選択してくれるAI搭載型です。

とはいうものの、そもそもドラえもん自体がツールですので、ドラえもんを世の中に送り出す目的をまずは考えておきましょう。コンセプトを「人の生活を楽にする」としたとして、どういった人や場面で困っている人を想定しておくかも考えておきましょう。

ここでは原作に忠実に、特殊な技能や技術を必ずしも有さない一般的な人が、日常生活で起こりうる「ちょっとした困り事」の手助けを行なうようにしたいと思います。決して、金儲けのためのツールに活用されることが第一義とならないようにしておきましょう。目的がある程度明確になったので、次に具体的にドラえもんに備える機能を設定していきたいと思います。AI搭載型と言えども、AIが最初から何か考えて自身でプログラミングを作る訳ではありませんので、手始めに「一般的な人の日常生活上での困り事」として、どういうことがあるかを考えてみましょう。とっかかりがないとアイデアが出ないので、ここはSNSとかに投稿されている情報をスクレイピングという技術を使って拾ってみることにしましょう。きっと、泣いたり、汗かいたりしている絵文字やスタンプと一緒に出てくる文言や単語が困り事の可能性があるかもしれませんね。と、みてみると、「寝坊して遅刻しそう」みたいな投稿も多いですね。こうやって、どんどん情報を取込んで、AIに人間の困り事をインプットしていきましょう。とにかく、AIも基本的には統計の延長・発展系であることを考えるとデータが多ければ多いほど、より賢くなっていきますから。

ある程度困り事が集まってきたら、少し開発者サイドで内容を分類して解決策を検討して登録してあげないといけないですね。「遅刻」に対しては、天候さえ問題なければタケコプターでスイスイと空中を移動するのが早そうですね。でも、日本の航空法では勝手に空に物を飛ばしてはいけないのでした。規制緩和が望まれるところです

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第1回)では新規事業構想の最初のステップである「新規事業のフォーカス領域選定」について解説しました。

 テーマ領域

第2回では、選定したフォーカス領域での「新規事業のタマ(テーマ)出し」について、基本的な考え方を解説します。

新規事業のタマ(テーマ)出しのステップをシンプルに表すと以下のようになります。
①ニーズ分析
②シーズ棚卸・評価
③ニーズ×シーズ分析
④事業性評価

ひとつずつ要点を解説します。

ニーズ分析とは、フォーカス領域における市場ニーズ分析を意味します。分析手法としては、代表的なマクロ環境分析であるPEST分析を用いることが一般的です。ここでのポイントは、川上に位置する企業でも、PEST分析の対象は、川下、つまり最終製品まで視野に入れることです。
このステップで、今後、市場において想定される変化から、世の中で起こり得る問題やニーズを探索します。
次に、自社の技術シーズを棚卸し、競争力を評価します。技術シーズは要素技術まで分解し、研究開発領域だけではなく、製造・加工、品質管理まで範囲を広げるとよいでしょう。
評価にあたっては、さしあたっては自己評価でも構いませんが、外部リソースを活用しての客観評価・定量評価も行ってみるとよいでしょう。この時、技術シーズは、「コア技術」「コア技術ではないが保有している技術」等、メリハリをつけて分類してみてください。
ニーズ分析とシーズ評価が終わったら、ニーズ項目とシーズ項目でマトリクスを作り、機会領域(新規事業のタマ候補)を探索します。ニーズに対し、対応できる技術があるのか?コア技術で対応できるか?技術を保有していなければ技術開発の難易度はどうか?といった具合に複数のメンバーで意見を出し合いながら進めていくとよいでしょう。

こうして出てきた新規事業のタマ候補に対し、本当に取り組む価値があるか?取り組むことができるのか?という評価を行わなければなりません。いわゆる事業性評価です。事業性評価の手法もBMO法(市場性と適社性による評価)など一般に良く知られている評価手法をアレンジしながら進めていきます。この評価を通じて、複数ある新規事業のタマ候補の優先順位をつけ、これから取り組んでいくべき新規事業のタマを決定します。
以上が、「新規事業のタマ(テーマ)出し」のステップと要点になります。ジェムコでは、一般的な手法のみならず独自の手法を用いて、数多くの新規事業のタマ出し支援と事業化のお手伝いをしてきた実績がありますので、新規事業をご検討の際はぜひお問い合わせください。
次回(第3回)は「タマの事業化戦略」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

2001年宇宙の旅」という映画名をお聞きになった時、何を思い浮かべられるでしょうか? A SPACE ODYSSEYがバックグラウンドで流れるなか、類人猿が手にした骨を空高く投げやるとともに画面が宇宙空間へと移るオープニングでしょうか、それともあの独特の白を基調とした宇宙船の中のイメージでしょうか、あるいは何だか意味が良く判らない映画という印象でしょうか? 著者も最近までは前記のようなイメージでしたが、最近は「AIが登場する最初の映画」ということを意識するようになりました。(これ以前に、AIが登場する映画がございましたらご一報頂けますと助かります)

2001年宇宙の旅」が1968年に上映されたものであることを考えると、AIの概念が如何に昔から存在したかを感じることができます。ちなみに、この映画に登場するAIの名称「HAL」、アルファベット順で一文字ずらしてみて頂くと、「IBM」となります。

現在IBMが社運をかけてWATSONの普及を強力に進めているのも、決して偶然ではないと思います。

ここ2~3年急激に認知度が高まったAI、第3次AIブームと呼ばれています。毎日のようにAI関連の記事が必ず紙面を賑わわせ、10年後にはAIに仕事を奪われると、ヒヤヒヤ、ゾクゾクする日々を過ごしていますが、読者の皆様は、HALやターミネーターのような人間と仲良くお付き合いのする気のないAIについて思いを巡らせるのではなく、AIをどのように活用すれば新たなビジネスチャンス、あるいは今の仕事を高度化・効率化していけるかについてご検討されておられることと思います。1990年代からのインターネットの一般普及をはじめとしたIT化の進展が、時間と距離の概念を大きく変えたように、AIの進展により世界中の膨大なデータが複合的、有機的に加工されて、新たな意味を生み出すというデータの価値概念を大きく変える転機となるのではないかと思います。大量なデータにアクセスでき、処理する能力を有する企業、グループが圧倒的に有利な立場を築ける世の中になりつつあるのかもしれません。ターミネーターではなく、ドラえもんを作る人の育成に貢献していきたいと感じる今日此の頃です。



文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

◆感動の報告会

ある大手企業の地方工場の活動報告会に参加してきました。昔でいう小集団活動のようなもので10組が職場ごとに20分の活動報告をするものです。私も35年この仕事をしているのですが、久しぶりに元気で、明るく、中身のある活動報告で、全くやらされ感のない現場主体の活動報告でした。

時間削減やコストダウン、福利厚生面の改善など多数の改善活動成果の報告がされ、既に実施に移されているものがほとんどでした。定量的成果も想定以上に達し、本社から来られていたスタッフや他工場の参加者も「何があったんですか?」と驚きを隠せないものでした。

他工場から参加した人から「どうしてそんなに部門間で協力できたのか?」という質問が多く聞かれましたが、当たり前の様に「私たちの工場ですから・・・」「皆でよくしていきたいから・・・」というもので、とうの本人たちは「なんでそんな質問するんですか?」という反応でした。 

◆夢をもつこと

 この工場は立地的な条件も悪く、なかなか人も集まらないので閉鎖も噂されていることもあり、なかなか社員のモチベーションも業績も上がらず、改善への突破口を見いだせない状況でした。

そこで、ジェムコと連携(支援ではない)して元気のある工場になろうということで、活動を始めたのが1年半前でした。まずは幹部が合宿をして工場の将来の夢をつくってきました。この夢が彼らの一番の原動力となり「全員参加で安全で儲かる工場にしよう」という合言葉になったのです。

一方、職場リーダーは今抱えている現場の問題点を共有しました。職場ごとになにが問題となっているのか、アンケートなども取りながらまとめて行きました。

ここで将来の夢をつくった幹部と現実の問題を共有した職場リーダーが腹を割って話し合いをしたのです。ここが肝のところです。職場リーダーからすれば「将来の夢は実現したいが、現状の問題を抱えながらどうしてそんな夢が実現できるのか?まずそれに取り組む時間などない」とのことでした。そこで話し合われた結論は、「夢に向かうために時間をつくろう」ということでした。

まずやったのは、会議や報告書作成など本社や工場幹部で意思決定できるものを削減したことでした。約4000時間の削減になったとのことです。そこから次は、現場の活動となって行って年間で約20000時間を削減したのです。 

◆仲間とともに歩むこと

 発表会の中で特に感じたのは、課長と職場リーダーとのコミュニケーションが良いことで、その信頼関係の良さがうかがえました。各職場リーダーの発表の後に課長のコメントがあるのですが、お酒を飲んだ時のエピソードや趣味で一緒に遊んだことなど、仕事外での話が多く、よい人間関係ができていることがうかがえました。

どんな方針も指示も関係性が悪いとなかなか徹底できませんが、この工場には皆で協力してやり遂げる力を感じました。

そういえば、工場長が我々だけにもらした感想は「方針が伝わるということが初めて実感できた」とのことでした。 

◆教えないコンサルタント

 この活動は、課長が中心になって職場リーダーの単位で活動をしました。そこでのコンサルタントの役割は、課長と職場リーダーの話を聞くことでした。但し、“能力もやる気もない人間は一人もいない”という信念をもって聞きます。

冒頭の幹部と現場の腹を割った話し合いの後は、「それじゃーやろう」となった課長と職場リーダーの話をひたすら聞くことでした。最初は、会社や上司に対する不平不満ばかりだったそうです。しばらく不平不満を言うと、「実は日頃からこんなことをやってみたかったんだ」「こんなことをやると皆が楽になるんだ」と日頃思っていたがやれていないことをやってみるという宣言をし始めたのです。課長中心に「こんなことをやってみないか」「夢のある職場にしよう」という発言に、職場の人たちも響いてくれたのです。 

◆主体性をもつこと

 主体性を待たせることが本人にとっても、会社にとってもいいことは分かっているのですが、企業の中での話を聞くと似て非なるものがとても多いのです。

ある会社の役員は「うちは働き方改革を小集団でやらせています。各小集団に予算を持たせて何でもいいのでテーマを持って取り組めと言ってるんですよ。私が現場まで行って、私が若い頃はこんなことをやったんだとか、こんなことに取り組むと成果が出るよと、しっかりアドバイスしてあげないと活動できないんですよね」と・・・。これって主体的活動なのでしょうか?

今回の報告会を聞いて、この活動は継続すると実感できました。それは主体的に自分達の職場を皆でよくしていこうという意志が感じられたからです。そこには、コンサルタントの指導もトップダウンの指示もいらないのです。

印象的だったのは報告会でジェムコという名前もコンサルタントという言葉も一切出なかったことです。私は心の中で本当の黒子に徹したコンサルタントに惜しみない拍手を送りました。

 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回の本連載予告編では新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、
成長(収益化)させていくという事業のライフサイクルを、以下の図を用いて俯瞰しました。

テーマ領域


第1回では最初のステップである
「新規事業のフォーカス領域選定」における基本的な考え方について解説します。

皆さんは新規事業のアイデアを構想する際、どのようなステップを踏むでしょうか?
我々が見てきた多くのケースでは、世の中の動向や将来のニーズを広く想像し、そこから
自社のリソースが活かせるようなことを自由に発想する、ということが多いようです。
一見すると間違っていなさそうなやり方ではありますが、検討領域をあまりに広く取ってしまう
ことで、思考が発散し過ぎ、まとまるものもまとまらないという状況に陥り易いケースをよく見ます。
 
こういったことを回避するために、最初のステップとしてジェムコでは
「新規事業を構想する検討領域をフォーカス」することをお勧めしています。
新規事業なのに検討領域を限定してしまうの?と疑問に思われるかもしれませんが、あえて
枠を設けることで、四方八方に思考を飛び散らかすことなく、自由な発想を促すことも可能です。

その際に注意したいのは、自社の既存領域に近接する関連領域からフォーカス領域を定めよ、
ということです。逆に言うと、自社が全く知らない(素人である)まっさらな新規領域にいきなり走って
はいけないということです。
 
新規事業とは元来リスクが高いもので、「一発当てる」ことを狙うのではなく、「成功確率を上げる」
マネジメントが必要です。そのためにはある程度目や鼻が利く領域でなければ舵取りが困難になります。(まっさらな新規領域でいきなり成功できる程、美味しいものは転がっていないということです)
図2

図3

上記の図は既存領域・関連領域・新規領域の関係をごくごく簡単に表したものですが、
まずは関連領域の中からフォーカス領域を選定しようということです。
例えば家具メーカーであれば、住設機器や建材を関連領域と捉えることが出来ます。
そしてそのフォーカス領域の中でアイデア発想することがジェムコ流新規事業構想の
第1ステップです。

次回(第2回)は新規事業のタマ出し(テーマ出し)についてのポイントを解説します。
 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

◆ジェムコの成長戦略コンサルティング

 ジェムコでは主に製造業のお客様における

「モノづくり」・「コトづくり」・「ヒトづくり」のご支援に取り組んでいます。

成長戦略コンサルティング事業部では、この中の「コトづくり」領域に着目したご支援活動を手掛けており、国内だけではなく、海外(主にアジア)も含めた事例・実績を積み重ねてきています。

本連載(全7回)では、ジェムコのご支援テーマをご紹介しつつ、お客様が成長戦略を描いていく上でのポイントについて解説していきます。今回は予告編として、

ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方を、ご支援テーマの全体像を示しながらご紹介します。 

◆ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方

 下図は成長戦略コンサルティング事業部が手掛けているご支援テーマの全体像です。

 
       テーマ領域
 
 

 ジェムコの成長戦略コンサルティングは「新規事業(新商品、新技術)」が基点になっており、新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、成長(収益化)させていく、という事業のライフサイクルに沿ったお手伝いができるようになっています。

新規事業が大きくなれば、いつしか既存事業となり、既存事業として収益の最大化を目指していくことになるわけですが、この段階になると「コトづくり」だけではなく、「モノづくり」・「ヒトづくり」も含めたトータルでの改革・改善活動へと移行していきます。 

 コンサルティングにおいて我々が大切にしている基本的な考え方は、活動を通じてお客様にどのような成果を残したいか、ということであり、それは次の3つです。
 

     ① 文字通りの成果(定量成果・定性成果)

    ② 事業を構想し、立ち上げていくための仕組み

    ③ ②を実践していく(実践していける)ヒト
 

これらの成果がどのようにして生まれていくか、“現場の空気感”をできるだけこのコラムでお伝えしていきます。

 

◆本コラムの構成

 本コラムでは、先ほど示した全体像の各プロセスの要点や難しいことについて事例を交えながら解説していきます。

 ・第1回:新規事業のフォーカス領域選定

 ・第2回:新規事業のタマ(テーマ)出し

 ・第3回:タマの事業化戦略策定

 ・第4回:新規事業のバリューチェーン構築

 ・第5回:市場創造・顧客開拓

 ・第6回:事業中期計画の策定

 ・第7回(最終回):さらなる事業拡大に向けて
 

新規事業ご担当の方、経営企画ご担当の方にとって特にお役立て頂けるような情報を盛り込んでいきますので、これからよろしくお願いいたします。

 









 

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の七回目(最終回)として「成長と新しい目標設定」ということについて取り上げます。

環境変化とマネジメント

 今話題になっている「電通鬼十則」を改めて読んでみました。私(58歳)にはすんなりと受け入れられる内容で「なるほど」と感心して読んでしまいました。十則を通して大筋では「何事も夢を持って主体的にチャレンジせよ」となかなか良いことが書いてあります。

問題になっているのは十則の五番目で「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは・・・」という内容です。おそらく、我々の年代以上の人には受け入れられても、その下の年代には違和感があるのではないでしょうか。特に「殺されても放すな」は今に時代にふさわしいとは言い難いでしょう。

電通広報部は「企業風土の検証・改善は重要な課題の一つで、手帳への掲載は取りやめを検討している」としています。

 この電通に代表されるような世代間のギャップが、日々、社会の中で起きています。「団塊の世代」「しらけ世代(捨て石世代)」「新人類世代」「バブル世代」「団塊ジュニア世代」「ゆとり(さとり)世代」と価値観が変わってきているのです。

日本生産性本部の「働くことの意識」調査の新入社員の働く目的の推移では、2000年に「自分の能力を試す生き方をしたい」が「楽しい生活をしたい」に逆転され、その差は開く一方になっています。7年もとしの差があると、価値観が理解できないと言われています。この世代間の価値観が異なる集団の中でどうマネジメントをしていけばいいのでしょうか?

マネジメントが通用しない

 我々の日々の営業活動の中で、私と同じ年代の幹部から最近頻繁に相談を受けるのは「我々が団塊世代からされてきたマネジメントが通用しなくなってきた。社員がどうしたらもっとイキイキと主体的に働いてくれるんだろう」というものです。

 ある大手企業の幹部は「今まで強引にでも腕力でねじふせてきたが、最近では何を言っても動かなくなってきた。もっと現場から主体的に動くやり方がないか」とのことで、現場のヒアリングをしたところ「冗談じゃない。人は以前の半分になり、その上○○活動をしろ、○○の報告しろと、どこに時間があるんですか、やってられません」との反応でした。

 この状況はこの会社特有のものではなく、多くの会社の現状と言っていいでしょう。バブルがはじけてから、グローバルでの競争に打ち勝つためにコストパフォーマンスを上げなければならず、経営側は人員削減とコスト改善に集中し、現場をひと塊(数字)とみて、それぞれの人(個性や可能性)を見ることをおろそかにしてきてしまった、ともいえるのではないでしょうか。

◆今も昔も

 今年のNHK大河ドラマの「真田丸」の策士で名をはせた真田幸村のお父さん(真田昌幸:大群の徳川勢を2度も破った)の遺言が次です。

ワシの策に場数などいらぬ

ワシの策に心得は一つ

軍を一つの塊と思うな

一人ひとりが生きておる

一人ひとりが思いを持っておる

それを夢ゆめ忘れるな

 

 武田信玄の有名な言葉に

「渋柿は渋柿として使え。接木をして甘くすることなど小細工である」

つまり渋柿は渋柿としての良さを生かせ、無理に甘くする工夫などするなということです。

信玄は戦場にいくと気が弱くいつも情報収集ばかりしていて役に立たない武将を後方において裏切りが起きないように見張らせたら大きな活躍をしてそうです。

 真田にしても武田にしても強い集団はリーダーの強いリーダーシップだけではなく、そこにいる一人ひとりをきちんと見てその個性と可能性を伸ばしていることがわかります。

 

◆強い集団とは

 ある高収益企業の工場にお邪魔した時、会社の玄関にかかっていた横断幕の言葉が「私たちの幸せは昨日の自分よりも成長することです」というものでした。これは素晴らしいなと思って工場見学すると、作業中の方が皆「こんにちは」と作業を中断して立ちあがって挨拶してくれるのです。申し訳ないので「挨拶は結構ですので作業を続けてください」とお願いすると「ご挨拶するのは私たちのお給料はお客様から頂くので、お客様がお見えになったらご挨拶しようと私たちで決めたのです」との回答。感動して鳥肌が立ちました。

 強い集団とは、夢(目標)に向かって、それぞれの人がその個性と可能性をフルに発揮して、仲間と励まし合いながら、苦しい試練をポジティブに乗り越えながら、一歩一歩着実に行動し、それが習慣となり、その成長が他の人へ影響して風土・文化となり、次なる目標(夢)に向かっていきます。それが下記にあるような図になります。

 

◆「働く」ということ

7回にわたる「働き方改革」の連載では、この図のそれぞれを解説してきました。これはあくまでも考え方なので、具体的にどうやっていくかはトップの方と十分話をし、その状況とあるべき姿を踏まえて方向性を出していきます。基本的には、やらせ型ではなく、コーチングを織り交ぜながらそれぞれの世代の価値観の中で、本人の主体性を待つやり方です。答えは一つではなく人の数だけある、ということです。

「働く」ということは、試練を克服し、運命を好転させてくれ、成長する喜びを与えてくれます。つまり、一生懸命働くことで「幸福な人生」を送ることができるのです。摩擦を恐れ、孤立し、楽をして生きようとすることが実は「不幸な人生」を送ることになるのです。

私たちも経営コンサルタント会社として、一人でも多くの人に、自分の持つ個性と能力を発揮して一人ひとりがイキイキと働き、顧客に喜ばれ同僚に感謝されるような有意義な人生を送っていただける一助となれるよう、使命感を持ってご支援させていただきたいと思っております。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の7回目(最終回)ですが、7回を通して読んでいただけると「主体的に①夢を持った集団が ②仲間とスクラムを組みながら ③思考を変えて ④自分で考えて、自分で決めて行動し ⑤それが習慣化され力となり ⑥成長しながら次なる目標設定をして強い集団になります」ということになります。

下図の様な順でスパイラルアップして、企業風土・文化を再構築して行きます。



WI
 

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の六回目として「行動の習慣化」ということについて取り上げます。

 

◆イチロー選手の習慣化力

今年6月についにイチロー選手が、ピート・ローズの持つMLB通算最多安打記録4256安打を抜きNPB/MLBの通算安打で記録を更新しました。

どうして(メジャーの中では)あんな小さな体で、大リーガー相手にそんなことができたのか。彼もアメリカに行ってすぐは筋力トレーニングなどで身体を大きくしようとして失敗したようです。そしてたどり着いたのは「細かいことを積み重ねるしか頂上には行けない」そのために身につけたのが習慣化です。

 

メジャーに来てから毎日の朝食は弓子夫人がつくるプレーンカレー(具なし)と決まっている、試合の日の集合時間の1時間前に来ておこなうストレッチやトレーニングメニュー、試合後のロッカールームでの1日の振り返りなども常に一定で時間まで決まっています。

 

常にやれることを全てやり準備することで、最高のパフォーマンスを発揮できる自分でいられるようになれば、自分に誇りを持てるようになります。自ずと自分が取り組んでいることも細部までこだわりをもてるようになり、手抜きがなくなるのです。

 

◆習慣のすごさ

イチロー選手が外部環境に惑わされることなく力を発揮できたのは、最高のパフォーマンスを発揮できるための毎日の積み重ね(習慣)なのです。ゴルフの石川遼選手が今年は腰を痛めて休養をしていましたが、アメリカに行って、外国人選手と同じ様に飛ばすためにクラブを重くして腰を痛めたそうです。休養して現在は国内で活躍していますが、シャフトを40グラム(40%)も軽くしたそうです。何かを見つけたのではないでしょうか。イチロー選手の様に外部環境に影響されず自分を見つめてこれから活躍してほしいものです。

 

環境はコントロールできない部分があります。しかし、自分はコントロールできます。その自分のパフォーマンスを上げるために何をすればいいのか、それを目標に新しい習慣をつくっていくことが、環境に惑わされずに自分の最高のパフォーマンスを出す秘訣なのです。

 

◆ストレスに強くなる(セロトニンとドーパミン)

習慣は最高のストレス解消となるそうです。ストレスに強い人なんていないのですが、それから復元できることが大切で、普段からセロトニン神経を活性化する習慣を持っているといいのです。毎日ジョギングやスクワットのようなリズム運動を実践している人は、日常的に復元力がしっかりしているので、ちょっとくらいのストレスに遭ってもすぐ回復できる。もっとも復元力を高める方法は太陽の光を浴びての朝一番のウオーキングだそうです。

 

脳科学的には、新しい目標や習慣を計画する時やその目標に向かって努力している時に脳内にドーパミンが出て、注意力や集中力が出て幸福感を感じるそうです。よくマラソンを続けている人は習慣になるそうですが、ドーパミンが出て心地よくなるので続くようです。

 

実は、私も毎朝、6時31分45秒からテレビのラジオ体操をスタートに、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ストレッチと30分程からだを動かしているのですが、もう習慣になっていて15年も続いています。私の場合はこれで一日の準備ができたという感じです。

 

◆習慣の重要性

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」とはマザーテレサの言葉です。

 

ある思いを実現するためには習慣が大きな意味を持ちます。日々の半分以上は習慣的に行われていると言われています。習慣化されると意志力を使わないので、余力の意志力で新しい習慣化のための力が使え、新しい習慣を作れば作るほど前頭葉が鍛えられて、意志力、集中力が上がってくるのです。

 

全ての行動は、意識、無意識にかかわらず、最初は自分自身が「自ら選択した行動」です。いきなり習慣が出来上がったわけではないのです。それのため、良い習慣を形成すれば良い人生に近づくことができ、悪い習慣を形成すれば良くない人生に転落するわけです。

結局、どうやって生きていくかというのが大事なことで、苦しい中でどう向き合うか、どうやって進んでいくか、その姿勢みたいなものが大切なのです。避けることができない苦しい環境の中で、いかに高いレベルで自分を保つかというのが、大きな結果を出し続けるために重要なのですが、これを生み出すのが習慣化の力なのです。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の6回目ですが、6回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて ⑤自分で考えて、自分で決めて行動し ⑥それが習慣化され力となり、強い集団になります」ということになります。

次回は「『働き方改革』の本質」の最終回(7回目)で、「風土・文化改革」というテーマです。

以上

文責:ジェムコ日本経営 常務取締役 コンサルタント 北井好

 日本の製造業の現場では過去から培われた技術が伝承されないまま空洞化する危険性が散見され始めています。この問題に対してどう取り組んでいけばよいか、第3回目(最終回)に入ります。

 第2回目で技術伝承を加速させるには、正確に技術をまとめ上げることがまず必要であり、そのためには三つの能力要件(管理技術)が重要になる、というお話をしました。

 「技術を正確に引き出す」技術、「技術を正確に表現する」技術、「技術を正確に伝える」技術ですが、これらは人に帰属する性格のものであり、これらの技術を体得した人が核となって技術の伝承を加速推進させる必要があります。

 ただここで問題になることがあります。

 これらの技術を体得しているといっても、その人がどのレベルにあるのかその客観的評価ができていないと、「技術を正確に引き出す」段階での活動が難しい状況に置かれる場合があります。

 というのは、技術ノウハウを持っているのはベテラン、引き出す人はその後輩、となれば立場上のことを考えればスムーズにいかない場合が想定されます。

 我々外部の者であるコンサルタントがベテランから聞き出す場合ですら、最初は険悪なムードになることがあり、同じ会社の先輩・後輩という関係ではなおさら、という状況が考えられます。

 そこで、この三つの能力要件を身に付けた人を育成し、これを客観的に評価しその能力レベルに応じた資格認定を行う、「テクニカルナレッジエンジニア資格認定制度」をこの度創り上げました。

この認定制度の狙いは、広く世の中の人がこれを認め、この資格を持った人が、帰属する会社においても認知され、年齢・経験関係なく技術伝承の活動に邁進できる状況を創り上げることにあります。

 これにより日本全体の製造業での技術の空洞化に歯止めをかけようという壮大な想いもあります。

 なお指導育成の形態としては、特定企業に入り技術の見える化活動をプロジェクト推進することにより関わったメンバーを育成する「プロジェクト型」、特定企業に入り具体的テーマを取り上げ実践研修を行う「ワークショップ型」、テキストをもとに行う「公開研修型」がありますが、「プロジェクト型」「ワークショップ型」が資格認定の対象になります。

 「技術伝承を加速させるために」をテーマに、(第1回)なぜ技術伝承が進まない (第2回)技術伝承にブレーキをかける三つの壁の克服 (第3回)テクニカルナレッジエンジニアの育成と資格認定制度、をお話ししました。


技術伝承は、プロジェクト型で進めていくのが確実ですが、資格というトリガーを活用し、技術を見える化し、残し、発展させる人材育成から始めるのも得策の一つと考えています。各社さま、まずはまずは、ワークショップからお試しで着手みてはいかがでしょうか?


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