【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

成長戦略 | 技術伝承 | グローバル | 改善改革 | コストダウン | 等 プロジェクト現場から最新情報やお役立ち情報をお届けします。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第1回)では新規事業構想の最初のステップである「新規事業のフォーカス領域選定」について解説しました。

 テーマ領域

第2回では、選定したフォーカス領域での「新規事業のタマ(テーマ)出し」について、基本的な考え方を解説します。

新規事業のタマ(テーマ)出しのステップをシンプルに表すと以下のようになります。
①ニーズ分析
②シーズ棚卸・評価
③ニーズ×シーズ分析
④事業性評価

ひとつずつ要点を解説します。

ニーズ分析とは、フォーカス領域における市場ニーズ分析を意味します。分析手法としては、代表的なマクロ環境分析であるPEST分析を用いることが一般的です。ここでのポイントは、川上に位置する企業でも、PEST分析の対象は、川下、つまり最終製品まで視野に入れることです。
このステップで、今後、市場において想定される変化から、世の中で起こり得る問題やニーズを探索します。
次に、自社の技術シーズを棚卸し、競争力を評価します。技術シーズは要素技術まで分解し、研究開発領域だけではなく、製造・加工、品質管理まで範囲を広げるとよいでしょう。
評価にあたっては、さしあたっては自己評価でも構いませんが、外部リソースを活用しての客観評価・定量評価も行ってみるとよいでしょう。この時、技術シーズは、「コア技術」「コア技術ではないが保有している技術」等、メリハリをつけて分類してみてください。
ニーズ分析とシーズ評価が終わったら、ニーズ項目とシーズ項目でマトリクスを作り、機会領域(新規事業のタマ候補)を探索します。ニーズに対し、対応できる技術があるのか?コア技術で対応できるか?技術を保有していなければ技術開発の難易度はどうか?といった具合に複数のメンバーで意見を出し合いながら進めていくとよいでしょう。

こうして出てきた新規事業のタマ候補に対し、本当に取り組む価値があるか?取り組むことができるのか?という評価を行わなければなりません。いわゆる事業性評価です。事業性評価の手法もBMO法(市場性と適社性による評価)など一般に良く知られている評価手法をアレンジしながら進めていきます。この評価を通じて、複数ある新規事業のタマ候補の優先順位をつけ、これから取り組んでいくべき新規事業のタマを決定します。
以上が、「新規事業のタマ(テーマ)出し」のステップと要点になります。ジェムコでは、一般的な手法のみならず独自の手法を用いて、数多くの新規事業のタマ出し支援と事業化のお手伝いをしてきた実績がありますので、新規事業をご検討の際はぜひお問い合わせください。
次回(第3回)は「タマの事業化戦略」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

2001年宇宙の旅」という映画名をお聞きになった時、何を思い浮かべられるでしょうか? A SPACE ODYSSEYがバックグラウンドで流れるなか、類人猿が手にした骨を空高く投げやるとともに画面が宇宙空間へと移るオープニングでしょうか、それともあの独特の白を基調とした宇宙船の中のイメージでしょうか、あるいは何だか意味が良く判らない映画という印象でしょうか? 著者も最近までは前記のようなイメージでしたが、最近は「AIが登場する最初の映画」ということを意識するようになりました。(これ以前に、AIが登場する映画がございましたらご一報頂けますと助かります)

2001年宇宙の旅」が1968年に上映されたものであることを考えると、AIの概念が如何に昔から存在したかを感じることができます。ちなみに、この映画に登場するAIの名称「HAL」、アルファベット順で一文字ずらしてみて頂くと、「IBM」となります。

現在IBMが社運をかけてWATSONの普及を強力に進めているのも、決して偶然ではないと思います。

ここ2~3年急激に認知度が高まったAI、第3次AIブームと呼ばれています。毎日のようにAI関連の記事が必ず紙面を賑わわせ、10年後にはAIに仕事を奪われると、ヒヤヒヤ、ゾクゾクする日々を過ごしていますが、読者の皆様は、HALやターミネーターのような人間と仲良くお付き合いのする気のないAIについて思いを巡らせるのではなく、AIをどのように活用すれば新たなビジネスチャンス、あるいは今の仕事を高度化・効率化していけるかについてご検討されておられることと思います。1990年代からのインターネットの一般普及をはじめとしたIT化の進展が、時間と距離の概念を大きく変えたように、AIの進展により世界中の膨大なデータが複合的、有機的に加工されて、新たな意味を生み出すというデータの価値概念を大きく変える転機となるのではないかと思います。大量なデータにアクセスでき、処理する能力を有する企業、グループが圧倒的に有利な立場を築ける世の中になりつつあるのかもしれません。ターミネーターではなく、ドラえもんを作る人の育成に貢献していきたいと感じる今日此の頃です。



文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

◆感動の報告会

ある大手企業の地方工場の活動報告会に参加してきました。昔でいう小集団活動のようなもので10組が職場ごとに20分の活動報告をするものです。私も35年この仕事をしているのですが、久しぶりに元気で、明るく、中身のある活動報告で、全くやらされ感のない現場主体の活動報告でした。

時間削減やコストダウン、福利厚生面の改善など多数の改善活動成果の報告がされ、既に実施に移されているものがほとんどでした。定量的成果も想定以上に達し、本社から来られていたスタッフや他工場の参加者も「何があったんですか?」と驚きを隠せないものでした。

他工場から参加した人から「どうしてそんなに部門間で協力できたのか?」という質問が多く聞かれましたが、当たり前の様に「私たちの工場ですから・・・」「皆でよくしていきたいから・・・」というもので、とうの本人たちは「なんでそんな質問するんですか?」という反応でした。 

◆夢をもつこと

 この工場は立地的な条件も悪く、なかなか人も集まらないので閉鎖も噂されていることもあり、なかなか社員のモチベーションも業績も上がらず、改善への突破口を見いだせない状況でした。

そこで、ジェムコと連携(支援ではない)して元気のある工場になろうということで、活動を始めたのが1年半前でした。まずは幹部が合宿をして工場の将来の夢をつくってきました。この夢が彼らの一番の原動力となり「全員参加で安全で儲かる工場にしよう」という合言葉になったのです。

一方、職場リーダーは今抱えている現場の問題点を共有しました。職場ごとになにが問題となっているのか、アンケートなども取りながらまとめて行きました。

ここで将来の夢をつくった幹部と現実の問題を共有した職場リーダーが腹を割って話し合いをしたのです。ここが肝のところです。職場リーダーからすれば「将来の夢は実現したいが、現状の問題を抱えながらどうしてそんな夢が実現できるのか?まずそれに取り組む時間などない」とのことでした。そこで話し合われた結論は、「夢に向かうために時間をつくろう」ということでした。

まずやったのは、会議や報告書作成など本社や工場幹部で意思決定できるものを削減したことでした。約4000時間の削減になったとのことです。そこから次は、現場の活動となって行って年間で約20000時間を削減したのです。 

◆仲間とともに歩むこと

 発表会の中で特に感じたのは、課長と職場リーダーとのコミュニケーションが良いことで、その信頼関係の良さがうかがえました。各職場リーダーの発表の後に課長のコメントがあるのですが、お酒を飲んだ時のエピソードや趣味で一緒に遊んだことなど、仕事外での話が多く、よい人間関係ができていることがうかがえました。

どんな方針も指示も関係性が悪いとなかなか徹底できませんが、この工場には皆で協力してやり遂げる力を感じました。

そういえば、工場長が我々だけにもらした感想は「方針が伝わるということが初めて実感できた」とのことでした。 

◆教えないコンサルタント

 この活動は、課長が中心になって職場リーダーの単位で活動をしました。そこでのコンサルタントの役割は、課長と職場リーダーの話を聞くことでした。但し、“能力もやる気もない人間は一人もいない”という信念をもって聞きます。

冒頭の幹部と現場の腹を割った話し合いの後は、「それじゃーやろう」となった課長と職場リーダーの話をひたすら聞くことでした。最初は、会社や上司に対する不平不満ばかりだったそうです。しばらく不平不満を言うと、「実は日頃からこんなことをやってみたかったんだ」「こんなことをやると皆が楽になるんだ」と日頃思っていたがやれていないことをやってみるという宣言をし始めたのです。課長中心に「こんなことをやってみないか」「夢のある職場にしよう」という発言に、職場の人たちも響いてくれたのです。 

◆主体性をもつこと

 主体性を待たせることが本人にとっても、会社にとってもいいことは分かっているのですが、企業の中での話を聞くと似て非なるものがとても多いのです。

ある会社の役員は「うちは働き方改革を小集団でやらせています。各小集団に予算を持たせて何でもいいのでテーマを持って取り組めと言ってるんですよ。私が現場まで行って、私が若い頃はこんなことをやったんだとか、こんなことに取り組むと成果が出るよと、しっかりアドバイスしてあげないと活動できないんですよね」と・・・。これって主体的活動なのでしょうか?

今回の報告会を聞いて、この活動は継続すると実感できました。それは主体的に自分達の職場を皆でよくしていこうという意志が感じられたからです。そこには、コンサルタントの指導もトップダウンの指示もいらないのです。

印象的だったのは報告会でジェムコという名前もコンサルタントという言葉も一切出なかったことです。私は心の中で本当の黒子に徹したコンサルタントに惜しみない拍手を送りました。

 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回の本連載予告編では新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、
成長(収益化)させていくという事業のライフサイクルを、以下の図を用いて俯瞰しました。

テーマ領域


第1回では最初のステップである
「新規事業のフォーカス領域選定」における基本的な考え方について解説します。

皆さんは新規事業のアイデアを構想する際、どのようなステップを踏むでしょうか?
我々が見てきた多くのケースでは、世の中の動向や将来のニーズを広く想像し、そこから
自社のリソースが活かせるようなことを自由に発想する、ということが多いようです。
一見すると間違っていなさそうなやり方ではありますが、検討領域をあまりに広く取ってしまう
ことで、思考が発散し過ぎ、まとまるものもまとまらないという状況に陥り易いケースをよく見ます。
 
こういったことを回避するために、最初のステップとしてジェムコでは
「新規事業を構想する検討領域をフォーカス」することをお勧めしています。
新規事業なのに検討領域を限定してしまうの?と疑問に思われるかもしれませんが、あえて
枠を設けることで、四方八方に思考を飛び散らかすことなく、自由な発想を促すことも可能です。

その際に注意したいのは、自社の既存領域に近接する関連領域からフォーカス領域を定めよ、
ということです。逆に言うと、自社が全く知らない(素人である)まっさらな新規領域にいきなり走って
はいけないということです。
 
新規事業とは元来リスクが高いもので、「一発当てる」ことを狙うのではなく、「成功確率を上げる」
マネジメントが必要です。そのためにはある程度目や鼻が利く領域でなければ舵取りが困難になります。(まっさらな新規領域でいきなり成功できる程、美味しいものは転がっていないということです)
図2

図3

上記の図は既存領域・関連領域・新規領域の関係をごくごく簡単に表したものですが、
まずは関連領域の中からフォーカス領域を選定しようということです。
例えば家具メーカーであれば、住設機器や建材を関連領域と捉えることが出来ます。
そしてそのフォーカス領域の中でアイデア発想することがジェムコ流新規事業構想の
第1ステップです。

次回(第2回)は新規事業のタマ出し(テーマ出し)についてのポイントを解説します。
 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

◆ジェムコの成長戦略コンサルティング

 ジェムコでは主に製造業のお客様における

「モノづくり」・「コトづくり」・「ヒトづくり」のご支援に取り組んでいます。

成長戦略コンサルティング事業部では、この中の「コトづくり」領域に着目したご支援活動を手掛けており、国内だけではなく、海外(主にアジア)も含めた事例・実績を積み重ねてきています。

本連載(全7回)では、ジェムコのご支援テーマをご紹介しつつ、お客様が成長戦略を描いていく上でのポイントについて解説していきます。今回は予告編として、

ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方を、ご支援テーマの全体像を示しながらご紹介します。 

◆ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方

 下図は成長戦略コンサルティング事業部が手掛けているご支援テーマの全体像です。

 
       テーマ領域
 
 

 ジェムコの成長戦略コンサルティングは「新規事業(新商品、新技術)」が基点になっており、新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、成長(収益化)させていく、という事業のライフサイクルに沿ったお手伝いができるようになっています。

新規事業が大きくなれば、いつしか既存事業となり、既存事業として収益の最大化を目指していくことになるわけですが、この段階になると「コトづくり」だけではなく、「モノづくり」・「ヒトづくり」も含めたトータルでの改革・改善活動へと移行していきます。 

 コンサルティングにおいて我々が大切にしている基本的な考え方は、活動を通じてお客様にどのような成果を残したいか、ということであり、それは次の3つです。
 

     ① 文字通りの成果(定量成果・定性成果)

    ② 事業を構想し、立ち上げていくための仕組み

    ③ ②を実践していく(実践していける)ヒト
 

これらの成果がどのようにして生まれていくか、“現場の空気感”をできるだけこのコラムでお伝えしていきます。

 

◆本コラムの構成

 本コラムでは、先ほど示した全体像の各プロセスの要点や難しいことについて事例を交えながら解説していきます。

 ・第1回:新規事業のフォーカス領域選定

 ・第2回:新規事業のタマ(テーマ)出し

 ・第3回:タマの事業化戦略策定

 ・第4回:新規事業のバリューチェーン構築

 ・第5回:市場創造・顧客開拓

 ・第6回:事業中期計画の策定

 ・第7回(最終回):さらなる事業拡大に向けて
 

新規事業ご担当の方、経営企画ご担当の方にとって特にお役立て頂けるような情報を盛り込んでいきますので、これからよろしくお願いいたします。

 









 

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の七回目(最終回)として「成長と新しい目標設定」ということについて取り上げます。

環境変化とマネジメント

 今話題になっている「電通鬼十則」を改めて読んでみました。私(58歳)にはすんなりと受け入れられる内容で「なるほど」と感心して読んでしまいました。十則を通して大筋では「何事も夢を持って主体的にチャレンジせよ」となかなか良いことが書いてあります。

問題になっているのは十則の五番目で「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは・・・」という内容です。おそらく、我々の年代以上の人には受け入れられても、その下の年代には違和感があるのではないでしょうか。特に「殺されても放すな」は今に時代にふさわしいとは言い難いでしょう。

電通広報部は「企業風土の検証・改善は重要な課題の一つで、手帳への掲載は取りやめを検討している」としています。

 この電通に代表されるような世代間のギャップが、日々、社会の中で起きています。「団塊の世代」「しらけ世代(捨て石世代)」「新人類世代」「バブル世代」「団塊ジュニア世代」「ゆとり(さとり)世代」と価値観が変わってきているのです。

日本生産性本部の「働くことの意識」調査の新入社員の働く目的の推移では、2000年に「自分の能力を試す生き方をしたい」が「楽しい生活をしたい」に逆転され、その差は開く一方になっています。7年もとしの差があると、価値観が理解できないと言われています。この世代間の価値観が異なる集団の中でどうマネジメントをしていけばいいのでしょうか?

マネジメントが通用しない

 我々の日々の営業活動の中で、私と同じ年代の幹部から最近頻繁に相談を受けるのは「我々が団塊世代からされてきたマネジメントが通用しなくなってきた。社員がどうしたらもっとイキイキと主体的に働いてくれるんだろう」というものです。

 ある大手企業の幹部は「今まで強引にでも腕力でねじふせてきたが、最近では何を言っても動かなくなってきた。もっと現場から主体的に動くやり方がないか」とのことで、現場のヒアリングをしたところ「冗談じゃない。人は以前の半分になり、その上○○活動をしろ、○○の報告しろと、どこに時間があるんですか、やってられません」との反応でした。

 この状況はこの会社特有のものではなく、多くの会社の現状と言っていいでしょう。バブルがはじけてから、グローバルでの競争に打ち勝つためにコストパフォーマンスを上げなければならず、経営側は人員削減とコスト改善に集中し、現場をひと塊(数字)とみて、それぞれの人(個性や可能性)を見ることをおろそかにしてきてしまった、ともいえるのではないでしょうか。

◆今も昔も

 今年のNHK大河ドラマの「真田丸」の策士で名をはせた真田幸村のお父さん(真田昌幸:大群の徳川勢を2度も破った)の遺言が次です。

ワシの策に場数などいらぬ

ワシの策に心得は一つ

軍を一つの塊と思うな

一人ひとりが生きておる

一人ひとりが思いを持っておる

それを夢ゆめ忘れるな

 

 武田信玄の有名な言葉に

「渋柿は渋柿として使え。接木をして甘くすることなど小細工である」

つまり渋柿は渋柿としての良さを生かせ、無理に甘くする工夫などするなということです。

信玄は戦場にいくと気が弱くいつも情報収集ばかりしていて役に立たない武将を後方において裏切りが起きないように見張らせたら大きな活躍をしてそうです。

 真田にしても武田にしても強い集団はリーダーの強いリーダーシップだけではなく、そこにいる一人ひとりをきちんと見てその個性と可能性を伸ばしていることがわかります。

 

◆強い集団とは

 ある高収益企業の工場にお邪魔した時、会社の玄関にかかっていた横断幕の言葉が「私たちの幸せは昨日の自分よりも成長することです」というものでした。これは素晴らしいなと思って工場見学すると、作業中の方が皆「こんにちは」と作業を中断して立ちあがって挨拶してくれるのです。申し訳ないので「挨拶は結構ですので作業を続けてください」とお願いすると「ご挨拶するのは私たちのお給料はお客様から頂くので、お客様がお見えになったらご挨拶しようと私たちで決めたのです」との回答。感動して鳥肌が立ちました。

 強い集団とは、夢(目標)に向かって、それぞれの人がその個性と可能性をフルに発揮して、仲間と励まし合いながら、苦しい試練をポジティブに乗り越えながら、一歩一歩着実に行動し、それが習慣となり、その成長が他の人へ影響して風土・文化となり、次なる目標(夢)に向かっていきます。それが下記にあるような図になります。

 

◆「働く」ということ

7回にわたる「働き方改革」の連載では、この図のそれぞれを解説してきました。これはあくまでも考え方なので、具体的にどうやっていくかはトップの方と十分話をし、その状況とあるべき姿を踏まえて方向性を出していきます。基本的には、やらせ型ではなく、コーチングを織り交ぜながらそれぞれの世代の価値観の中で、本人の主体性を待つやり方です。答えは一つではなく人の数だけある、ということです。

「働く」ということは、試練を克服し、運命を好転させてくれ、成長する喜びを与えてくれます。つまり、一生懸命働くことで「幸福な人生」を送ることができるのです。摩擦を恐れ、孤立し、楽をして生きようとすることが実は「不幸な人生」を送ることになるのです。

私たちも経営コンサルタント会社として、一人でも多くの人に、自分の持つ個性と能力を発揮して一人ひとりがイキイキと働き、顧客に喜ばれ同僚に感謝されるような有意義な人生を送っていただける一助となれるよう、使命感を持ってご支援させていただきたいと思っております。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の7回目(最終回)ですが、7回を通して読んでいただけると「主体的に①夢を持った集団が ②仲間とスクラムを組みながら ③思考を変えて ④自分で考えて、自分で決めて行動し ⑤それが習慣化され力となり ⑥成長しながら次なる目標設定をして強い集団になります」ということになります。

下図の様な順でスパイラルアップして、企業風土・文化を再構築して行きます。



WI
 

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の六回目として「行動の習慣化」ということについて取り上げます。

 

◆イチロー選手の習慣化力

今年6月についにイチロー選手が、ピート・ローズの持つMLB通算最多安打記録4256安打を抜きNPB/MLBの通算安打で記録を更新しました。

どうして(メジャーの中では)あんな小さな体で、大リーガー相手にそんなことができたのか。彼もアメリカに行ってすぐは筋力トレーニングなどで身体を大きくしようとして失敗したようです。そしてたどり着いたのは「細かいことを積み重ねるしか頂上には行けない」そのために身につけたのが習慣化です。

 

メジャーに来てから毎日の朝食は弓子夫人がつくるプレーンカレー(具なし)と決まっている、試合の日の集合時間の1時間前に来ておこなうストレッチやトレーニングメニュー、試合後のロッカールームでの1日の振り返りなども常に一定で時間まで決まっています。

 

常にやれることを全てやり準備することで、最高のパフォーマンスを発揮できる自分でいられるようになれば、自分に誇りを持てるようになります。自ずと自分が取り組んでいることも細部までこだわりをもてるようになり、手抜きがなくなるのです。

 

◆習慣のすごさ

イチロー選手が外部環境に惑わされることなく力を発揮できたのは、最高のパフォーマンスを発揮できるための毎日の積み重ね(習慣)なのです。ゴルフの石川遼選手が今年は腰を痛めて休養をしていましたが、アメリカに行って、外国人選手と同じ様に飛ばすためにクラブを重くして腰を痛めたそうです。休養して現在は国内で活躍していますが、シャフトを40グラム(40%)も軽くしたそうです。何かを見つけたのではないでしょうか。イチロー選手の様に外部環境に影響されず自分を見つめてこれから活躍してほしいものです。

 

環境はコントロールできない部分があります。しかし、自分はコントロールできます。その自分のパフォーマンスを上げるために何をすればいいのか、それを目標に新しい習慣をつくっていくことが、環境に惑わされずに自分の最高のパフォーマンスを出す秘訣なのです。

 

◆ストレスに強くなる(セロトニンとドーパミン)

習慣は最高のストレス解消となるそうです。ストレスに強い人なんていないのですが、それから復元できることが大切で、普段からセロトニン神経を活性化する習慣を持っているといいのです。毎日ジョギングやスクワットのようなリズム運動を実践している人は、日常的に復元力がしっかりしているので、ちょっとくらいのストレスに遭ってもすぐ回復できる。もっとも復元力を高める方法は太陽の光を浴びての朝一番のウオーキングだそうです。

 

脳科学的には、新しい目標や習慣を計画する時やその目標に向かって努力している時に脳内にドーパミンが出て、注意力や集中力が出て幸福感を感じるそうです。よくマラソンを続けている人は習慣になるそうですが、ドーパミンが出て心地よくなるので続くようです。

 

実は、私も毎朝、6時31分45秒からテレビのラジオ体操をスタートに、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ストレッチと30分程からだを動かしているのですが、もう習慣になっていて15年も続いています。私の場合はこれで一日の準備ができたという感じです。

 

◆習慣の重要性

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」とはマザーテレサの言葉です。

 

ある思いを実現するためには習慣が大きな意味を持ちます。日々の半分以上は習慣的に行われていると言われています。習慣化されると意志力を使わないので、余力の意志力で新しい習慣化のための力が使え、新しい習慣を作れば作るほど前頭葉が鍛えられて、意志力、集中力が上がってくるのです。

 

全ての行動は、意識、無意識にかかわらず、最初は自分自身が「自ら選択した行動」です。いきなり習慣が出来上がったわけではないのです。それのため、良い習慣を形成すれば良い人生に近づくことができ、悪い習慣を形成すれば良くない人生に転落するわけです。

結局、どうやって生きていくかというのが大事なことで、苦しい中でどう向き合うか、どうやって進んでいくか、その姿勢みたいなものが大切なのです。避けることができない苦しい環境の中で、いかに高いレベルで自分を保つかというのが、大きな結果を出し続けるために重要なのですが、これを生み出すのが習慣化の力なのです。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の6回目ですが、6回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて ⑤自分で考えて、自分で決めて行動し ⑥それが習慣化され力となり、強い集団になります」ということになります。

次回は「『働き方改革』の本質」の最終回(7回目)で、「風土・文化改革」というテーマです。

以上

文責:ジェムコ日本経営 常務取締役 コンサルタント 北井好

 日本の製造業の現場では過去から培われた技術が伝承されないまま空洞化する危険性が散見され始めています。この問題に対してどう取り組んでいけばよいか、第3回目(最終回)に入ります。

 第2回目で技術伝承を加速させるには、正確に技術をまとめ上げることがまず必要であり、そのためには三つの能力要件(管理技術)が重要になる、というお話をしました。

 「技術を正確に引き出す」技術、「技術を正確に表現する」技術、「技術を正確に伝える」技術ですが、これらは人に帰属する性格のものであり、これらの技術を体得した人が核となって技術の伝承を加速推進させる必要があります。

 ただここで問題になることがあります。

 これらの技術を体得しているといっても、その人がどのレベルにあるのかその客観的評価ができていないと、「技術を正確に引き出す」段階での活動が難しい状況に置かれる場合があります。

 というのは、技術ノウハウを持っているのはベテラン、引き出す人はその後輩、となれば立場上のことを考えればスムーズにいかない場合が想定されます。

 我々外部の者であるコンサルタントがベテランから聞き出す場合ですら、最初は険悪なムードになることがあり、同じ会社の先輩・後輩という関係ではなおさら、という状況が考えられます。

 そこで、この三つの能力要件を身に付けた人を育成し、これを客観的に評価しその能力レベルに応じた資格認定を行う、「テクニカルナレッジエンジニア資格認定制度」をこの度創り上げました。

この認定制度の狙いは、広く世の中の人がこれを認め、この資格を持った人が、帰属する会社においても認知され、年齢・経験関係なく技術伝承の活動に邁進できる状況を創り上げることにあります。

 これにより日本全体の製造業での技術の空洞化に歯止めをかけようという壮大な想いもあります。

 なお指導育成の形態としては、特定企業に入り技術の見える化活動をプロジェクト推進することにより関わったメンバーを育成する「プロジェクト型」、特定企業に入り具体的テーマを取り上げ実践研修を行う「ワークショップ型」、テキストをもとに行う「公開研修型」がありますが、「プロジェクト型」「ワークショップ型」が資格認定の対象になります。

 「技術伝承を加速させるために」をテーマに、(第1回)なぜ技術伝承が進まない (第2回)技術伝承にブレーキをかける三つの壁の克服 (第3回)テクニカルナレッジエンジニアの育成と資格認定制度、をお話ししました。


技術伝承は、プロジェクト型で進めていくのが確実ですが、資格というトリガーを活用し、技術を見える化し、残し、発展させる人材育成から始めるのも得策の一つと考えています。各社さま、まずはまずは、ワークショップからお試しで着手みてはいかがでしょうか?


文責:ジェムコ日本経営 執行役員 ニュービジネス開発事業部 事業部長 財田 和典 


◆近況“技術の神様” 

 日本の技術の守り神」久し振りの復活で、今回が5回目になります。

「技術の神様」事業をスタートして7年余り。現在約150名の「技術の神様」(技術コンサルタント)を擁し、ますます活況を呈しております。

これも、ひとえに皆様のご愛顧とご支援によるものと深く感謝申し上げます。

日本各地から技術課題ニーズを頂戴し解決していく上で、多種多様な技術課題に合った解決方法がありますが、その解決を支援するのが「技術の神様」です。

「技術の神様」のホームページは、コチラ


◆人事部門からのお問い合わせ
 前にもご紹介しましたように、「技術の神様」の候補人材ですが、私たちは日頃コンサルティングで経営者の方とお会いさせていただくのが仕事ですので、その方から優れた技術をお持ちのシニア人材、それも、高度な専門技術に詳しいことはもちろんですが、技術のみならず人生観、哲学のしっかりしている方を推薦いただいております。

さらに最近では、企業の例えば人事部門からお問い合わせをいただくケースも増えています。

優れた技術を有する企業には、必ず技術の核となる人材がおられます。

定年を迎えた、あるいは定年間近のベテランの技術者の優れた貴重な技術を埋もれさせることなく、日本企業のものづくり支援の”やりがい”の実現、セカンドライフの”生きがい”の場として、企業(人事部門など)から「技術の神様」へお問い合わせが増えてきています。

これまで「技術の神様」事業を展開してきて痛切に感じますことは、日本には誰にも負けない貴重な技術をお持ちの方“日本の技術の守り神”が、まだまだ眠っていらっしゃるということです。
 

・誰にも負けない技術を活かしたい方

・日本のものづくりの将来を憂いている方

・海外経験豊富な技術者の方


等、これまで培われてきた技術やノウハウが、今日本企業に必要とされております。是非、シニアの方の貴重な技術力の発揮を通じまして、社会貢献、産業貢献へのご参画いただけますこと、心よりお待ち申し上げます。

「技術の神様」のホームページは、コチラ

【本サービスに関するお問い合わせ】jemco-frontierアットjemco.co.jp (アットを@に変えてお送りください)

文責:ジェムコ日本経営 常務取締役 コンサルタント 北井好


 日本の製造業の現場では過去から培われた技術が伝承されないまま空洞化する危険性が散見され始めています。この問題に対してどう取り組んでいけばよいか、第2回目に入ります。

第1回目で技術伝承にブレーキをかける三つの壁についてお話ししました。

 一つ目は「どう技術を正確に引き出すか」の壁、二つ目は「どう技術を正確に表現するか」の壁、三つ目は「どう技術を正確に伝えるか」の壁でした。これらは組織の変更やシステムの構築を検討することで克服されるものではなく、言いかえれば必要条件ではあっても十分条件ではないといえます。基本は、技術をまとめ上げるべく専任された人がこれらの能力を身につける必要があります。そして、これらの能力を誰もが身につけられるようにするには、この能力を理論化・普遍化し管理技術として理解し、訓練により体得する必要があります。

 さて、これからこれら三つの技術についてお話します。


 1.「技術を正確に引き出す」技術
 この技術のポイントは、根拠を徹底的に明らかにしていくこととその根拠が科学的裏付けのある理にかなったものであるかを見抜くこと、であるといえます。モノづくりの現場では、何かの行為や作用を与えることによりモノが変化します。与える行為や作用の目的とその条件の根拠、そしてそれがモノの変化の原理とどう関連するのか、曖昧な部分を残さず徹底して明らかにしていくことが必要になります。中には行為・作用とモノの変化の原理が明確に関連付けられないものも出てきますが、それらは、経験としての知見として別整理しておきます。


 2.「技術を正確に表現する」技術
 この技術のポイントは目的的表現・能動的表現を取ることであります。

 VE( Value Engineering : 価値工学 )の機能的考え方をベースとし、「○○を△△する」という表現を基本として簡潔にまとめていきます。受動的表現・情緒的表現・冗長表現は避け、形容詞は数値化をしていきます。そしてまた、その行為・作用の目的は何か働きは何か、の確認を行い上位・下位の関連の適合性をチェックすることにより、表現として適切な言葉を用いているか評価します。

 3.「技術を正確に伝える」技術
 この技術のポイントは技術として確立されたものとそうではない経験上の知見レベルのものは明確に分けて伝えること、そして伝える媒体と形式をどうするか、にあります。経験上の知見レベルのものを技術として認識し伝承していくのでは、進化は生まれません。地道な理論解明の姿勢が重要であり、そのためには技術と経験上の知見は峻別して伝える必要があります。また、文章よりは写真、写真よりは映像、と盛り込める情報量は多くなります。また行為と作用では表現すべき情報の種類が異なります。対象に応じて媒体と形式を選択する必要があります。


次回は技術をまとめ上げるべく専任された人、すなわち「テクニカルナレッジエンジニア」についてお話します。


文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の五回目として「行動の変化:自分で考え、自分で決めて行動する」ということについて取り上げます。
 

◆頭は臆病

 営業で新規のアポイントを取る時、あれこれ考えると電話ができなくなります。相手は忙しいのではないか、怖い人だったらどうしよう、上手く説明できるかな…、考えれば考えるほど、悪い方のイメージが湧いてしまいます。頭の中を真っ白にして電話番号を押してしまえば、「お会いしましょう」なんて簡単にアポイントが取れるケースがあります。

 「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」。頭で考えていると、どうしてもできない理由をいろいろと考えてしまい、どうしてもマイナスな方向へいってしまう。でも実際に手を動かしてみると、意外と簡単にできることが多い。まず手を動かして考えていることができるということを、体を通して知ることが大事なのです。


◆自分で決める

 ある会社で営業成績の悪い人たちを対象に研修をしたことがありました。

話を聞いてみると皆「この地域ではむずかしい」「体調がすぐれなくて」「仲間の協力が得られなくて」など、できない理由ばかりでした。

 自分の可能性をなくしているのは「おれはこんなもの」「これでいいや」「これ以上は無理」というマイナスな自分自身の考え方です。それを破るのは自分で考えて自分で決めて行動するしかない。但し、最初から難しいことをやるよりスモールステップでやれることから取り組むことが大切だということを、研修を通して知って頂きました。

 メンバーが主体的に始めたことは「水曜日の午前中だけある地域を回わってみます」「くすりをちゃんと飲んでみます」「積極的にこちらから仲間に挨拶します」というものでした。ごく簡単な行動でしたが、手ごたえはあったらしく「よい話がありました」「体調がよくなりました」「職場の人が協力してくれます」と、まずみんなの表情が明らかに変わってきたのです。結果は、半年後このメンバーの方々はトップ近くまで成績が上がったのです。
 

◆脳内物質とマネジメント

 上記の例の様に、主体的に行動すると脳にある「報酬神経群」の働きでセロトニンやドーパミンという物質が出て、心地よいご褒美を感じ、次へのチャレンジに本人を駆り立てるのです。スモールステップで最初はどうでもいいようなことですが、主体的に行動して上手く行くことが、心地よさとなって次の行動へと導いていくのです。

特に、若い人たちは“指示待ち”だったり“事なかれ主義”だったりで主体的に行動できないことが多いようです。上司は安易に指示を出したり、自分の価値観や経験を押し付けるのではなく、失敗をしてもよいくらいの気持ちで、自分で考えて自分で決めて行動させるように仕向けることが重要です。そして上手くいったら褒めてあげる。そして、主体的に行動することが習慣化されることで、本人も成長する喜びを感じてチャレンジするようになります。


◆夢に向かって行動を起こす

 行動を起こすのには、夢や志が必要です。そのために、未来を考えることが大切となります。5年後、10年後、20年後、世の中はどう変わっていくのか。その未来で自分は何をしていたいのか。何ができる人間になっていたいのか。このイメージが湧いて、自分の“やりたいこと”が見つかれば、それが行動の大きな原動力となります。

 未来を夢を持って見ながら、その未来に自分がどんな形で携わっていたいかを考え、そのために今から何ができるのか、どんな努力をしていかなければいけないかを考えた上で、スモールステップで行動することが大切です。


これで「働き方改革」本質の五回目ですが、5回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が②主体的に③仲間とスクラムを組みながら④思考を変えて⑤自分で考えて、自分で決めて行動する強い集団になります」ということになります。

次回は本質の六回目「行動の習慣化」というテーマです。

文責:ジェムコ日本経営 常務取締役 コンサルタント 北井好


日本の製造業の現場では過去から培われた技術が伝承されないまま空洞化する危険性が散見され始めています。この問題に対してどう取り組んでいけばよいか、3回に分けて述べてみたいと思います。

 

 大仰に言えば、人間社会がここまで進化したのは知恵と経験の蓄積と伝承、そしてそれを理論化し普遍化していく志向、すなわち技術として共有化したことにあるといえます。

これを日本の製造業の現場に置き換えれば、技術の共有化と伝承が進まなければ日本の製造業に将来はないといえるでしょう。

 にもかかわらず、製造業各社にお邪魔して経営幹部の方とお話すると必ず出るのは「技術伝承が進まない」というお悩みです。

 それではなぜ技術伝承が進まないのか、考えてみたいと思います。

 各社の実態を拝見した時、まず思うのは「過去の経験の蓄積を本当に技術まで昇華させているか」ということです。

 若手が先輩のやり方を見よう見まねで失敗を重ねながら一人前になっていく、ここで止まってしまえば、いわゆる暗黙知の状態のままになってしまいます。

 我々コンサルタントがベテランあるいはマイスターと呼ばれる方にその方たちがお持ちの技術について具体的にヒアリングしたとき、よく聞く答えとして「いろいろあってね」があり、さらにしつこく聞こうとすると怒り出す、という険悪な状態になることもあります。

 これではベテランの方に技術をまとめてくれとお願いしても、何をどうまとめたらよいかわからない、後輩がベテランから聞き出そうとしても一蹴されるということになってしまいます。

 すなわち、「どう技術を正確に引き出すか」が最初の壁になります。

 次に多く見られる実態は、意欲あるベテランの方がせっかく技術ノウハウをまとめたのに「ノウハウが理解できない」「人によって粒度が違う」という現象です。

 ベテランの方は技術に精通した人であり、他の人に何かを正確に伝達する訓練は日頃受けておられないのが実態ではないでしょうか。

 言葉にしても文章にしても映像にしても「どう技術を正確に表現するか」これが第2の壁になります。

 そして第3の壁は「どう技術を正確に伝えるか」ということです。

 伝承すべきノウハウはすべてが技術として昇華できるものではありません。

 トラブルが起こったとき対策を打つわけですが、その根拠が理論化できていれば技術として昇華されていることになりますが、トラブル対応集・やってはいけないこと集でとどまる場合も発生します。技術の進化が激しい場合も同様のことが起こりえます。

 伝承すべきノウハウが技術として確立されたものなのか、あるいは失敗の経験レベルなのか、正しく峻別して伝えていく必要があります。

 このことにより、失敗の経験レベルを技術に昇華していく日々の努力につながっていくわけです。

 

 次回は今回説明した技術伝承にブレーキをかける三つの壁についてもう少し詳しく説明し、どうすればこれを克服できるかについてお話します。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の四回目として「思考の変化:人生は考え方次第」ということについて取り上げます。
 

◆病気を通じて学んだこと


今から16年前、医者から言われた言葉です。

「即入院ですが、治療方法がありませんので、後は体力勝負です。頑張ってください」と。

突然の発熱と血尿で、病院に行っての診断結果です。

この日から1週間、40度の発熱と血尿が続き、もうダメと弱気になり、過去を振り返っては「あれがいけなかったかな」とか、先を考えては「死ぬんじゃないか」とか、悪いことばかり考え、恐怖のどん底におりました。

その時、実に不思議な体験をしたのです。

夢うつつのなかで、“神の啓示”ではないのですが、脳に直接テロップが流れるかのように、明らかに誰かが語りかけてきたのです。

要約すると

「過去は変えることができないから悔やんでも仕方がない。未来は思い悩んでもどうなるかわからないだから、今なすべきことを熱心になせ 」。

後で調べると「ただ今日まさになすべきことを熱心になせ」というお釈迦様の言葉と重なったのです。

このことが起きてから気持ちも楽になり、病気も快方へと向かい始めました。

この言葉はキリスト教でもイスラム教でもみられ、宗教の基本の様です。こうして先人は、思考を変えることでよりイキイキと生きるすべを教えてくれているのです。


◆ストレスはからだに悪くない

スタンフォード大学教授で健康心理学者のケリー・マクゴニガルさんが最近発表した話がとても興味深いです。

「ストレスはからだに悪い」と言われていますが、最近の研究でそうではないことが証明されたのです。

アンケートとその後の追跡調査でわかったのは、強度のストレスを感じた人は43%死亡率が上がるのですが、これは「ストレスはからだに悪い」と思っている人たちだけで、強度のストレスを感じていても「ストレスはからだに悪い」と考えていなかった人には死亡リスクの上昇は見られず、それどころかこの人たちは、参加者のなかで、もっとも死亡リスクが低かったそうです。

つまり、ストレスがほとんどない人より、強いストレスを感じながらもそれをポジティブに捉えていた人たちのほうが、死亡リスクが低かったということになります。

実際、医学的研究でも、「ストレスはからだに悪い」と考える人たちがストレスで心臓の血管が収縮するのに対し、この人たち(ストレスをポジティブに捉える人たち)は、強いストレス下でも収縮しないそうです。

また、別の研究論文では、「人生の満足度が高い幸せな人々は、ストレス度がすごく高い」という結果もあるとのことで、ストレスを上手く乗り越えたところに満足があるのも確かな様です。


◆脳の暴走と対策

要は、考え方次第で身体に与える影響が違ってくるということです。

悪い例で言うと、何かの病気になり、悪い方へ考えるとどんどん悪いことが起こるのではないか思ってしまいます。つまり、脳が暴走してしまうのです。そして、そこから逃げようとすればするほど恐怖が襲ってきて、結局、病状が悪化したり、うつ病になったりしてしまうのです。

しかし、その意味付けをしてしまっている自分自身(脳の暴走)に気づく力さえあれば、出来事に心が支配されず、そのとらわれからも離れることができるのです。

そうした心の状態にするための四大ツールが“表情、態度、言葉、思考”です。この四つを意識的に明るく前向きにすることで、「脳は、今は平安が訪れ希望に満ちている」と勝手に思うのです。


◆明るく考えれば運命から愛される

わたしたちは、思考次第で生き方が変わってしまいます。

何か悪い出来事が起きても「大変だ」とおろおろするより、「自分の成長のチャンスだ」と思えるかが大切です。

仕事においても、「奴隷のようにやらされている」ではなく、そこに意味を見出し、主体的行動を起こした方がからだにも良いし、仕事も面白くなるはずです。

善きことを思い、善きことをすれば、良い結果が生まれる。 

物事を暗く考える人間は暗い運命を引き寄せる。天を信じて明るく考えれば運命からも愛され、幸せな人生を築くことができるのです。


今回で「働き方改革」の本質の第四回目ですが、4回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて強い集団になります」ということになります。


次回は、本質の五回目「行動の変化」というテーマです。

文責:ジェムコ日本経営 常務理事 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

  前前回は、海外拠点の経営幹部として、赴任前に最低限、身に付けておくべき事項の一つ目として、経営の基本についての理解の重要性を述べた。

今回は、各国で仕事をさせていただくという立場から、各国の事情や文化・宗教等についての事前の理解の大切さについて述べたい。


◆その国の常識を知らないと大変な事態になることは多い

 以前、このコラムの中の「人の現地化」の中で、タイのある拠点で発生した事例を紹介した。それは、日本人出向者が、人事異動に関する説明をするのに、王様を引用して説明したのだが、説明の仕方の悪さもあり、これが不敬発言だとして、従業員から残業拒否、さらには、ストライキに入るという事態にまで発展。事業継続のために、最終、その出向者を帰任させることで収拾せざるをえなくなったという事例だ。タイでは国民の誰もが王様を尊敬している。その当たり前の感覚が不足していると、このような大変な事態を招いてしまうということだ。

また、インドをはじめとした新興国では、売掛金回収問題で苦労された企業も多い。販売したら支払ってくれるというのは日本の常識だが、国によっては、いかに支払いを先延ばしするか、支払わずにすませるかを考えるのが当たり前という国もある。その常識がわかっていないと、売掛金の回収ができず、資金繰りが回らないという事態に追い込まれてしまうということも発生する。

それぞれの国には、それぞれの文化や歴史があり、また、宗教も違う。日本では、無宗教の人も多く、宗教を軽んじる人も多いが、それぞれの国で根付いた宗教を理解せずに、それを無視した言動をすると事業ができなくなるという事態に陥ることは多い。

 その国で生活する上でも日本の常識は通用しないことが多い。チップを支払う習慣の無い日本人は、その国の人からは非常識な人とみられる。また、生活する上で、日本は拳銃の所持そのものが禁止されているが、自分の安全を守るという視点では拳銃を持つのは当たり前という国もある。また、食事をすれば目上の人が支払うのが当たり前で、割り勘というようなことを言いだすと驚かれるケースもある。宗教で禁止されている食べ物や期間があったりもする。飲酒もそうだ。それぞれの国でものの考え方も違うということであり、その国で暮らすには、その国の常識を理解して生活することが必要だ。

ところで、ここまで、各国で文化や宗教が異なるにもかかわらず、事前にこれらの教育がされていないというケースが意外に多い。仕事の引き継ぎは行なわれるが、このような、その国ならではの注意すべき事情が引き継がれていないことも多い。

 そういう意味では、出向者人材の育成には、赴任候補先が決まったら、その国の文化や習慣、宗教をはじめとした、その国の常識を勉強できる機会を作ることが大切だ。これらの勉強方法だが、一つには、日本在外企業協会はじめ、各国の事情や、問題発生事例等を記載した本や資料も多く出されているので、これらを活用して勉強すると共に、可能であれば、日本の文化や考え方をよく知っている外国人の方に、その国で日本人が注意すべき点を教えてもらう場を作ることは有効だ。ある企業では、日系企業での勤務経験のある留学生に来てもらい、赴任国の文化や考え方、また、日本人の考え方との相違点を説明してもらい、日本人が注意すべき点を赴任前研修の中で行なわれている。実際、受講者からは多くの質問が出されるが、事前に、このような事情が理解できるだけで、赴任してから、ローカルの皆さんとの接し方や信頼関係の構築に、大きな効果があると共に、赴任にあたっての不安解消にも役立っている。もっとも、赴任先が多くの国にわたると、そのような場を設けることが難しいというケースもあるが、実は、留学生のネットワーク等を活用することで、結構、多くの国の方にお国事情を聞く機会を作ることは可能である。

 また、生活という視点では、以前、その国に赴任した経験のある家族から生活上注意すべき点を聞くというのも有効だ。仕事の話しだけではなく、生活上の情報も入手することで、赴任者は安心して赴任することができ、事前の心構えもできることになる。また、それらの情報をまとめるだけで、その国で生活する上で注意すべきことや、日本から持参する方がよいもの等をまとめた情報ブックが作成できる。各企業では、これらの情報を集めて一元的に管理することは大変有効なことだ。家族帯同で赴任する場合には、これらの情報を家族にも伝えることで家族の不安を少しでも取り除くことができる。

 グローバル化が加速する中で、これらの情報を積み上げていくだけでも貴重なノウハウにすることができるということだ。


◆その国で仕事をさせていただくという姿勢が大切

 ところで、筆者が海外出向される方を対象とした研修でいつも申し上げていることであるが、一番大切なことは、「その国で仕事をさせていただく」という姿勢を忘れないということだ。実は、海外拠点を訪問させていただくと、ローカルの皆さんをバカにしたような発言をされる方がある。「彼らでは、言ってもわかるはずはない」というような発言だ。その国で拠点を設立して仕事をさせていただく以上、ローカルの皆さんの力がなければ事業は成り立たない。また、その国で事業をさせていただく以上、何かしら、その国に貢献できないようでは、進出する価値はない。その国で、その場所を借りて、また、その国の方々の力を借りて事業をさせていただいているということであり、その基本姿勢を忘れては具合が悪いということだ。

その国を愛し、発展に向けてどうお役立ちできるかを考えることが、その国に受け入れてもらうことができる基本である。常に、この姿勢を忘れなければ、わからないことはローカルメンバーに教えてもらうという姿勢ができ、色々と教えてもらうことで信頼関係と共に、その国の常識を踏まえた行動もできることになる。

現地に赴任すると、どうしても日本人は上位の職につく場合が大半だ。しかし、現地で仕事をさせていただく以上、常に、ローカルの方に教えてもらうという姿勢を忘れてはならないということだ。この姿勢を持ち続ける限り、大きな問題に陥るということは避けられる可能性が高い。出向いただく方には、是非、この姿勢だけは徹底していただきたい。


 日本の市場がシュリンクする中で、グローバル事業の拡大が成長戦略の鍵を握る以上、それを成功に導く鍵は、出向者人材の育成にかかっている。海外展開の計画の裏側には、出向者人材の育成計画が表裏一体として計画されていなければならないということだ。グローバルで事業を成功させるために、各社が適切な出向者人材の育成に取り組まれることを期待したい。

 ちなみに、ジェムコ日本経営では、海外出向される方々を対象とした教育支援も多く実施させていただいていることを申し添えておく。


2013年8月から、この「グローバル展開の現場から」のコラムを担当させていただきましたが、このコラムの執筆を担当させていただくのは、今回を最後とさせていただきます。長期間に渡ってご愛読いただきましたことに感謝申し上げます。グローバル展開無くして事業の発展はできない環境です。皆様のさらなるグローバルでのご発展とご活躍を心よりお祈りしています。

高橋功吉


文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の3つめのテーマ「関係性の向上:思い込みの罠」ということについて取り上げてみます。
 

◆妙齢のご婦人達の会話から

よく電車内やファミレスなどで出くわすオバさん3~4人の会話です。

「ねえ、聞いてよ~。A子さんたら昨日B子さんにこんなこと言っていたのよ」

「私も聞いたわ、信じられないわよね~」

「私なんかA子さんにこんなこと言われたのよ~」

「え~!ひどいわね…」

というものです。

話を聞いていると、A子さんはとんでもない人のようにも思えてくるのですが、だとすると、会話の当事者3~4人と、1人のとんでもない人がいる構図になります。

果たして本当にそうなのでしょうか。もしそこにA子さんがいたら、何と弁明するでしょうか。

人は、本当はこうしたいと思う理想の姿があるのですが、自分の努力不足や怠惰が原因でそれがやれなかった(やらなかった)時、自分を正当化するために、他のことの理由や他の人のせいにする傾向が強いらしいです。

先程の女性たちの会話から想像すると、たとえA子さんは正論を話していたとしても、何らかの理由でそれができない女性たちが、A子さんの性格や言動のせいにして、なおかつ同調者(A子さんは悪者)を増やしている、というそんなシーンなのかもしれません。 
 

◆事実と真実

世の中には事実は一つしかありませんが、真実(事実を受け止める人の価値観と感情を含めたもの)は人の数だけあります。

争いは真実と真実のぶつかりあいです。どちらも自分側の立場では「絶対正しい」のです。世の中の争い事はすべてこれだと言ってもよいでしょう。

それを「お前は間違っている」「あなたこそ違う」と言い合えば言い合うほど、感情的になり、「あいつはダメ」「あの人はひどい人」などのレッテルを張って、もう話を聞こうともしなくなります。つまりこれは“思い込み”です。
 

◆自分の世界を狭める“思い込み”

こうして人は“思い込み”の世界で自分の世界を狭めていき、「俺はツイテいない」「環境が悪かった」「上司・会社・友達に恵まれなかった」などと、自分のことはさておき、外部環境のせい、悪さにしてしまいがちです。こういう人は仕事のパフォーマンスも上がりません。
 

◆何を言っているかより、何をやっている人かが大切

仕事ができる人を見ていると、コミュニケーションがよく、不平不満は言わず、人の悪口は言わない、約束を守る、嘘はつかない、進んで嫌な役回りをするなどの共通点がみられます。そうでない人と何が違うのでしょうか。

仕事ができる人は、他の人や全体の状況を偏ることなくはっきりと見ています。他の人をあるがままに、自分と同じ人間、同じ様なニーズや望みを持った人として、まっすぐに見ています。何よりも、自分でこうしたことを実践していることが大切です。

 その人が何を言っているかではなく、何をしている人かが大切なのです。こういう人のところには、一緒に働きたいと人が集まり、おのずとうまくことが運びます。


◆かけがえのない仲間の長所を見る

このように、自分の価値観で人を見るのではなく、かけがえのない一人の人間として見れば、必ず長所や個性に気付けるはずです。

ある大手印刷会社で、営業部門のミーティング研修を実施した時の最終報告会で、各メンバーからの感想発表を聞いたのですが、同じ営業部門の部長と新人のコメントが次の様なものでした。

部長「ミーティング研修前は、A君のことを全くやる気のないチャラチャラしたダメ人間だと思っていました。今回のミーティングを通して彼と話をして、こんなに優秀でポジティブな人間がうちの部にいたと初めて気がつきました」(実際の言い回しはもう少し配慮されていますが、このような意味合いでした)


A君「ミーティング研修前はいつも怒られていてばかりで、部長の話がさっぱり分からずどうしていいか悩んでいましたが、このミーティング研修を通して、部長が言われていることの意味や、私に期待されていることがはっきりとわかりました」と。


研修により人の見かたや価値観が非常に劇的に変わった事例ですが、皆さんの身の回りにもあることではないでしょうか。つまらない“思い込み”でかけがえのない仲間を「ダメなヤツ」「つまらないヤツ」と決めつけていませんか。


◆組織における信頼関係が業績を上げる

とはいえ“思い込み”に気付くことは至難の業です。それは、自分の思考の枠組みであり、そこを自ら越えたり壊したりできないのです。例えば居心地のよい自分の部屋の壁を壊したり、屋根を取っ払う様なことであり、自らやることは簡単なことではありません。ではどうすればよいのでしょうか。

まずは、異質なものを受け入れてみることからではないでしょうか。世の中では「ダイバシティー」と騒がれていますが、これは何も外国人や女性を受け入れようということだけではなく「多様性の受容」ということです。異質なものを取り入れて組織生産性を高めようというものです。まずは先入観なしでいろいろな人の話を聞いてみませんか。


仕事を効率的に進めるためには「組織における信頼関係」といったインフラが不可欠です。お互いがそれぞれの価値観を知り、信頼し合っていることで良い連携がうまれ、お互いのミスを補い合い、そこにそれぞれの経験とスキルも加わって、成功の度合いを大きくすることができます。

企業業績を上げるために経営戦略や組織改革が論議されがちですが、本質的な部分としては、この信頼関係が構築されているかどうかが大切な部分だと思います。人間同士の関係性が深まることで連携が深まり、発想が広がり、モチベーションが高くなります。当然モチベーションの高い連携の取れた組織は、結果として業績が良くなるはずです。


今回のコラム「働き方改革」をシリーズ通して読んでいただけると
1.夢を持った集団が 2.主体的に 3.仲間とスクラムを組みながら働いて強い集団になります
ということになります。

次回は「思考の変化」というテーマです。

 

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