【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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文責:ジェムコ日本経営 常務執行役員 奥村英夫

前回は、「生産資源の“柔構造化”」を活用した4つの方法論のうちの2つめ、「生産資源の価値向上」について解説した。今回は、4つの方法論のうちの3つ目「生産資源の構造改革」について解説する。

<方法論―3>生産資源の構造改革
生産資源をコア業務へ集中することでコアの度合いの低い業務への人材投入が手薄となる。コアの度合いは低くとも企業の基本機能を果たす必要業務である限り、排除することはできない。そこで、コア業務への集中化をスムースに進めるため「生産資源の構造改革の戦略」が必要となる。生産資源の構造改革は「作業のコアの度合い」と「生産能力の負荷の度合い」で方向付け(下図)される。「生産能力の負荷の度合い」とは、生産資源のロスの大きさに他ならない。

コアの度合いの高い業務は原則社内である。能力に対する負荷が高ければ新たな技術・技能を持った人材育成、設備の改造、導入が必要となる。(図4-4のA ゾーン) 能力に対する負荷が低ければ、現状がアウトソーシングであれば社内へ取り入れることで生産資源のロスが減少し価値は高くなる。(B ゾーン)

 コアの度合いが低い業務は原則アウトソーシングを行う。それにより社内の能力がますます空いてしまう場合はその余力をコア業務に回し人材を補充することが可能である。これにより生産資源のロスはなくなる。(C ゾーンの余力をA ゾーンへ)
尚、コア業務を社内へ取り入れることにより作業コストが上昇する場合がある。しかし、だからと言ってコア業務の取り入れを止めるのではなく「効率的な作業」や「投資の軽減」を工夫することで、「収益の成長力の源泉」の確保を怠らず、「収益の定着化」に繋げていくべきである。
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●生産資源の構造改革の方向性

以上
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文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

 今回は、海外でよくある問題の中から、不正問題について述べることにする。

先ず、出向者が認識しておかなければならないことは、新興国であれば、必ずと言ってよいほど、不正はあるということだ。うちの会社ではそのような不正はないと言われる方もあるが、たいていの場合は、それがたまたま発覚していないからにすぎないと考えるべきだ。

 

◆不正も権利?

 新興国や発展途上国は、まだまだ、裕福とは言えない生活環境の人が多い。例えば、筆者がインドで経験した事例を紹介しておこう。20年近く前のことだが、当時は今のようなショッピングモール等はもちろんなく、裸足で歩いている人が大半だった。街の店舗を回っている時のことだ。小さい子供達が1ルピーでよいのでくれと足にしがみついて手を出してくる。かわいそうなので渡そうかどうしようかと迷っていた時、「渡したら最後、数えきれない人達に囲まれることになるよ」と言われ、仕方なく足を引きずって歩いたことを今でも鮮明に覚えている。このような生活環境で育った子供達が、今、働いているのである。ある意味、不正ができる機会があれば、それは一つの権利をえたのと同じと思ってもおかしくないということだ。

 不正についての感覚は、日本人はそのようなことは絶対に許せないことと考えるが、新興国や発展途上国では、それほど悪いことという意識は無く、不正も権利の一つという位の感覚だということだ。先ず、現地でオペレーションする出向者は、このあたりの感覚を理解しておくことが大切と言える。よくあるのは、信用していたローカルメンバーが不正をしていたことがわかり、それにより信用ができなくなり、それまで築いてきたローカルとの信頼関係が崩れるというケースは多い。さらに実際に不正を見つけ退職させたという例もあるが、そうなると経営そのものの推進に支障がでてくるケースもある。さらに、密告等があるケースもあり、そうなると、不信感ばかりが先になり、その確認や追及に明け暮れ、肝心の経営推進そのものが疎かになってしまうという例さえある。以前、この不正問題に頭を抱えられていた現地会社の社長に、「あなたがやろうとしていることは、まるで10億人の風土改革ですね。」と申し上げたことがある。先ずは、このようなことは当たり前と考え、目くじらを立てるのではなく、「幸い経営に大きな影響が出ていないのであれば、許されることではないが、まあいいか」位の気持ちを持っていないと精神的にも参ってしまうからだ。その上で、それを防ぐ策を検討し、着実に実行することが大切ということだ。


どんな不正があるか

 それでは、先ず、どんな不正が発生しているか、いくつか事例を確認しておきたい。

不正で多いのは、個人の裁量によって購入や支払いが決められたり、数量や単価の妥当性がチェックしにくいものだ。例えば、所要量が自動的に計算されない間接材料の取引は不正がしやすい。たまたま、ある支援先で、ものづくりのベースである5Sの指導をしていた時のことだ。手袋が各職場で保管されていたのであるが、各職場で保管する量も決められておらず、補充ルールも曖昧だった。実際に発注している部門では各職場での使用量をどのように管理しているのか、また、発注量はどうなっているかを確認していくと、それらの管理はされておらず、各職場責任者の言う数量からすると、どうみても実際の使用量の倍以上が発注されていることが判明した。各職場で交換の基準もなく、好きなだけ持って行って保管しているという状況だったので、実際に全社で注文している量は適切かどうかもわからない中で、発注担当者は必要量の倍の注文をして半分を懐に入れていたのである。

 また、こんな例もある。経営診断をした時のことだ。ちょうど、診断前のタイミングで、レイアウト変更に伴う工事が行われたところだった。明細を持って現場確認をしてみると、新品の扉に取り換えたことになっていたのだが、現物は従来の扉に色を塗っただけで新品に取り換えされていないことが判明した。当然、その会社の出向責任者は工事終了後に確認をしているが、そんな細かいことまでは確認しておらず、工事業者と工事を依頼した窓口である生産技術責任者との間で金銭のやりとりが発生していたということだ。当然、工事費そのものも水増しされていたのだが、出向者は相場もわからず、ローカルの生産技術の責任者任せで誰も不正に気付けない状況だったのである。

 そして、販売関係の例としては、販売促進費や特別値引きなど商談によって決めるお金での不正例である。担当の営業マンが販売先と結託して、販売促進費や特別値引き助成金等を積み増す商談をし、それを得意先が請求してきて、山分けにしていたという例だ。これは、取り扱う商品や流通形態等によるが、競争が厳しい場合、販売助成金等を出さないと売れないというケースもあるが、担当の営業マンの裁量で勝手にこのようなことが決められると、納入先から請求書が来てからでは対応しようがなくなってしまうということだ。

以上、金銭取引に関係した不正の例を見てきたが、このような金銭取引だけではなく、盗難等を含めて、海外の場合は、色々な問題が発生する。

 次回は、これらの具体的な対策方法について述べることにする。

文責:ジェムコ日本経営 広報室 マーケティング担当 安村亜紀

◆ランキング

第一位!:購買コストダウン

第二位!:調達先開拓

第三位!:購買評価・見直し

第四位!:購買人材強化・育成

第五位!:購買海外戦略

第六位!:海外調達先開拓

第七位!:購買予実差異調整

第八位!:購買先の評価

第九位!:海外現地調達

第十位!:購買システム

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◆オーバービュー

本調査結果は、「設備投資・修繕費のコスト改革」セミナーに参加いただいた方々に、購買に関する課題を回答頂いた結果である(複数回答可)。設備修繕費のコスト改革というピンポイントなテーマでだったため、大半の参加者が装置産業の企業であった。装置産業の場合、材料費の調達が主な購買費用となり、その多くが、市場価格や市況で決まってくる。そのため、コスト削減の手は尽くしたものの、これ以上のコストダウンに悩み、設備や修繕費といったこれまで、固定費ととらえていた聖域に取り組みたいと考える企業が、どの業種より多いことが分かる。さらに、国内であっても調達先の開拓、調達先を改めて見直す必要性を感じているケースが多い。また、業種業態に関わらず、昨今、購買調達人材の育成強化は企業の大きな課題となっている。一方、グローバル調達が各社必須のため、海外の購買調達の課題についても聞いてみたが、コスト、人材といったベーシックな課題以上に問題意識を持っていないことが分かった。とはいえ、海外調達戦略そのもの、海外の調達先開拓といったテーマが主なテーマとして上がっている。また、購買価格の予実差異の調整といったテーマも課題をかかえている企業が多いのも特筆すべき点である。


◆調査要綱

1.調査期間:2014年1月~2月

2.調査対象:2011/1/28~2014/2/7 に実施した「設備投資・修繕費のコスト改革」セミナーのうち、アンケートを提出いただいた方268名の方

3.調査方法:セミナー時アンケート

◆調査結果補足説明

1.回答者の8割は製造業(28%:組み立て製造業、52%:プロセス/食品等の製造業)

2.8割は、年商500億円以上の準大手~大手企業
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以上

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文責:ジェムコ日本経営  櫻内 康章

前回、管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」についてまず、3つについて解説しました。今回は、後半4つについて解説します。

  ①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
  ②無意識に仕事を「正当化」している
  ③その仕事の「コスト」を知らない
→④「目的と手段」を混同してしまう
→⑤「形式」だけの仕事が横行している
→⑥「自分本位」のやり方になっている
→⑦「保身」のための仕事をしている

④「目的と手段」の混同
日々の業務において、目的と手段を混同しているケースは多々みられます。
「目的」とは“何のためにそれをするのか”であり、「手段」とは“目的を果たすためにどんなやり方をするのか”です。
会議について考えてみましょう。手段は「どういうメンバーで、何人が参加し、TV会議で…」などであり、目的は、「○○を決める」ということです。
ここで大切なのは、「○○を決める」ということが目的である場合、そもそも会議が必要か、最適な方法か、ということです。例えば決めることが出来る人が参加しないのであれば、会議を開催すること自体意味がなく、会議は不要となります。本当にその会議で決められるか。決められないのであればやめるべきでしょう。目的を明確にしないで、会議を延々と続けているのであれば、それは「ムダ」です。
このように目的と手段という観点で会議を見極めると、たぶん日頃行われている会議は、“半分以上はなくてもよい会議”といえるかもしれません。

⑤「形式だけの仕事」の横行
往々にして、形としての報告書、あるいは個人の捺印一つで決定がなされるのではなく、関係者全員の捺印がなされて決定されるなど、過去の延長や慣習により、あまりにも形式だけの仕事の取り組みがなされていることもまだ見受けられます。
企業では、部とか課とかの業務分掌は一応決められていますが、それに比べて個人の責任の範囲については、明確であるとはいえません。個人の責任の範囲があいまいであることは、そこにはスピード感に欠け、過剰な業務、重複した業務が発生している可能性が高い、ということが、容易に想像できると思います。
何となく慣習や形式として行われている仕事が、まだ身の周りにありませんか?

⑥「自分本位」のやり方 ⑦「保身」のための仕事
本人は全く気が付かないばかりか、むしろ良いことだと思い込んでやっていることが、客観的にみると、“自分本位極まり無い”といった仕事の仕方をしている人も見受けられます。
例えば、「概要がわかればよいので、この程度でよい」と、“よい意味でのアバウトさ”を要求されているにもかかわらず、あまりにも完璧にやろうとして、時間をかけて仕事をすることは、「やらなくてよいこと」ではなく、むしろ「やってはいけないことだ」ということを認識すべきです。
また、いつ上司から指示が来てもよいように、また、即答できないと「彼は何もわかっていない」と評価されないために、過剰と思われる膨大な資料を作成したり、情報をあれもこれも揃えるなど、全く保身的な仕事をしている人もいます。
残念なことですが、要求以上に正確に且つ美しく表現しようとムダな労力を費やし、自己満足を通して仕事に対するやり甲斐を感じたり、保身のための仕事を作り出す人がまだ見受けられるようです。むしろ、自分本位の完璧は悪”とも言えるでしょう。

管理・間接業務の改善、改革に取り組むには、こうした「仕事をする人の習性」を認識することが重要です。
今回ご紹介した内容はWebアカデミーで取り上げています。詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.jemco.co.jp/academy.html

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

今回からは、海外でよくある問題の中から、それらへの対応策例を述べていくことにする。
初回の今回は、労働争議問題である。
労働争議問題は、新興国での生産拡大を進める中で、各社が苦労している問題の一つである。一般的に、新興国の場合は、組合も未成熟で経営側の説明は全く理解されず、労使交渉の場で、まともな話し合いができないというケースは多い。さらに、組合の上部団体が関与していることも多く、組合の大会に上部団体の幹部が参加していたり、指示を出したりしていることもある。国によっては、政党が裏で関与しているケースもあり、それらの影響を排除できない場合もある。さらに、労働争議が発展すると、残業拒否やストライキに留まらず、生産を妨害する行動に至る場合もあり、経営側が従業員をロックアウトせざるをえないという事態になるケースもある。いずれにしても、このような労働争議は、生産に大きな支障を及ぼすだけではなく、経営そのものに甚大な影響を及ぼすことになるだけに、出向者にとっては頭の痛い問題である。それぞれの国やそれぞれの企業によって事情は異なるので、対応策は一律ではないが、少しでもこれらに巻き込まれないような手は打っておきたい。今回は、これら労働争議にならないための対応策の一例を示しておきたい。


◆ローカルの人事責任者の重要性

 先ず、重要なことは、ローカルの人事責任者がどれだけ経営側と一体となって動いてくれるかということだ。そのためには、日頃からローカルの人事責任者とのコミュニケーションをしっかりとっておくと共に、出向者を支える存在になってくれることが大切だ。筆者は海外の経営責任者の経験があるが、赴任して真っ先に一番時間をとって話し合ったのがローカルの人事責任者だった。経営は人であり、先ずは、ローカル人材を掌握し、どう彼らの能力を引き出し、また、彼らをどのように育成していくかには、人事責任者が鍵となるからだ。また、組合対策の鍵もローカルの人事責任者が握っている。組合の役員一人一人の情報、組合内部の力関係、また、過激な行動にでるメンバー等は、通常、ローカルの人事責任者であれば把握しているはずである。組合のメンバーがどう考え、どんな行動をとるか、また、誰をおさえる必要があるか等をしっかりと把握することが、組合対策の第一歩であり、そのためには、先ずはローカルの人事責任者との徹底した意思疎通が必要不可欠と言える。また、それを踏まえて、具体的な対策を日頃から(昇給賞与や労働条件交渉のタイミングではなく)打っておくことだ。例えば、労使協議の場ではなく、日頃から組合の委員長はじめキーとなるメンバーと話しをする場を設ける等だ。


日頃のコミュニケーションとキーマンへの教育

 組合の委員長をはじめとしたキーとなるメンバーとの接し方だが、日頃から組合の委員長と一緒に工場を巡回するなどして、労使協議をする際の鍵となるメンバーと会社の問題を共有するように心がけることは有効な方法と言える。これは、組合幹部と会社の問題を共有化すると共に、彼らを教育する場にもつながるからだ。また、共有化した問題に対しては、真摯に対応していくことが、組合員の会社への信頼を高める上で大切だ。これらの取り組みは、やみくもに要求をあげてくるのではなく、実際に現場での問題の把握の仕方を実地で教え、経営として対応が必要なものは何かを指導することで、突飛もない要求をなくすことにつながる。大切なことは、労使協議の場で論議するのではなく、日頃からのコミュニケーションを図り、良き関係を築くことだ。賃金や賞与の交渉の時も事前にどのようにすれば組合員の納得を得ることができるか等も本音で話しが聞ける関係ができることが望ましい。出向者は、一人でカバーしないといけない範囲も広く、忙しい。しかし、日頃から組合対策については意識して事前に関係構築を図るように努めることが大切であり、それが、組合関係者の人材育成につながり、適切な労使交渉ができるベースを構築することにつながると言える。


◆近隣企業との情報交換の重要性

 昇給賞与等の労使交渉にあたっては、近隣の企業との情報交換をしておくことが大切である。本来は、自社の経営状況を踏まえて決めることが基本ではあるが、労働力の需給バランスという視点から、周辺企業の動きを無視することは難しいのが現状だ。日系企業が集積している工業団地等であれば、これらの情報交換が行われていることは多いが、そうでない場合は、ローカルの人事責任者に周辺企業の情報について集めるように指示することも大切なことだ。一社だけが飛び抜けて高い回答であれば、それをベースとした交渉になり、他社はストライキになるということも多い。従って、近隣企業は、どのレベルでまとめようとしているかという情報を事前に入手し、お互いに最終の着地点を調整しながら進めるということも大切なことである。また、それらの状況を踏まえて、自社の回答をどう説明していくかというシナリオをしっかり持って話しをしていくことが大切だ。併せて、近隣で労働争議が発生すると、それが飛び火してくるということもある。そのような場合は、争議が発生している企業の情報を入手し、事前に自社に飛び火しないような対策を講じておく必要がある。


◆政府関係機関との関係づくり

 労働争議にならないように尽力しても、労使交渉がうまくいかずに、労働争議になるケースはある。そのような場合、各国で事情は異なるが、労働局等の政府機関が、労働争議の調停に入るケースは多い。労働争議の解決には、これら調停機関の指導や意見は大きな影響も持つことから、日頃から、これら関係機関と懇意な関係を築いておくことが大切と言える。この関係構築には、ローカルの人事責任者に任せておくだけではなく、関係機関の鍵となる人物とは、情報交換の場を持つなり、事前の対策についてのアドバイスを受けるなり、日頃から関係の構築を図ることが大切と言える。これら機関への対応についても、ローカルの人事責任者と、よく協議をして対応することが大切と言える。

次回は、海外でよく発生する不正や盗難問題について述べることにする。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回は、「人の現地化」の必要性について述べた。出向者が現地事情を十分理解しておくことが必要であると共に、経営の現地化推進の重要性、また、これらへの計画的な取り組みができていないケースが意外に多いことを述べた。今回は、その具体的な推進方法の例ついて述べる。

◆ローカル人材の育成

 ローカル人材の育成責任は出向者にあることは前回述べた。しかし、現実には出向者は多忙を極めていることが大半で、正直、自らローカル人材の教育に時間をとるということは難しいことが大半だ。

 出向者が多忙となる原因は、大抵、日本側にあるケースが多く、日本が「内なる国際化」の推進が図れていないために、直接ローカルの責任者に問い合わせすれば良いものまで、日本人出向者に問い合わせや指示をしてきているという例は多い。高い人件費を払って、出向者に電話番をさせているようなもので、これが出向者の仕事になってしまっているというのでは話しにならないが、海外各社をご支援していると、こういう例は多い。

ところで、出向者が電話番役になっているかどうかは別として、現地の出向者が忙しいのは、いずれの拠点も同じである。それでは、限られた時間の中で、どのようにして人材育成を図れば良いだろうか。先ずは、経営人材の育成から述べることにする。

◆各種の検討会議は、最大の人材育成の場

 正直、教育ということで出向者が先生役を担って勉強会等をするということは、極めて難しい。勉強会のテキストの準備も大変だし、そのような時間がとれることはほとんどない。従って、筆者は、日常行なわれる各種の会議を、経営を勉強させる場と位置付けることを推奨する。例えば、月次の決算検討はどの企業でも行なわれているだろう。ローカルの次を担う中核メンバーに参加させ、資金や利益の計画差異の内容、その原因、また、部門別の計画進捗や計画差異を明確にする中で、それぞれの働きが、どう資金や利益に影響したかを明示しながら、資金を守るために行なうべきこと、利益を守るために行なうべきことを理解させていくということだ。実際、月末の棚卸で滞留在庫があれば、それによって、いくらの資金が寝ていることになるのか、いつ、現金化するのか等を論議することで、B/Sを健全に保つことへの理解やB/Sの圧縮取り組みが、どう資金に影響するかも理解できるようになる。また、このように、結果としての経営数字は、すべて、各部門の取り組み結果ということになるので、計画を守るために、自部門は何をやらないといけないかを、その場で問いただすことで、経営への理解も深めることができる。

 これら経営の基本が理解できてくると、各部門責任者は、自分の働きが自社の経営結果にどう影響するかがわかるようになり、やりがいも出てくるようになる。ちなみに、筆者の経験では、決算見通しが計画未達の見通しだった時に、ローカルの幹部メンバーが集まって、リカバリー案を作成してくれるまでになったことに感動した経験がある。各種の日常の会議は、経営の推進管理そのものであり、その場は、経営を実践勉強する場なのだ。これを徹底して活用するということを是非意識していただきたい。


◆昇格する時が一番勉強できる。昇格候補者研修等の積極推進を

 海外各社では、昇格は、各部門長推薦をベースに、社長が決めているというケースもあるが、昇格できるか否かがかかっている時こそ、勉強をさせるチャンスと言える。この研修に通れば昇格でき、給与が上がるのだから、皆が真剣に取り組むのは当然のことである。従って、この機会を活用しない手はない。方法としては、昇格候補者研修を企画することだ。
 管理職であれば、マネージメントの基本等を勉強させると共に、一つ上の階層として求められる事項(例えば、自社の課題を踏まえて自部門が取り組むべき事項を整理させ、その課題解決にむけた推進計画と実践推進状況を報告させる等)をテーマにするなど、上位職の立場でできる必要がある内容を研修テーマとして設定することだ。大切なのは、最初の計画段階、途中の進捗段階でも報告会等を行ない、指導していくことだ。

出向者の役割の大きな一つは、経営の現地化が図れるだけの人材育成にあるので、忙しい中でも、これだけは自ら時間をとって指導するということが大切と言える。

◆技術・技能の伝承

 続いて、人材育成の中で大切なのは、技術・技能の伝承ということだ。特に、専門職については、これが命であり、この力が競争力の源泉になる。方法としては、日本などへの計画的な派遣である。

設計者の育成、金型等の設計や加工等、内容にもよるが、場合によっては、2年、3年という計画的な取り組みが必要である。自社で生産する新製品の開発・設計や、自社で使う金型の設計や加工を経験させ、自らできる力をつけさせることだ。特に、日本などで研修させると、内なる国際化の遅れた日本本社の改革にもつながり、また、日本で研修することで日本語も話せるようになることから、その後の技術移管もスムースに進みやすくなるということもある。現地会社としては、お金を支払っても、日本などに研修に行かせることで、技術ノウハウの移転を図ることだ。また、ローカル人材にとっては、大変なモチベーションアップにもなる。大切なことは、毎年、送り続けるという継続性である。


◆出向者人材の育成

 最後に、出向者人材について一言述べておきたい。海外拠点における失敗の中で多いことの一つが出向者人材に起因する問題である。製造がわかるということだけで現地の経営責任者に登用したものの、資金繰り一つもわからないということでは、たちどころに経営危機に陥ることもある。実際、インドや中国などでは、売掛金の回収問題が多発している。利益しか見ずに、売掛金が未回収であることに気付きもせず売り続けたらどうなるだろうか。資金が回らなくなり倒産の危機を迎えることになる。海外拠点は単なる製造拠点ではなく、一つの独立した会社なのである。税務調査に入られることもあるし、人事制度そのものも、その国独自のものにせざるをえないことが大半だ。組合問題もそれぞれで異なる。これらに対応できなければ現地の経営はできない。海外展開にあたっては、製造がわかれば何とかなるというような安易な考え方で出向させると、出向者が苦労するだけではなく、経営そのものがおかしくなるということも多いということだ。事前に、経営の基本については、しっかりと理解させた上で出向させることが必須だ。

 筆者は、昨年、「ものづくり経営入門」という本を執筆したが、これは、会社の経営をする上で、最低限、理解しておいていただきたい事項をまとめたものだ。キャッシュフロー経営の推進の重要性等を解説した本はあるが、それを具体的に、どう現場で実践すれば良いかまで記載された本がなかったことから執筆することにした。海外出向前には、是非、一読していただければ幸いである。

余談になるが、先日、海外から帰任された方が、この本を購入され、コメントを下さった。「出向前にこの本を読んでおけば良かったというのが感想です。」という有難いコメントだった。


文責:ジェムコ日本経営  櫻内 康章

「時代は変わっているのに、仕事のやり方は変わっていない。より“価値ある業務”に転換しなければ…。まだ改善余地があるのではないか…」
企業では直接部門における改善、改革に比べ、間接部門・業務の改善、改革はまだ不十分という認識から、これらに対する改善、改革の経営ニーズは強いものがあります。
管理・間接業務における改革の進みにくさには理由、要因があります。それらを踏まえた上での改革アプローチ方法を適用すべきですが、そもそも管理・間接部門の業務の実態を認識しておくことが大切です。
そこで今回は、当社がこれまでに数多く行った業務改善・改革コンサルティングから、特に管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」についてご紹介します。
大きく7つ挙げられます。今回は、このうち最初の3つについて説いていきたいと思います。

→①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
→②無意識に仕事を「正当化」している
→③その仕事の「コスト」を知らない
  ④「目的と手段」を混同してしまう
  ⑤「形式」だけの仕事が横行している
  ⑥「自分本位」のやり方になっている
  ⑦「保身」のための仕事をしている

GOはあるがSTOPはない

①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
元来、部下の仕事は上司が命令することによって発生し、行われていきます。すなわち、「こういう仕事をやりなさい」の一言が業務を作り出します。
例えば、上司から年に数回だけ要求される資料やデータについても、担当者はかなりの時間を費やして情報収集し、分類・集計して出番を待ちます。こうした用意周到さが仕事熱心として評価されたりすると、担当者はその資料が会社に役立つかどうかはお構い無しに資料作りに励むことになります。
上司の命令や指示に有効期限がなければ、部下はその業務をやめようとはしません。上司も「資料を作ってくれ」といったん命じたら最後、「今月からはもう作らなくてもよい」とは言いません。
「GO」があって「STOP」がないのです。このため、一度始まった報告書作りや資料作りは、利用の有無を問わず永遠に続けられることになってしまいます。

②無意識に仕事を「正当化」
最初は簡潔で最小限の範囲の事務も、時間の経過や企業規模の拡大に伴い様々な要因で複雑多岐になり、肥大化し贅肉がついてしまいます。
例えば、“○○報告”といった書類が、当初は直属の上司だけに提出されていたものが、別の上司や他部門から「計画立案の参考にしたい」「知っておきたい」といった動機で要求され、やがては「もっと見やすくしてくれ」「グラフ化してほしい」など、段々とエスカレートしていきます。さらには必要に応じて要求されていたものがいつのまにか習慣化され、制度化され、ルーチンワークとして定着化してしまいます。このように、単純な動機、一方的要求のみにより事務量が増大してしまうのは、目的や価値に対する認識不足や、「必要だから」「意味があるから」と無意識にその必要性を正当化してしまうところに、問題があるといえます。「ムダかな?」と気がついても、その業務の仕方を変更するとか、やめてしまうにはためらいがあって思い切れないとか、「必要だろう…」が末端では業務が5倍にも10倍にも膨らむ可能性があることを知るべきです。
その仕事のコストを知らない

③その仕事の「コスト」を知らない
「この書類を作成する費用はいくらですか」「このオーダーを処理するのにいくら費用が発生しますか」「毎月の○○会議はいくら費用がかかっていますか」と聞かれてきちんと答えられる人は少ないでしょう。
特に人については、毎月の給与、賞与、その他諸々の付帯人件費を就業時間で割った場合、その人の1時間当り、1分当りの費用はある程度把握はできます。事務処理をするコスト、会議を行っているコストなど、これらのコスト意識をもって業務を行っていれば改善は進みますが、多くの場合こうしたコストには全く留意しないで業務が行われています。コストは完全に潜在化されているところに大きな問題があるわけです。従って、例えば何時間も費やして平気で会議が行われることにもなるのです。

管理・間接業務の改善、改革に取り組むには、こうした「仕事をする人の習性」を認識することが重要です。次回は、残り4つの”管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」”について説いていきます。
今回ご紹介した内容はWebアカデミーで取り上げています。詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.jemco.co.jp/academy.html

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎

■ グローバル人材は「英語」より「論語」!?

 聖書に次ぐロングセラーといわれる「論語」は、儒教の祖である孔子とその弟子達の言行を編纂したもので、その思想は「仁(思いやり)」を基本として、まっすぐに生きる力(徳)を目指したものです。

孔子の人生は、政治家として常に挫折と隣り合わせに歩んできたものであり、その厳しい現実から語られた『論語』は、何かとストレスの多いビジネスマンが、現代社会を生き抜くために必要な「メンタルの強さ」を鍛えるのに役立つと考えるのであります。前回ブログの「温故知新(古きをたずねて新しきを知る)」も論語であり、先人達の知恵を現代に活かし、新たな価値を創造しようという意味であります。

クライアント企業幹部との会話で「グローバル人材の育成」が喫緊の課題であるという話が多く、以前は英語力に注目されていた幹部が、最近では「英語が話せても海外では通用しないね!」ということを言っていました。その幹部とのやり取りから、筆者が考えるグローバル人材の基本は「逆境に負けないメンタルの強さ」ではないかと思った次第であります。

従って、グローバル人材の育成にあたっては、「TOEFLが何点以上必要か?」という基準から、「いかにメンタルが強いか」「あらゆる事態に対応できるか」「体力と胆力があるか」「企画力と突破力があるか」という視点で育成することが重要と思うのであります。魑魅魍魎の世界に動じない肝っ玉のある人材を育てるには好奇心と経験が何より必要と思われるのであります。グローバル人材育成は、「英語」より「論語」ではないかと思う今日この頃です。

論語に「これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずと為せ」という言葉があります。意味は自分の知らない世界は無限にあり、そのことに気づくと、好奇心が刺激され、どんどん新しい知識が学べるということです。このように論語の中には、グローバル化に備えた教えやメンタル強化に繋がる言葉がたくさんあるように思います。筆者も論語に興味が沸いてきましたので、次回以降も論語研究を継続したいと思います。

■ 人こそ最高の宝

 さて、冒頭の「人こそ最高の宝である」という弊社哲学ですが、間違いなく人は宝なのであります。きれいごとではなく、そう言えます。例えば、魚を海または川で釣る「人」がいないと経済的な価値は生まれません。人の動き・人の力があるから、はじめて魚に価値が生まれます。但し、同時に「人」は「コスト」にもなります。1人で1匹の魚を釣った場合と1人で10匹を網などで捕獲した場合には、その成果(売上および機能)が異なり、人(=コスト)に対する売上・機能が向上すれば価値が上がります。所謂VE(価値工学=バリュー・エンジニアリング)の考え方です。つまり、価値を生み出すのは人である以上「人は最高の宝」なのであります。コストに対する機能を最大限に高度化・向上させ、企業(経済)価値を高めていかなければ「宝」が「コスト」よりになっていき、経営者にとって人が「迷惑な固定費」扱いされてしまいます。人が本当に宝になるためには、どうしたら良いのかを真剣に考え・環境を整える経営者が立派な経営者ではないかと思います。

■ 儒教の五常五倫

 儒教の教義は、五常(仁・義・礼・智・信)という徳性をつむことで、五倫(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友)関係を維持することを教えています。

<五常> 5つの徳目

 「仁」・・・人をおもいやること

 「義」・・・するべきことをする

 「礼」・・・仁を具体的に行動として表すこと

 「智」・・・学問に励むこと

 「信」・・・約束を守る・誠実であること

<五倫> 5つの道徳法則

 「父子の親」・・・父子の間は親愛の情で結ばれなくてはならない

 「君臣の義」・・・君主と臣下は互いに慈しみの心で結ばれなくてはならない。

 「夫婦の別」・・・夫には夫の役割、妻には妻の役割があり、それぞれ異なる

 「長幼の序」・・・年少者は年長者を敬い、従わなければならない

 「朋友の信」・・・友はたがいに信頼の情で結ばれなくてはならない


今回は「人材育成と論語」をテーマに考察してみましたが、次回も論語について研究していきたいと思います。立派な日本人・立派なビジネスマンについての探求はまだまだ続きます。


*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。 

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

文責:ジェムコ日本経営 広報室 マーケティング担当 安村亜紀

タイ総欄に引き続き、インドネシア総覧に、当社高橋の「5Sは経営の根幹」と題した寄稿がインドネシア語・英語で2ページにわたって掲載されました。
海外進出先として、多くの企業が主力拠点として位置づけているインドネシアで使える、モノづくりの基本テキストとして、ご活用いただきたいという思いで、今回も原稿を寄せさせていただきました。

●記事イメージ(一部抜粋)
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文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回は、海外事業を成功させるポイントは、現地事情を理解し、それを踏まえて、どう「現地化」するかにあるということで、「企画・開発、品質評価の現地化」の必要性について述べた。今回は、「人の現地化」ついて述べる。

◆出向者の現地化

先ず、人の現地化という点では、出向者が現地事情をどれだけ理解できているかが現地で仕事をする上で重要なポイントになる。その国の国民性、文化や宗教等への理解が無ければその国での常識が無いということになってしまうばかりか、それがために大きなトラブルに発展することもある。先日、タイのある拠点で、日本人出向者が、人事異動に関する説明をするのに、王様を引用して説明をした。説明の仕方の悪さもあり、これが不敬発言だとして、従業員から残業拒否、さらには、ストライキに入るということにまで発展した。最終、その出向者を帰任させることで収拾せざるをえなくなったのだが、その国の文化や習慣、ベースとなる考え方がわかっていないと、その国では許されない発言をしてしまい、このような事態を招くことにもなる。先ずは、その国で仕事をさせていただく以上、その国の文化や宗教を尊び、それを踏まえたオペレーションをしない限り、現地に根ざした経営はできないということだ。

◆経営の現地化・・・ローカルのやる気と定着視点でも重要

経営の現地化の一つの目的はコストである。日本人出向者の人件費は高い。現地給のみならず、日本国内給、また、海外での住居費や移動手段としての車代等、日本での人件費よりはるかに高い負担となる。合算課税なので、これらは海外会社が負担しなければならない。実際、ある赤字に陥っていた中国の日系企業では、出向者の半分を帰任させたら、すぐに黒字化したという例もある。また、ローカル企業とのコスト競争という視点で見てみれば、ローカル企業には出向者はいない。そことの競争を考えれば、多くの日本人出向者がいたのでは、コスト競争に勝てるはずがないのは自明の理だ。コスト力という点からも現地化を図り、日本からの出向者がいなくても事業運営ができるようにすることが大切なのだ。

また、開発の現地化の必要性は前回述べた通りだが、ローカル企業への販売拡大を図るという点では、営業の現地化も必須である。現地が一番わかっているのは、現地のローカルメンバーであり、最終商品へのニーズも、また、そのためにどんな部材を開発すべきか、また、どう売り込むべきかもローカルメンバーの方がよほど詳しい。営業の基本についての教育と育成ができていれば、現地事情がわからない日本人より、よほど、適切な提案営業ができるはずだ。2年前のタイで発生した洪水は、タイ国内だけではなく、日本も含めてサプライチェーン全体に多大の影響が発生した。この時、復興に向け、金型や治具、サーバーなどの搬出作業等は、ローカルメンバーが中心となってボートや潜水夫を手配して搬出した企業がほとんどだ。日本人出向者はどうしたらいいかと困惑するばかりで、どこにどう手配すればよいかもわからないという中で、ローカル人材の活躍はすばらしいものだった。
これらのことからもわかるように、その国でオペレーションする以上、現地化の推進が必須であり、そのための人材育成が重要ということなのだ。併せて、経営幹部へのローカル人材の登用は、ローカルのやる気につながり、キーパーソンの離職を抑制するという点でも極めて有効といえる。

◆ローカル人材の育成は出向者の役割

経営の現地化を図るためには、ローカル人材の育成が重要であり、それは出向者の大きな役割である。ところが、ローカル人材の育成が計画的に行なえていないケースが極めて多い。また、出向者の中には、そのことへの意識が薄いというケースもある。従って、先ずは、ローカル人材の育成は、出向者の責任ということを明示すると共に、「人の現地化計画」を策定して推進するということは有効な方法と言える。人の育成には時間がかかる。計画的な育成取り組みが必要不可欠なのだが、出向者の任期は3年から5年という会社が多く、出向者が交代した途端、人材育成がストップしてしまうケースも多いだけに、「現地化計画」を策定し、キー人材の計画的な育成を図ると共に、その進捗確認を、グローバル本社機能の中に入れておくことは有効な方法の一つと言える。出向者の交代時の引き継ぎ事項には、現地化計画の推進状況と、今後取り組むべき必要事項が明記され、人の育成についても、きちんと引き継がれることが大切ということだ。

ところで、現地化計画を策定したものの、具体的にどのようにしてローカル人材の育成を図っていくと良いだろうか。次回は、このローカル人材の育成方法の一例と、人材育成を担う出向者人材の育成について述べることにする。

文責:ジェムコ日本経営  櫻内 康章

代表的な経営管理技術の一つにVE(バリュー・エンジニアリング)があります。特に製造業では商品企画やコストダウンなどの取組みにおいて、何十年も前から活用されていることは周知の通りです。VE推進室、VE統括室といったVE担当の部署も組織され、「VEは十分やっています…」との声もよくお聞きします。

しかしそんな中でも、当社のVEをベースとしたコンサルティングやワークショップ研修を導入いただいているのはなぜでしょうか?
以前、VEの専門部署もある電機メーカーの専務様から、こんな話をお聞きしました。
― 当社では、VEによるコストダウン設計はもう40数年続けていて、相対的にはかなり進んでいる。従って、自分たちが勉強し身に付けたことを、当然若い人も分かっているだろうと思っていた。ところが最近見てみると、何となくVEをやっている。きちんとした勉強もしていないし、考え方や手法というのも知らない。当然のことながらVEの効果金額も少ないものになってきている。
基本的なことを理解しないで漠然とやっているな、ということを強く感じ、ここで一度きちんとした教育を受けさせる必要がある、ということでJEMCOにコンサルをお願いした。
JEMCOのプログラムは非常によく整理されていて、我々が勉強したVEとは違った、いまの時代に合ったメソッド、やり方だなと大変感心している… ― と。

2_図

こうした背景は他社様からも同様にお聞きする。
「会社としては基本的なことは教育していたし、当然やられているはず…」が、そうなっていないことが多く、いざ教えようとしてもベテランがいなかったり、いても教えるためのプログラムとして整備されていなかったり、逆に、いまさら聞けないとか、教わりたい時に教えてもらえない…というのが実態のようである。
要は、“基本的なことだから知っているはず、やっているはず”が、実はそうではない。仮にそれに気づいても、“いまさら聞けない、きちんと教えられるベテランがいない、いてもタイミングよく教える時間がとれない…”などがネックとなり、対応に苦慮されているわけだ。

当社には、VEに限らず、コスト見積もりや意識改革、改善に対する考え方といった、業務遂行上のベーシックなスキルや手法をきちんと身に付けさせたいというニーズも多く寄せられている。
日頃はお客様先に伺ってコンサルティングや研修を行っているが、いつでも、どこでも、手軽に学べる、という点においては、以前はお応えできておらず。
そこで、「いつでも教えられる人やプログラムがない。いつでも勉強できる環境にない。教わったが忘れてしまったので改めて勉強したい(させたい)…」などの要望にお応えするために「Webアカデミー」を開設するに至り、現在はeラーニングを始めとする個人向け学習支援ツールを提供している。
・コスト査定や価値革新(VE)、課題解決のベースになる意識改革や改善視点など、基本的、永続的なスキルにフォーカスし、コアとなる改善技法をテーマアップ
・コンサルタントがコンテンツを作成、監修し、コンサルティングのエキスを網羅した実務的、実践的な内容
・“知っている、やっているはず…”から“出来る、成果を出す、成長する”への転換を促進
・集合研修に比べ、時間的、物理的、予算的制約にあまり縛られることがなく個々に学べる 等
の特徴が注目され、“いまさら聞けない”“いまさら教えられない”の解決の一助として、有効活用頂いている。

●Webアカデミーの詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
 http://www.jemco.co.jp/academy.html

文責:ジェムコ日本経営 常務執行役員 奥村英夫

2.生産資源の柔構造化を活用した方法論
前回は、「生産資源の“柔構造化”」を活用した4つの方法論のうちの1つ、「 生産資源のロス削減」を解説した。
これは、生産のフレに対しては平準化を行い、需要の山に対し生産を前倒しすることで「 生産資源のロス削減」を実現するというものである。生産の前倒しには在庫リスクが伴うので、その低減策と共に平準化を行なうということだ。
今回は、4つの方法論のうちの2つ目を解説する。
<方法論―2>生産資源の価値向上
生産資源の“柔構造化”の2つ目は、生産資源の価値向上を図るということだ。生産資源はそのものが存在するだけで価値が生まれるわけではない。部材を加工して製品を作り出す現業の人作業や機械作業、管理間接業務と言ったように「作業、行為」を介在させることで価値を生み出す。
①生産資源の価値
生産資源の価値は作業の機能と作業のコストに分解される。
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生産資源の価値向上の概念式

先ず、上記の式の分子から説明しよう。作業の機能とは作業の結果の企業目的への貢献度である。たとえばある企業の目的として「生産性向上20%により顧客への提供価格を引下げ競争に勝つ」と言う方針があったとする。それに対しある作業の結果が10%の生産性向上となったとするとその作業は企業目的への貢献度は50%、即ち機能の程度は50%とみなすことができる。このように作業の結果が企業目的に沿ったものかどうかが作業の機能を決める。作業の機能が十分果たせていても分母である作業のコスト、即ち生産資源の維持コストが高ければ、作業の価値は相対的に低くなり、逆に作業のコストが低ければ価値は相対的に高くなる。
生産資源の価値は作業の価値の合計に等しいので、作業の生み出す結果の価値が低ければ生産資源のロスがなくとも、企業目的の貢献に結びついていないことになる。それは生産資源を何に活用するかと言う「活用面の問題」があるからである。
②企業目的を果たす中核はコア業務
生産資源の活用のあり方は企業の目的をどう捉えるかで決まる。企業の目的に沿った作業の中で、その企業の競争優位性を向上させ、収益力リスクを回避させる作業を「コア業務」と呼ぶ。コア業務は次のように4つに分類される。
コア業務である以上、「A 利益を生む」「B キャッシュフローを生む」は当然であるが、今後は「C ロスを回避する」「D コンプライアンス・方針対応」を特に意識する必要がある。将来も含め損害を被る可能性があるにもかかわらず、短期ではコストアップすると言うだけで対応しない企業が多く見受けられる。昨今の製造業が引き起こした災害の例を見てもこれらの対応を怠ることは将来に渡り「収益リスク」を背負うことを物語っている。
③生産資源の価値向上のポイント
生産資源の価値向上のためには作業をコア業務へ集中させる必要がある。コア業務を増やし作業コスト(生産資源の維持コスト)を変えずに企業目的により貢献することで、より高い価値を生み出し、将来の収益リスクを早めに摘み取り「収益の成長力の獲得」へ繋げられるということだ。
企業目的を果たすコア業務を意識し、そこに、いかに集中させるかが、生産資源の価値向上のポイントと言える。
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●コア業務とは *クリックで拡大

以上
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文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎

今回は、弊社の「改善・改革の哲学」の一つである『ムダは誰のためにもならない』についてご紹介したいと思います。この時期、企業の多くは来年度予算検討で、購買・製造・物流・間接部門等では、コストダウン額をどうするかの合理化予算策定において頭の痛いところではないでしょうか?

本社や経営サイドから、「どれだけ、いくら効率化できるんだ!」「まだムダがないか!」「生産性をもっと上げられないか!」等々、毎年のことと言え、いささかうんざりされている管理職の方も多いかと思います。特に購買先や外注先、物流委託先等の相手がある部門は、相手を説得し、交渉する必要があり、仕事とはいえ心身ともに大変です。なんらかの「理念」「心の支え」がないと継続的に取組むことは難しいと思います。

そこで、ムダ取り・生産性向上等の効率化を「なんのために」するかということを、改めて考えてみたいと思います。「そりゃー収益向上や競争力強化等の経営基盤強化だよ!」という答えが多いのではと思いますが、それは間違ってはいませんが、効率化の本質ではありません。なぜならば、それは会社の立場であって皆さん個人の励みとして、その答えが心の支えになっているとは思えないからです。

■ ヘンリー・フォード

 かの有名なヘンリー・フォード(1863-1947)は、「庶民でも買える自動車を何とか製造できないか?!」という素朴な想いといかに安く造るかというイメージによって大量生産を可能とする「ライン生産方式」を考案しました。そこには、「世のため人のために」という純粋な想いが原動力であり、心の支えであったと筆者は考えます。ちなみに、フォード・システムあるいはフォードイズムと言われる生産システムは、コンベアの速度が生産能率を決めるという仕組みであり、製品の単純化・部品の共通化・作業の標準化等と併せて生産性・生産高に比例し、賃金も上げるという仕組みであり、モチベーションにも配慮したもので、自社の労働者が自社の自動車を購入するということを実現したのであります。

 従って、効率化は何故やるか?というのは、世のため人のため、全人類のためであると言えます。私達が自動車・家電等を所有し、便利で豊かな生活を享受できているのも効率化のお陰なのです。我々コンサルタントも、会社サイドの目的や立場を目標にした目先のコストダウン活動になりがちですが、効率化の理念や本質について、もっと議論し、考える必要があると深く感じています。ちなみに弊社創業者佐藤良がフォードのクリーブランド工場を訪れた時、早速そこのインダストリアルエンジニアを紹介してもらい、彼に「フォードイズムとは何か?」を訊くと、「フォード一世が言っていたのは『人を動かすな。物を動かせ』ということであって、人間はいくら動いても付加価値を生まない。人間は付加価値を加えるだけで良い。物の運搬はコンベアその他で次の作業者へ送り届けることを徹底してやるということではないか」との答えが返ってきとのことです。

■ フレディレック・テイラーとフランク・ギルブレス

 フォード・システムを可能にしたのは、フレディレック・テイラー(1856-1915)が提唱した「科学的管理法」という基礎があったからであり、その「時間研究」や「動作研究」により、生産性を向上させるための生産技術・生産方法・工程管理・治具等を開発し、飛躍的な効率化を実現したのです。

また、動作研究の先駆者であるフランク・ギルブレス(1868-1924)は、作業者の動作の詳細を調査し、職務単純化や有効な標準作業化、インセンティンブ賃金制度の基礎を築いたのであります。ギルブレスの思想や考え方で我々が学ばなければならないことは、『人と仕事との尊厳に対する敬意』を背景に発想したことであり、レンガ職人だった彼は、個人差のあるレンガの積み方を記録・観察し、最も効率的な方法を割り出し、効率とは雇用者と従業員の双方に利益をもたらすと気付き、雇用者にとっては積上げるレンガの数が増え、従業員にとっては作業負荷・ストレスが軽減され、疲労やケガのリスクが低減するというメリットを発見したのであります。

■ 「ムダは誰のためにもならない」は本当である!

 弊社創業者佐藤良から伝わる話として、日本の能率学の研究者に対してギルブレスは、「工場では大勢の作業者が汗を出して無駄な仕事をしている。これは見るに忍びないんだ」と言い、「工場の作業者は多くのムダをもって作業しているが、このムダは作業者のためにならない。引いては会社のためにならないということだ。会社のためにならないということは、社会のためにもならない。社会のためにならないということは、全人類のためにもならない」という話をされたそうであります。その研究者が「佐藤君、君自身も単なる原価低減のためだけにやっているのではないことを知るべきだ。『ムダは誰のためにもならない』ということは人間として重要な基本的精神なんだよ」と教示して下さったというエピソードが残っております。このことにより佐藤良は、改善というのは世の中のため、全人類の幸福のためになることであると大いに自信を深め、また心の支えを得て、その後、誇りを持って改善道(つまりコンサルティング・ビジネス)を歩む大きな契機となったと述懐していたとのことです。

弊社のコンサルティング事業は、創業者佐藤良のこの「哲学」に則り世のため人のために貢献するために存在意義があると筆者は強く思うのであります。

■ 温故知新

 今回は、フォード、テイラー、ギルブレスという3名の20世紀の偉人・思想家を取上げましたが、筆者が皆様にお伝えしたかったことは、新しい改善・改革活動を取組む際には、先人あるいは古典をもう一度調べ直し(これが温故)、そしてその上で新たな道理や知識を見出して対策案を検討する(これが知新)ことが大事ではないでしょうか!ということです。実際、筆者がコンサルティングしている現場においては、効率化のための時間研究・動作研究を地道に実践し、標準時間や標準生産性を設定し、合理的かつ論理的な適正コストを導くことをしています。

 今回、最もお伝えしたかったことは『なんのために』効率化をするのかということです。根本的・本質的なことを携わるメンバー全員と共有し、会社や部門の立場ではない見方で評価するということが大事に思えてなりません。先に発覚した食品表示偽装問題も、原価低減のために原材料を廉価品に置換したと思われますが、消費者に対する誠意や満足度に気付き、世のため人の幸福のためにという考えに及べば、絶対に起こりえなかったことではないでしょうか。

コンサルティングの現場において、コンサルタントは常に「なんのためにそれをやるのか」ということを正しく伝え・理解していただきながら改善活動をしなればいけないと強く思う今日この頃であります。


次回(#5)は(仮題)「人づくりと論語 -人こそ最高の宝である?!-」について述べたいと思います。 



*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。 

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

文責:ジェムコ日本経営 広報室 マーケティング担当 安村亜紀

広報担当より、速報です。タイ市場で日本の優秀な技術、製品を紹介する冊子タイ総覧MANUFACTURES GUIDE BOOK 2014 Product Desctriptions English Promote Technical Excahnge Between Japan and Thailand)に当社高橋の「5Sは経営の根幹」と題した寄稿がタイ語・英語・日本語表記で5ページにわたって掲載されました。

●記事イメージ(1頁のみ抜粋)

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海外で、基本の5Sやムダとり、在庫削減の重要性を製造現場に分かってもらう事に、とても骨を折っているという声を多くいただいています。特にタイやベトナム、インドネシアなどの拠点には、モノづくりの基本を教える本やテキスト、プログラムが不足しているという悩みを今年だけでも、数十件伺いました。そこで、そういった声に、ほんの少しでもお応えできないかと思案しており、まずはタイ語で何かお役に立てればということで行動しておりました。そのところ、日刊工業新聞社様からお話をいただき、タイ総覧という冊子に5Sの重要性をタイ語、英語、日本語の3ヶ国語で解説する頁を頂戴しました。(執筆:弊社取締役 グローバル事業担当 高橋功吉)

頒布権やタイ語の表記の関係で、全文をこのブログに載せることができないのですが、タイ拠点がある企業様は是非、ご入手のうえ、ご一読いただければと思います。

タイ総覧は、2013/11/20-23にBankokのBITECで行われるアジア最大級の産業見本市“METALEX 2013.”(通称タイメタレックス)102ホールG23の日刊工業新聞社ブースや日経企業のブース等配られています。

なお、この記事全文(トータル5P)をご希望の方は、以下にお問い合わせください。e-mailならびにPDFデータでのお届けはできませんが、郵送もしくは担当が手持ちする等で、お届けいたします。(お問い合わせが殺到した場合、お届けまで2週間ほどかかる場合もあります。予めご了承下さいまませ。)


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●タイ・メタレックスについて

METALEX, ASEAN's Largest Machine Tools & Metalworking Tech Expo, 20-23 November 2013, at BITEC, Bangkok

https://webapp.reedtradex.co.th/enews/mtx13eremind3/index.html

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎

今回は、柔道や剣道等の武道の経験者には、馴染みのある言葉「守破離」をご紹介したいと思います。
『守破離(しゅはり)』とは、「道」を極めるための道筋を説いた言葉であり、その道で一人前になるための成長段階を「守の時代」「破の時代」「離の時代」という三段階に分け、その時代・段階にあった修行をする大切さ、心構えを示しています。

『守』とは、「師の教えを忠実に守り繰返し実行し、それを完璧に自分のものにする修行期間」

『破』とは、「師の教えとその実力に磨きをかけ、同時に独自の技を創意工夫する修行期間」

『離』とは、「創意工夫した技を洗練し完成させ、独自の技を極め、師から離れ自己の流派を創始する」
 教わる側と教える側が、「守破離」の段階・時代を共有していることがポイントであり、その師弟関係により効果的かつ有効的な指導方法や成長を促せるというわけであります。特に教わる側は、師を信頼し、素直で謙虚な気持ちで「強烈に学びたい」という心がなければ成立しません。前回のブログで「啐啄同時」をご紹介しましたが、「守破離」も同様に教わる側と教える側双方が合致した教育機会・成長機会の姿勢や重要性を説いています。ちなみに、武道の場合は、「段位」があることにより、「守破離」の段階が「見える化」できているため、段位に応じた教わり方・教え方が自覚・共有でき、効率的・効果的な稽古・修行が行えるような仕組みになっています。あくまでも教える側は受身であります。
「守破離」は、ビジネス社会で言う「キャリアパス」と同様の概念であり、武道に限らず社会人としてのゴールを目指す段階のステップ・スペックを示し、共有することであり、とても重要な概念だと思います。補足すれば、キャリアパスとは、ある職位や職務に就任するために必要な一連の業務経験とその順序、配置異動のルートを言い、どの程度の習熟レベルに達すれば、どういうポストに就けるのか等のキャリアアップの道筋・基準・条件を明確化したものです。それにより、会社の目標や求める人物像・上司からの期待が分かり、また自分自身の成長の実感が得られ、モチベーションの向上、生産性の向上、技術伝承、会社への帰属意識の醸成という効果が大いに期待できるのであります。 

 最近、コンサルティングの現場において、人づくり・若手の育成・モチベーション向上・技術伝承等についてクライアント企業より、よく相談がありますが、前述した「キャリアパス」が人材育成制度として機能していない場合や、キャリアパス制度そのものが無い企業も見受けられます。雇用形態が多様化し、同時に個々人の仕事に対する価値観も多様化するなかでは、キャリアパスの制度設計が難しくなっているようです。人づくり・若手の育成・モチベーション向上・技術伝承においては「キャリアパス制度」が極めて有効と思われますので、機能しない・形骸化した「目標管理制度」と併せ、今の時代に合致した本当に機能する制度・仕組・運用の見直しが必要と実感しております。

 さて、「守」の時代の修行期間は、ずばり『千日を初心とする』と考えます。「石の上にも三年」という言葉がありますが、年間250日稼動では4年になりますので、4年が「守」の時代ということになると思います。当社コンサルタントも先輩の鞄持ちからスタートして4年を目安に「モノになるか、どうか」を判断しています。経営コンサルタントを名乗るのは、弁護士や公認会計士等と異なり非常に簡単ですが、経営コンサルタントとしてクライアントから評価・支持され、やり続けることは容易ではありません。コンサルタント業界は、「UPorOUT」という掟があり、止むを得ない判断となっています。巷では、大卒の3年以内の離職率が高いという話を聞きますが、「守破離」を教えていないのでしょうか。どんな会社・どんな業務でも3年は歯を食いしばってでもやる意味はあると思います。

 次に「破」の時代ですが、「守」の時代と併せて20年から30年位と考えます。なぜならば、筆者は経営コンサルタントとして15年目になりますが、毎日がピンチの連続であり、とても経営コンサルタントとして「奥義を極めた」という心境ではないからです。経営コンサルタントとしての「破」の時代は、クライアント企業のトップまたはそれに準ずる幹部との初接触から活動企画を策定し、実行し、そして期待されるアウトプットを出すまでを自己完結できることが最低条件となります。「破」の時代は、より多くの経験(案件)を積むしかありません。メーカーであれば部長職や執行役員クラスで過大なストレスにさらされている時代と思われます。同時に部下育成等の「人のマネジメント」をする立場になっている時代であり、プレイングマネージャーとしても労働密度も高く、責任も重いという一番きつい時代になっていると思います。

 「離」の時代というのは、『万日から』と考えます。千日を4年として計算すると40年となり、大卒の場合60歳代の定年時にやっと「離」の時代に入れるか、その時にやっと目指していた自分(取締役以上)になっているか、どうかという感じではないでしょうか。ちなみに、剣道では早くて40歳代で七段受験ができ、50歳代で八段(最高位)の受験資格が得られますが、八段の合格率は1%に満たない超難関であり、公的資格では司法試験以上の難しさであります。その受験者の多くは10歳前後で剣道を始めていますので、ちょうど「万日」あたりで八段が受験できる計算になります。(ほとんどの人は八段にはなれないため「離」の時代には進めない=奥義が極められる人は極少数)

 経営コンサルタントの人材育成および技術伝承は、実は「守破離」によって行っており、それにより当社も45年以上継続しているのであります。


 今回のテーマは、「なりたい自分になるための心構え」ですが、ビジネス社会において自分一人では自己実現は難しいということを申し上げたかったのであります。前述したように経営者・上司の期待(の明確化)と自分自身の成長実感と共有(期待値に対する評価)の繰返し(サイクル)という組織的な制度運営により、人は成長していくのではないかと思います。また、同時にその「守破離」により技術伝承ができていけるではないかと思います。そのため、人づくり・モチベーション・技術伝承にお困りの企業は、「素直」「謙虚」「感謝」の心を前提とし、「守破離」を基軸とした制度・仕組・運用を再構築することをお勧めしたいと思います。 


次回(#4)は「ムダは誰のためにもならない!?」について述べたいと思います。

第三話 了

*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。 

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

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