【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2013年10月

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回までは、海外で生産をする場合、日本の生産方式をそのまま持ち込むと失敗することがあるということ、また、その原因は日本と海外との生産条件の違いにあるということ、そして、そのような問題を起こさないためには、日本と海外とでの生産条件の違いを踏まえ、事前に生産に支障を及ぼすと考えられるリスクを整理し、事前にそれらリスクに対応した生産システムを検討することが大切ということを述べた。

1回目:http://jemcoblog.doorblog.jp/archives/31086068.html
2回目:http://jemcoblog.doorblog.jp/archives/32510794.html

今回は、これら生産条件の違いへの対応例を示すことにする。

◆人の入れ替わり対策

人に関する違いの中で多いのは、人の定着率の違い、言葉(含む多言語)の違い、識字率の違いがもっとも多い。第一回で紹介したタイでのワンマンセル生産を導入して失敗した事例はその代表例である。人の入れ替わりが激しいところでは、多くの時間をかけてトレーニングを行なうのは難しいということである。従って、一人で行なう要素作業数をいかに減らした工程設計にするかが重要となる。弊社のコンサルタントが指導したように、コンベア方式に戻したのは適切な判断なのだ。また、難しい技能を必要とする作業は自動機を入れることも検討が必要だ。一般的には、新興国では、人件費は日本と比較すると極めて安く、自動機より人による作業の方がはるかにコスト面からは有利だ。しかし、人の入れ替わりが激しいところでは、技能習得に時間がかかる作業については、自動機を導入することも検討することが必要になるということだ。

◆動画マニュアルの活用

また、識字率の低い国もある。このような国で生産する場合は、標準作業書をはじめとした各種のマニュアルを作成しても、内容が理解されないことになる。そのような中で正しい作業指導をするためには、文字を使わず、マニュアルを作る必要がある。基本的に、海外展開をする場合、筆者は動画マニュアルを作ることを推奨している。各種のマニュアルを現地の言葉に翻訳しても、専門用語もあることから正しく翻訳されないケースが多い。動画であれば、一連の作業の流れが理解でき、注意点や作業のコツを編集ソフトでマークや矢印等を入れることで伝えやすい。また、失敗した時にはどうなるか等も動画で示すことで、標準作業書だけでは記載しきれないことも表現できる。標準作業書に写真と共に注意点やコツを記載するよりも、動画の方が音を含めて表現できるので、伝えられる範囲は広い。特に、失敗した時や異常と場合はどうなるかの表現には、音も伝えられることは極めて有効だ。また、何回も動画を見ることで、標準作業のイメージトレーニングもでき、標準時間のイメージもつかめる。また、チェックシート等は写真や図で文字が無くてもわかるシートにすることが大切だ。

◆メンテナンス体制の構築

自動機等を導入する場合は、メンテナンス体制を確認しておくことが大切だ。現地では、すぐにメンテナンスできないケースは多い。補修部品の供給体制やメンテナンス業者がない場合は、自前でメンテナンス部品を適切に発注管理できる体制と共にメンテナンス要員の育成を、事前に行なっておくことが必要となる。筆者が診断をした東南アジアのある拠点では、日本と同じ搬送設備まで自動化した全自動化ラインを入れていた。立ち上げ時は、日本人が来て立ち上げたものの、その後、設備トラブルが多発し、全く生産ができない事態になっていた。これだけの自動化設備を導入したにもかかわらず、肝心のメンテナンス体制が全く築かれていなかったため、一台でも設備トラブルが発生すると、全部の生産が止まるだけではなく、工程仕掛品がすべて不良になっていたのである。実際、現地と日本との違いを踏まえれば、このような全自動のラインを導入するということはなかったはずだ。第一、搬送まで自動化したことで、搬送設備のトラブルで加工ラインまで含めてすべてのラインがストップするだけでなく、人件費から判断しても、このような全自動化はコスト面からも不利である。日本と海外とで、人件費の違いやメンテナンス体制の違い等を踏まえて検討されていれば、このような自動化ラインを導入するという判断はなかったはずだ。

これらの例のように、海外で生産するには、生産条件の違いを踏まえて、リスクを明確にし、それを踏まえた生産体制を築くことがポイントということだ。


海外で事業を展開するためには、現地の事情をいかに理解しているかが基本となる。これは、今回紹介してきた海外生産における生産条件の違いということのみならず、製品そのものに対する要求品質も異なれば、使用条件も異なるということであり、品質基準等も変えなければならないということを示している。


次回は、海外でオペレーションを進める上で重要となる「現地化」について述べることにする。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎

「啐啄同時」とは禅の言葉である。ひな鳥が殻を破ってまさに生まれ出ようとする時、卵の殻を内側からつつくことを「啐(そつ)」という。一方、ちょうどその時、親鳥が外側からつつき、ひな鳥の誕生を助ける行為を「啄(たく)」という。ひな鳥が卵の内側からつつく「啐」と親鳥が卵の外側からつつく「啄」が「同時」に行われて、卵の中からひな鳥が誕生するという絶妙の機会(タイミング)の重要性を意味する言葉である。学校や企業での人材育成においての教育機会・育成機会・成長機会の場面づくりやそのタイミングにおいて非常に重要な意味を持っていると感じている。

私にとって「啐啄同時」が役立つ場面の一つとして、初めてクライアント先に行き、これから活動するであろうプロジェクトメンバー達との初対面の場面が挙げられる。プロジェクトメンバーのコンサルタントに対する反応(リアクション)は、おおよそ次の5パターンに類型される。

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●プロジェクトメンバーのリアクション・パターン類型

比較的多いタイプは、①~③である。そのため、新規案件の初期は、毎回アウェイ感一杯である。私の場合は、大企業の本社・経営企画部門に起用され、事業部や工場へ派遣されるため、そういうタイプに遭遇するのだろう。メンバー当事者にしてみてば、本社サイドが余計な事をしやがってという雰囲気の中でスタートするので、メンバーと「なじみ」、普通の会話が成立できるまでが一苦労である。

 メンバーのタイプ(類型)を把握し、溶け込むために私がまず最初にやっていることは「自己紹介」である。以下の項目について好きなだけ話して頂くようにしている。

-① これまでの職務キャリア -② 今の仕事内容 -③ 今回のプロジェクトに対する想い -④ コンサルタントに期待すること -⑤ 皆に分かってほしいこと -⑥ 禁煙or喫煙(休憩時間頻度の参考にする)-⑦ お酒を飲むor飲まない -⑧ 出身地 -⑨ 趣味・特技、その他なんでも

中には話しべたの方もいるし、照れもあるようだが、概して皆さん饒舌であり、何故か特に⑤の皆に分かって欲しいことあたりから盛り上がり、⑧の出身地や⑨の趣味特技に至っては、同じ会社にも拘わらずはじめて聞く話が多い。「お~そうだったんか!!」という雰囲気になり、一気に場が和む。長い方では、一人で40分以上お話される方もいていつも楽しみにしている。もっともコンサル的には、②~⑤を伺うと大体の本音が垣間見れ、先に挙げたリアクション・パターンの類型を掴むことができ、さらに誰がキーパーソンかも大体判明する。 ちなみに、その自己紹介で私の小学校の同級生ということが判明したメンバーもいたりした。当然ながら次の会合では卒業アルバムを一緒に見て盛り上がった。経験上、自己紹介を経て、プロジェクトの「目的」「目標」「スケジュール」、つまり「ゴールイメージ」を共有・納得すれば、プロジェクトの成功率は確実に50%を超える。さらに、メンバーの本音を理解し、それに応じたガイド・ファシリテーション、そして「啐啄同時コーチング」をすれば、100%プロジェクトは成功する。自分と違ういろんな人がいるのが当たり前。また、クライアント企業がコンサルに求めることも100社100様。メンバー個々のパーソナリティや立場に応じて正論を押し付けず、いくつかの着眼点や改善アイデア・施策メニューを提供し、メンバー個々が自主的に実行できる環境をつくるのが私のコンサルティング・スタイルである。クライアント先のメンバーは、自社のことはよく理解しているし、特に大手企業には私より優秀な方が大勢いるので、その大勢の優秀な方々をどう動かすか!ということを常に考えているのである。そのためには、「啐啄同時」と山本五十六の「やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」をコンサルタントは忘れてはならない。

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次回は、『なりたい自分になるための心構え「守破離」』について述べたいと思う

第二話 了

*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

文責:ジェムコ日本経営 常務執行役員 奥村英夫

需給の変動が激しい昨今、生産資源を有効に活用し切れていない製造業が多い。需要変動に対して、生産資源のロスが顕著に現れている。各社、場当たり的に生産資源のロスを減らし、収益力を回復しようとしているが大半が抜本的な解決に至っていない。グローバル最適地生産、技術伝承、若手人材育成、等、問題が山積している中、目先の対応に終われ、将来の収益リスクへの備えは短期的にはコストアップに繋がることが多く、ついつい後回しとなりがちである。
そこで、本コラムでは、今回から複数回にわたって「収益力を定着化」させる打ち手について解説していく。まず、生産資源をコストではなく収益の源泉と捉え、中核業務の範囲を新たに明確化する。次に、4つの打ち手により、生産資源を柔構造化することで、将来の収益リスクを早めに摘み取り、どのように収益力の強化を行うか、そのポイントについて解説したい
本コラムでは、生産資源とは、モノづくりに必要な「人」「設備」「技術・技能」のこととする。具体的には、モノづくりプロセスで付加価値を生み出す主体である「人」「設備」「技術・技能」のことである(管理間接も含む)。
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1. 生産資源のロス発生のメカニズム

(1)生産資源のロスとは *本コラムの前提は、設備能力>ヒト能力 の最適化を目指す。
生産資源のロスは大きくわけて2つだ。一つ目は、生産能力に対する生産実績の下ブレによる「能力の遊び」である。二つ目は、生産能力を超える生産実績の上ブレにより残業、休出、能力増強投資等が発生した場合の「限界利益の目減り」分である。
(2)生産資源のロス発生のメカニズム
生産のフレによる生産資源のロスは一般的に次のようなメカニズムで生み出される。
a-1 生産が定時能力を超える部分は残業、休出で対応する。
b-1 残業、救出で対応しきれない部分は間接員の応援で対応する。
c-1 さらに能力が不足する部分はアウトソーシングされる。
d-1 定時能力を下回る部分は能力の遊びのロスが発生する。
(3)生産資源のロスの定量化
生産資源のロスは次のような式で、定量化ができる。
d-1 のロス=不稼動生産資源コスト+本来得られるはずの利益
=限界利益未回収分a-1+b-1+c-1 のロス=限界利益の目減り分
こう言ったロスは収益力の機会損失の温床であり、現状の収益の足を引っ張る諸悪の根源である。
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●生産資源のロス発生メカニズム


2. 生産資源の”柔構造化”で抜本的収益力を強化

根本から収益力を強化するためにはには、生産資源の“柔構造化”という手法が効く。
生産資源の柔構造化は、具体的には4つの打ち手と3つのステップで進めていく。
<柔構造化4つの打ち手>
①生産資源のロス削減、②生産資源の価値向上、③生産資源の構造改革、④材流動化の収益リスク対応-—これら
<柔構造化3つのステップ>
①「収益力の回復(レベル1)」→②「収益の成長力の獲得(レベル2)」→③「収益力の定着(レベル3)」
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●抜本的な収益力強化の概念

生産資源の柔構造化の目指す姿はコア業務への集中と仕事量に応じた柔軟なアウトソーシングである。一方、コスト構造面から見ると「固定費の変動費化」である。コア業務に集中し生産資源からより高い価値を生み出すとともにコンプライアン
ス対応を重視し将来の収益リスクを早めに摘み取ることで収益力の強化へ繋がる。

以上
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