【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2014年03月

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回は、「人の現地化」の必要性について述べた。出向者が現地事情を十分理解しておくことが必要であると共に、経営の現地化推進の重要性、また、これらへの計画的な取り組みができていないケースが意外に多いことを述べた。今回は、その具体的な推進方法の例ついて述べる。

◆ローカル人材の育成

 ローカル人材の育成責任は出向者にあることは前回述べた。しかし、現実には出向者は多忙を極めていることが大半で、正直、自らローカル人材の教育に時間をとるということは難しいことが大半だ。

 出向者が多忙となる原因は、大抵、日本側にあるケースが多く、日本が「内なる国際化」の推進が図れていないために、直接ローカルの責任者に問い合わせすれば良いものまで、日本人出向者に問い合わせや指示をしてきているという例は多い。高い人件費を払って、出向者に電話番をさせているようなもので、これが出向者の仕事になってしまっているというのでは話しにならないが、海外各社をご支援していると、こういう例は多い。

ところで、出向者が電話番役になっているかどうかは別として、現地の出向者が忙しいのは、いずれの拠点も同じである。それでは、限られた時間の中で、どのようにして人材育成を図れば良いだろうか。先ずは、経営人材の育成から述べることにする。

◆各種の検討会議は、最大の人材育成の場

 正直、教育ということで出向者が先生役を担って勉強会等をするということは、極めて難しい。勉強会のテキストの準備も大変だし、そのような時間がとれることはほとんどない。従って、筆者は、日常行なわれる各種の会議を、経営を勉強させる場と位置付けることを推奨する。例えば、月次の決算検討はどの企業でも行なわれているだろう。ローカルの次を担う中核メンバーに参加させ、資金や利益の計画差異の内容、その原因、また、部門別の計画進捗や計画差異を明確にする中で、それぞれの働きが、どう資金や利益に影響したかを明示しながら、資金を守るために行なうべきこと、利益を守るために行なうべきことを理解させていくということだ。実際、月末の棚卸で滞留在庫があれば、それによって、いくらの資金が寝ていることになるのか、いつ、現金化するのか等を論議することで、B/Sを健全に保つことへの理解やB/Sの圧縮取り組みが、どう資金に影響するかも理解できるようになる。また、このように、結果としての経営数字は、すべて、各部門の取り組み結果ということになるので、計画を守るために、自部門は何をやらないといけないかを、その場で問いただすことで、経営への理解も深めることができる。

 これら経営の基本が理解できてくると、各部門責任者は、自分の働きが自社の経営結果にどう影響するかがわかるようになり、やりがいも出てくるようになる。ちなみに、筆者の経験では、決算見通しが計画未達の見通しだった時に、ローカルの幹部メンバーが集まって、リカバリー案を作成してくれるまでになったことに感動した経験がある。各種の日常の会議は、経営の推進管理そのものであり、その場は、経営を実践勉強する場なのだ。これを徹底して活用するということを是非意識していただきたい。


◆昇格する時が一番勉強できる。昇格候補者研修等の積極推進を

 海外各社では、昇格は、各部門長推薦をベースに、社長が決めているというケースもあるが、昇格できるか否かがかかっている時こそ、勉強をさせるチャンスと言える。この研修に通れば昇格でき、給与が上がるのだから、皆が真剣に取り組むのは当然のことである。従って、この機会を活用しない手はない。方法としては、昇格候補者研修を企画することだ。
 管理職であれば、マネージメントの基本等を勉強させると共に、一つ上の階層として求められる事項(例えば、自社の課題を踏まえて自部門が取り組むべき事項を整理させ、その課題解決にむけた推進計画と実践推進状況を報告させる等)をテーマにするなど、上位職の立場でできる必要がある内容を研修テーマとして設定することだ。大切なのは、最初の計画段階、途中の進捗段階でも報告会等を行ない、指導していくことだ。

出向者の役割の大きな一つは、経営の現地化が図れるだけの人材育成にあるので、忙しい中でも、これだけは自ら時間をとって指導するということが大切と言える。

◆技術・技能の伝承

 続いて、人材育成の中で大切なのは、技術・技能の伝承ということだ。特に、専門職については、これが命であり、この力が競争力の源泉になる。方法としては、日本などへの計画的な派遣である。

設計者の育成、金型等の設計や加工等、内容にもよるが、場合によっては、2年、3年という計画的な取り組みが必要である。自社で生産する新製品の開発・設計や、自社で使う金型の設計や加工を経験させ、自らできる力をつけさせることだ。特に、日本などで研修させると、内なる国際化の遅れた日本本社の改革にもつながり、また、日本で研修することで日本語も話せるようになることから、その後の技術移管もスムースに進みやすくなるということもある。現地会社としては、お金を支払っても、日本などに研修に行かせることで、技術ノウハウの移転を図ることだ。また、ローカル人材にとっては、大変なモチベーションアップにもなる。大切なことは、毎年、送り続けるという継続性である。


◆出向者人材の育成

 最後に、出向者人材について一言述べておきたい。海外拠点における失敗の中で多いことの一つが出向者人材に起因する問題である。製造がわかるということだけで現地の経営責任者に登用したものの、資金繰り一つもわからないということでは、たちどころに経営危機に陥ることもある。実際、インドや中国などでは、売掛金の回収問題が多発している。利益しか見ずに、売掛金が未回収であることに気付きもせず売り続けたらどうなるだろうか。資金が回らなくなり倒産の危機を迎えることになる。海外拠点は単なる製造拠点ではなく、一つの独立した会社なのである。税務調査に入られることもあるし、人事制度そのものも、その国独自のものにせざるをえないことが大半だ。組合問題もそれぞれで異なる。これらに対応できなければ現地の経営はできない。海外展開にあたっては、製造がわかれば何とかなるというような安易な考え方で出向させると、出向者が苦労するだけではなく、経営そのものがおかしくなるということも多いということだ。事前に、経営の基本については、しっかりと理解させた上で出向させることが必須だ。

 筆者は、昨年、「ものづくり経営入門」という本を執筆したが、これは、会社の経営をする上で、最低限、理解しておいていただきたい事項をまとめたものだ。キャッシュフロー経営の推進の重要性等を解説した本はあるが、それを具体的に、どう現場で実践すれば良いかまで記載された本がなかったことから執筆することにした。海外出向前には、是非、一読していただければ幸いである。

余談になるが、先日、海外から帰任された方が、この本を購入され、コメントを下さった。「出向前にこの本を読んでおけば良かったというのが感想です。」という有難いコメントだった。


文責:ジェムコ日本経営  櫻内 康章

「時代は変わっているのに、仕事のやり方は変わっていない。より“価値ある業務”に転換しなければ…。まだ改善余地があるのではないか…」
企業では直接部門における改善、改革に比べ、間接部門・業務の改善、改革はまだ不十分という認識から、これらに対する改善、改革の経営ニーズは強いものがあります。
管理・間接業務における改革の進みにくさには理由、要因があります。それらを踏まえた上での改革アプローチ方法を適用すべきですが、そもそも管理・間接部門の業務の実態を認識しておくことが大切です。
そこで今回は、当社がこれまでに数多く行った業務改善・改革コンサルティングから、特に管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」についてご紹介します。
大きく7つ挙げられます。今回は、このうち最初の3つについて説いていきたいと思います。

→①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
→②無意識に仕事を「正当化」している
→③その仕事の「コスト」を知らない
  ④「目的と手段」を混同してしまう
  ⑤「形式」だけの仕事が横行している
  ⑥「自分本位」のやり方になっている
  ⑦「保身」のための仕事をしている

GOはあるがSTOPはない

①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
元来、部下の仕事は上司が命令することによって発生し、行われていきます。すなわち、「こういう仕事をやりなさい」の一言が業務を作り出します。
例えば、上司から年に数回だけ要求される資料やデータについても、担当者はかなりの時間を費やして情報収集し、分類・集計して出番を待ちます。こうした用意周到さが仕事熱心として評価されたりすると、担当者はその資料が会社に役立つかどうかはお構い無しに資料作りに励むことになります。
上司の命令や指示に有効期限がなければ、部下はその業務をやめようとはしません。上司も「資料を作ってくれ」といったん命じたら最後、「今月からはもう作らなくてもよい」とは言いません。
「GO」があって「STOP」がないのです。このため、一度始まった報告書作りや資料作りは、利用の有無を問わず永遠に続けられることになってしまいます。

②無意識に仕事を「正当化」
最初は簡潔で最小限の範囲の事務も、時間の経過や企業規模の拡大に伴い様々な要因で複雑多岐になり、肥大化し贅肉がついてしまいます。
例えば、“○○報告”といった書類が、当初は直属の上司だけに提出されていたものが、別の上司や他部門から「計画立案の参考にしたい」「知っておきたい」といった動機で要求され、やがては「もっと見やすくしてくれ」「グラフ化してほしい」など、段々とエスカレートしていきます。さらには必要に応じて要求されていたものがいつのまにか習慣化され、制度化され、ルーチンワークとして定着化してしまいます。このように、単純な動機、一方的要求のみにより事務量が増大してしまうのは、目的や価値に対する認識不足や、「必要だから」「意味があるから」と無意識にその必要性を正当化してしまうところに、問題があるといえます。「ムダかな?」と気がついても、その業務の仕方を変更するとか、やめてしまうにはためらいがあって思い切れないとか、「必要だろう…」が末端では業務が5倍にも10倍にも膨らむ可能性があることを知るべきです。
その仕事のコストを知らない

③その仕事の「コスト」を知らない
「この書類を作成する費用はいくらですか」「このオーダーを処理するのにいくら費用が発生しますか」「毎月の○○会議はいくら費用がかかっていますか」と聞かれてきちんと答えられる人は少ないでしょう。
特に人については、毎月の給与、賞与、その他諸々の付帯人件費を就業時間で割った場合、その人の1時間当り、1分当りの費用はある程度把握はできます。事務処理をするコスト、会議を行っているコストなど、これらのコスト意識をもって業務を行っていれば改善は進みますが、多くの場合こうしたコストには全く留意しないで業務が行われています。コストは完全に潜在化されているところに大きな問題があるわけです。従って、例えば何時間も費やして平気で会議が行われることにもなるのです。

管理・間接業務の改善、改革に取り組むには、こうした「仕事をする人の習性」を認識することが重要です。次回は、残り4つの”管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」”について説いていきます。
今回ご紹介した内容はWebアカデミーで取り上げています。詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.jemco.co.jp/academy.html

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 五省太郎

■ グローバル人材は「英語」より「論語」!?

 聖書に次ぐロングセラーといわれる「論語」は、儒教の祖である孔子とその弟子達の言行を編纂したもので、その思想は「仁(思いやり)」を基本として、まっすぐに生きる力(徳)を目指したものです。

孔子の人生は、政治家として常に挫折と隣り合わせに歩んできたものであり、その厳しい現実から語られた『論語』は、何かとストレスの多いビジネスマンが、現代社会を生き抜くために必要な「メンタルの強さ」を鍛えるのに役立つと考えるのであります。前回ブログの「温故知新(古きをたずねて新しきを知る)」も論語であり、先人達の知恵を現代に活かし、新たな価値を創造しようという意味であります。

クライアント企業幹部との会話で「グローバル人材の育成」が喫緊の課題であるという話が多く、以前は英語力に注目されていた幹部が、最近では「英語が話せても海外では通用しないね!」ということを言っていました。その幹部とのやり取りから、筆者が考えるグローバル人材の基本は「逆境に負けないメンタルの強さ」ではないかと思った次第であります。

従って、グローバル人材の育成にあたっては、「TOEFLが何点以上必要か?」という基準から、「いかにメンタルが強いか」「あらゆる事態に対応できるか」「体力と胆力があるか」「企画力と突破力があるか」という視点で育成することが重要と思うのであります。魑魅魍魎の世界に動じない肝っ玉のある人材を育てるには好奇心と経験が何より必要と思われるのであります。グローバル人材育成は、「英語」より「論語」ではないかと思う今日この頃です。

論語に「これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずと為せ」という言葉があります。意味は自分の知らない世界は無限にあり、そのことに気づくと、好奇心が刺激され、どんどん新しい知識が学べるということです。このように論語の中には、グローバル化に備えた教えやメンタル強化に繋がる言葉がたくさんあるように思います。筆者も論語に興味が沸いてきましたので、次回以降も論語研究を継続したいと思います。

■ 人こそ最高の宝

 さて、冒頭の「人こそ最高の宝である」という弊社哲学ですが、間違いなく人は宝なのであります。きれいごとではなく、そう言えます。例えば、魚を海または川で釣る「人」がいないと経済的な価値は生まれません。人の動き・人の力があるから、はじめて魚に価値が生まれます。但し、同時に「人」は「コスト」にもなります。1人で1匹の魚を釣った場合と1人で10匹を網などで捕獲した場合には、その成果(売上および機能)が異なり、人(=コスト)に対する売上・機能が向上すれば価値が上がります。所謂VE(価値工学=バリュー・エンジニアリング)の考え方です。つまり、価値を生み出すのは人である以上「人は最高の宝」なのであります。コストに対する機能を最大限に高度化・向上させ、企業(経済)価値を高めていかなければ「宝」が「コスト」よりになっていき、経営者にとって人が「迷惑な固定費」扱いされてしまいます。人が本当に宝になるためには、どうしたら良いのかを真剣に考え・環境を整える経営者が立派な経営者ではないかと思います。

■ 儒教の五常五倫

 儒教の教義は、五常(仁・義・礼・智・信)という徳性をつむことで、五倫(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友)関係を維持することを教えています。

<五常> 5つの徳目

 「仁」・・・人をおもいやること

 「義」・・・するべきことをする

 「礼」・・・仁を具体的に行動として表すこと

 「智」・・・学問に励むこと

 「信」・・・約束を守る・誠実であること

<五倫> 5つの道徳法則

 「父子の親」・・・父子の間は親愛の情で結ばれなくてはならない

 「君臣の義」・・・君主と臣下は互いに慈しみの心で結ばれなくてはならない。

 「夫婦の別」・・・夫には夫の役割、妻には妻の役割があり、それぞれ異なる

 「長幼の序」・・・年少者は年長者を敬い、従わなければならない

 「朋友の信」・・・友はたがいに信頼の情で結ばれなくてはならない


今回は「人材育成と論語」をテーマに考察してみましたが、次回も論語について研究していきたいと思います。立派な日本人・立派なビジネスマンについての探求はまだまだ続きます。


*五省とは・・・

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか(真心に反する点はなかったか)

一、言行に恥ずる勿かりしか(言行不一致な点はなかったか)

一、気力に缺(か)くる勿かりしか(精神力は十分であったか)

一、努力に憾(うら)み勿かりしか(十分に努力したか)

一、不精に亘(わた)る勿かりしか(最後まで十分に取組んだか)

昭和7年 海軍兵学校校長の松下元(まつしたはじめ)少将の発案。毎日の自習終了5分前に瞑想し、その日の自分の行動を省み、深く自己を見つめ、自省自戒したといわれている。つまり、他部門や他人のせい(他責)にしてはならないということ。コンサルタントの基本心得であり、「立派な人間」としての基本的な資質でもある。 

【注記】守秘義務の関係もあるため、このコラム内容は、かなり一般的な話題に置き換え架空のものに編集しております。起こっている事象はよくある内容でありますが、内容の詳細については、ノンフィクションの読み物であります。予め、ご了承下さい 

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