【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2014年07月

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回までは、海外でよく発生する不正に対する対策例を述べた。今回は、盗難問題について述べることにする。
新興国であれば、どの国でもよく発生する問題の一つである。あまり喜ばしいことではないが、盗難は民度も低いのでやむをえないと言っていたのでは経営にはならないので、しっかりと盗難対策をすることは大切だ。とりわけ、日本から初めて新興国に赴任する出向者は、盗難に対して意識が薄いことが多い。赴任前に、これらの実態についてはしっかりと理解して赴任してほしい。 

 

◆先ずは教育

 先ずは、従業員への教育は基本事項と言える。盗みが発覚すれば当然、懲戒処分になるといったことを含めて、盗難するということがいかによくないことかは採用時と共に、定期的にも教育しておきたい。また、各職場の責任者に対して、盗難されないように管理するのは責任者の仕事だということも教育しておくことが大切である。すなわち、鍵をかけて保管しないといけないものは何か、その管理のルールはどうしなければならないかといった、管理の基本を徹底するということだ。

◆5Sの徹底が基本

 実は、5Sが徹底できているところは、盗難が少ない。中でも、整頓の基本となる3定(定位置・定品・定量)と表示・標識が徹底されていると、すぐに無いということがわかるからだ。すなわち、どこに(定位置)、何を(定品)、いくつ(定量)が一目でわかるようになっていれば、即座に無いことがわかると共に、それを管理する管理責任者の写真と名前を掲示しておくことで、ものが無くなったら、誰の責任かが明確になることで、資産の管理責任者としての意識も芽生えることになるからだ。

逆に5Sができていない職場では、何がいくつあるかも一目でわからないことから盗難にあってもわからず、盗み放題の職場ということになる。5Sは単に生産性や品質、また、安全ということだけではなく、資産管理の基本であり、盗難できない環境を作るということでも極めて大切なのだ。
 

◆休日対策は大切

ところで、盗まれるのは、通常の操業時ではなく、休日が多い。特に、設備や建物等のメンテナンス等で外部業者が入る際は、十分な注意が必要だ。入門時に指定場所以外には入らないように責任者に指示すると共に、立ち会い者をつけることも大切だ。また、盗難で多いものとしては、検査機や測定器具、パソコン等、小さいが高額なものが狙われやすい。売却すれば良い価格がつくからである。これらのものについては、日頃から作業終了後には鍵のかかるロッカー等に収納する等、管理方法を決めて盗まれることがないような対策が必要である。


◆監視カメラ等の設置

 常時、従業員を監視するということは、従業員を信頼していないということになるので、監視カメラの設置には抵抗感があるということもあるが、国によっては、盗難対策として、監視カメラの設置が必要なケースは多い。実際、監視カメラの設置には費用がかかるが、これによる抑止効果が大きいのは事実である。


新興国の場合、国にもよるが、始めから盗難はあるもののという前提で、対策をするということも必要ということだ。実際、入出門時のチェックだけでは盗難が見つけられないことが大半で、それぞれの国の実態に即して対策を変えることも必要と言える。



文責:ジェムコ日本経営  櫻内 康章

前回、管理・間接業務の改善・改革に取り組むアプローチとして特に重要な「意識改革」を取り上げましたが、今回はもう一つのポイントである「現状否定」について取り上げます。
変化・改革が求められている時代です。平常時であれば、これまでの制度や規程、慣習、やり方、しくみなどが効率的であったわけですが、いわば非常時ですから、それらが阻害要因になる場合が多々あります。ですから、改善・改革では過去の成功体験や延長線上で考えるのではなく、これらを一旦捨ててゼロにリセットする、現状否定の発想、意識が非常に重要となってくるわけです。

■“やめてしまえ”発想
現状否定、強制思考の大きな特徴のひとつに“やめてしまえ”発想があります。
“やめてしまえ”。
いかがですか?非常にインパクトのある言葉ですね。目的思考、現状否定、強制思考、過去との絶縁による“やめてしまえ”の発想の意味するところは、無用・低価値・重複業務といったムダな業務は、減らすとか効率化するというのではなく、ともかくやめる、廃止するという強制思考です。ムダな業務はいくら効率化してもムダなのです。
あくまでも“やめてしまえ”であって、現状否定の思考です。業務をやめるということは、書類の作成、伝達、保管など業務処理の一切がなくなり、事務コストが“ゼロ”になることを意味します。しかしながら、ひと口に“やめてしまえ”といっても、そこに何らかのよりどころがなければ改善に取り組みにくいものです。そこで、次のような6つの視点を設けています。

“やめてしまえ”発想を促す6つの視点
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それでは順にみていきましょう。

①その業務は無目的ではないか
「その業務の目的は何か」と改めて問い直されると、目的そのものが見当たらないか、あってもはなはだ曖昧な場合があります。ともかく、まず「目的は何か?目的は本当にあるのか?」で、業務をとらえていくことが大切です。

②その業務は目的を誤っていないか
よく“分析倒れ”という言葉を聞きます。例えば、分析資料で「現状はこうなっています…」ということのみを明らかにして終わっている業務があります。「現状を調べる」のが目的と思っているのではないでしょうか。これは、明らかに目的を誤っている業務といえます。本来の目的は、例えば仮説を検証するために分析し、分析結果に基づいて何をどうすべきか、あるいは原因を明らかにして対策を講じる、などのはずです。

③当初は目的があったが今はどうか
初めのうちは確かに目的があったのですが、今はもう目的を果たしてしまっているにもかかわらず、業務だけが依然として残っている場合があります。例えば、「○○定例会議」などがよい例です。当初は問題が多く、関係部門が集まって協議して解決にあたらなくてはならなかったのですが、今では問題もかなり解決されており、経験も豊かになったので、協議して問題を解決する必要ははるかに少なくなりました。しかし、その会議は当初と同じように繰り返されているケースなどです。

④同じ目的ではないか
異なった部門で、「同じ目的」のために似たような行為・行動をしている業務がしばしば見られます。これらの多くは重複していることが多いものです。責任をもつべき部署を決め、他の部署はやらなくて済むよう協議して、 “やめてしまえ”に踏み切ることです。

⑤目的は異なるが似たようなことをしていないか
先ほどの④とは反対に、目的はそれぞれ別々にありますが、行為・行動がよく似ている場合は、行為・行動を一つに絞って他はやめてしまおうと考えてみましょう。目的はそれぞれ別々でも行動が類似している場合は、例えば一人で複数の目的を集約して行うことで、行動の重複を省いていきます。

⑥今までの習慣の延長ではないか
改めて業務の目的を考えることなく、従来からの仕事のやり方だけをそのまま踏襲しているような業務には、「過剰」「重複」「無用」が含まれていることが実に多いものです。例えば、各種の業務依頼書、通知書、通達書、伺い書、およびその他の資料…。これらは企業の「決まり」「手続き」ということで、改めて目的を考えることもなく、何となく習慣でそのまま続けられている業務が意外に多くあるものです。

まずこのような視点での「やめてしまえ発想」を第一歩として、現状否定に取り組んでみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介した内容はWebアカデミーで取り上げています。詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.jemco.co.jp/academy.html

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