【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2014年10月

文責:ジェムコ日本経営 広報室 マーケティング担当 安村亜紀
9月に行った「未来予測セミナー新章!1Dayセミナー」の評価が極めて高いものでした。
どうしても都合がつかなくて心残り、内容が非常に気になって仕方ない。といった声を当社あてに100件以上お寄せ頂いておりますので、アンケート結果サマリーとともに、少しばかりレポートしたいと思います。

2014/09/05@東京 2014/09/10@大阪
『未来予測レポート新章!1Dayスペシャル★セミナー』

20140905-10_未来予測セミナアンケート_G-1

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参加者は、製造業が8割を占めています。こと、組み立て製造業が多く約5割を占めていました。摺り合せ型製造業こそ、事業の方向性を変革しないと生き残れない危機感を感じているようです。


20140905-10_未来予測セミナアンケート_G-2

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セミナー内容について問うと、非常に参考になった。と回答する人数が、かなり多く、全体でみると99%の参加者が参考になったと答えています。当社が企画するセミナーのなかでも一位二位を争う満足度の高いセミナーとなりました。

 

20140905-10_未来予測セミナアンケート_G-3
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参加のきっかけについては、そもそも、未来予測レポートへの興味度が高く、新しいレポート内容をキャッチアップしたいという方が多かったようです。中期経営計画のヒントにしたいという声も多くありました。


20140905-10_未来予測セミナアンケート_G-4
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関心のあるテーマを問うと、未来予測のセミナー参加者だけに、新サービス新事業、経営計画にまつわる興味度が高いです。一方、グローバル事業推進やコスト競争力への取り組みについては根強い関心度が伺えます。


20140905-10_未来予測セミナアンケート_G-5

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課題に対する取り組みについて聞いた結果、中長期経営ビジョンや課題が明確になっていないケースが大半であること、課題に対する解決策がきちっと設定されている会社も少ないことが分かりました。課題推進については、目標にこだわって実行しているものの、未達成で終わるケースも結構多いことが分かりました。



ということで、9月の新!未来予測レポート1Dayセミナーは、皆様の課題に対してストライクゾーンにある内容をお届けできたようです。
追加開催の要望を沢山頂戴しておりますので、半年以内にまた、行いたいと思います。
本件に関するご要望やお問い合わせ等ありましたら、どうぞお気軽にお寄せください。

【お問い合わせ】

株式会社ジェムコ日本経営 広報担当: 安村亜紀 a-yasumuraアットjemco.co.jp
TEL:03-5565-4110

※e-Mailの場合、アットを@に変えて連絡下さい。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回は、話題になった中国の食肉事件の事例について述べたが、今回は、回収問題について述べることにする。

今回取り上げる売掛金の回収問題は、どの国でも発生しているという訳ではないが、インドや中国などの新興国ではよく発生している問題である。実際、売掛金が回収できないと、それはそのまま自社の資金繰りの悪化を招くだけに海外では極めて重要かつ深刻な問題である。しかし、出向者の中には、販売すれば支払ってくれるのが当たり前という日本と同じ感覚しか持っていなかったために、倒産の危機に直面したという例もある。今回は、売掛金の回収に向けて、日頃から注意しておくべき事項例について述べることにする。

 

◆出向者への教育

 冒頭述べたように、先ずは出向者に対する売掛金の回収管理の重要性を、資金繰り、キャッシュフローという視点からしっかりと事前に教育しておくことが大切だ。資金繰りが悪化し経営危機に陥ったケースを見ると、回収管理の重要性への認識不足、また、日常管理すべきことがわかっていなかったというケースが結構多いからだ。

また、海外では日本の常識は通用しないことが多い。実際、インドでは、「いかに支払わずにすませるか、いかに支払いを遅らせるかを考えるのが、経理責任者の役割」とさえ言われる。インドは金利が高い。少しでも支払いを遅らせれば、その分の金利だけでも大きいので当たり前のことだ。


◆与信管理

 先ずは、取引にあたっては、きちんと支払いをしてくれる相手であるかの確認が必須だ。信用を与えられるかどうか、与信管理が大切ということだ。実際、売掛金回収問題が発生している事例を見ると、事前に、信用調査を行なっていなかったということが意外に多い。信用ができないところとの取引であれば、現金先払いでの取引にする必要がある。また、問題がないと判断するところも、与信限度枠を設定して未回収リスクの上限を設定することで、リスクを抑える取り組みをすることが大切だ。

また、信用調査も定期的に行なうことで、変化する経営状況を確認することだ。


◆基本取引契約書

 取引にあたっては、支払い条件等も含めて取引にあたっての基本契約の締結が必須である。現地のローカル企業の社長と意気投合して口約束だけで取引をスタートというようなことはあってはならない。また、不良が発生した時の処置や費用等についての扱いも事前に明確にしておくことが大切だ。

◆回収管理

 売上は、販売した時点で計上するが、お金という点では、基本取引契約書に基づき、請求書を発行することがスタートになる。確実に請求がされなければお金の回収はできないからだ。大切なことは、支払期日に確実に入金がされているかという入金管理である。もし、支払期日に入金されていないようであれば、すぐに督促しなければならない。

期日通りに支払われないケースとしては、請求書の処理漏れ等の理由ではない場合も多い。取引先が「資金繰りに窮している」または「意図的に遅らせている」というケースも多いからだ。特に、取引先が資金繰りに窮している場合は、回収が難しくなる可能性は高く、今、注文を受けて生産しているものについては生産を即座に停めるといった判断も必要となる。また、経営状況を見極め、債権回収が難しいようであれば、取引先にある在庫を引き上げるといった措置も必要になる。そこまでの状態ではない場合も、与信限度枠の見直しを行ない、リスクを少なくする処置も必要だ。

気をつけてほしいことがある。ある企業で、インドの取引先がなかなか入金してくれず、取引先から2カ月のサイトを3カ月にしてくれれば支払えると言われ、安易にそれに応じてしまったという例がある。皆さんはすでにお気づきだと思うが、3カ月にしても同様に入金してくれないままだったのである。すなわち、安易に回収サイトを延ばすというようなことはしないことだ。実際、1カ月遅らせることで金利だけでいくら損することになるだろうか。利益が出ているようでも、回収が遅れれば利益の確保はできなくなるということも理解しておくことが大切だ。また、回収サイトが長くなるということはそれだけ回収できなくなるリスクが増えるということにもなる。

もう一つ注意していただきたいことは、インドなどでは、お金がある時に支払える分だけ支払いをしてくるというケースがあるが、これは具合が悪いということだ。こうなると、どのPO(Purchase order)の分が支払われたのかがわからなくなってしまい、問題発覚が遅れる原因になるからだ。常に支払い内容とPOとは、一対一の関係にしておくことだ。

◆事前の予兆管理

 取引高も大きくリスク懸念のある取引先については、常に定期的な信用調査が必要であるが、日頃から、取引先の経営状態をチェックするように意識しておくことが大切だ。例えば、納品の際に倉庫を見て、在庫が滞留しているかどうかをチェックすることで、お金が回っているかどうかは判断できる。多くの滞留在庫があるということは、現金化が図れていないということで、資金圧迫を招いていることになる。物流業者に任せきりではなく、納品に同行して確認するということも有効ということだ。

◆残高確認

 新興国の場合、取引先のバイヤーや自社の営業マンが、単独、もしくは、共謀して不正をするということはよくあることだ。この不正を防止するという意味では、売掛金の残高確認をすることが効果的だ。すなわち、取引先の買掛金残高と自社の売掛金残高が一致しているかを確認するために、売掛金の残高証明書を取得するのだが、不正が多い国では、これを毎月取得することが有効だ。例えば、自社の営業マンが販売促進をするためのセール費用を出すと約束したなどと言って売掛金残高の中からこの金額を減額したりというようなことが発生していると、それがたまりにたまって、突然期末に、不良債権化してしまうということもあるからだ。常に、健全なB/Sを保つという意味でも、売掛金の残高確認は有効と言える。

◆滞留債権の管理と回収推進

 滞留債権化させないということが基本だが、もし、発生させてしまった場合には、売掛金年齢調べ表を作成して管理すると共に、適切な貸倒引当金の計上、また、滞留化した債権の回収に向けての取り組みが必要となる。実際に現場を見ると、裁判をするまでに持ち込むだけでも苦労されている例は多く、裁判をしても回収までに長時間を要しているケースが多い。

いずれにしても、このように滞留債権化させない日常の取り組みが大切ということだ。

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