【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2015年11月

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 人材開発事業部 部長 鳥羽 昭仁


◆昨今の人材、組織活性化に関するお悩み

 人材開発事業に携わる中、日頃経営者、幹部、あるいは人事やHRの部門管理者の方から、人、組織に関わるお悩み、ご相談をいただいておりますが、昨今の企業環境を反映して実に多岐にわたります。例えば…


・技術・技能の伝承、中高年シニア社員の活用と活性化がうまくいかない

これは、団塊の世代の完全退職を迎える2025年問題や65歳定年延長(改正高年齢者雇用安定法)などが背景にあります。
 

・次世代幹部社員(リーダー)、グローバル・中核人材の育成不足

ご承知のようにグローバル経営が加速する環境下、例えば若手社員の内向き(安定)志向の増加、異文化コミュニケーション力の不足、変革推進リーダーの絶対的不足と育成の必要性、これらを踏まえた教育体系の見直しの必要性が背景です。

・多様性、一体性(D&I)への対応、女性社員活躍へのサポート体制の不備

例えば、女性社員の育児サポートや復職に向けた支援と効果的な制度・運用、管理職層のパラダイム・チェンジ、マタニティー・ハラスメントの社会問題化などが背景にあります。

・タレントマネジメント;人材と組織の見える化、仕組みづくりがわからない

人材管理データの蓄積・管理・分析と効果的な活用が求められています。
 

・評価・報酬体系の見直しをどうすべきか?

年功序列、終身雇用の職能資格制度がターニングポイントにあるのは周知の通りですが、最近は「ホワイトカラーエグゼプション法」(年収1075万円以上の高度専門職の勤務形態に対する、時間ではなく成果による賃金決め)の法改正検討なども背景にあります。

・就業形態の変化への対応をどうすれば…派遣(有期)社員や限定正社員の能力測定の基準や諸制度の再構築は…

例えば改正労働者派遣法を受けて、企業はどのように対応していけばよいかなどです。
 

◆「人材」・「組織」・「現場」の3つの開発

 こうした人に関わる悩み、組織の活性化への取り組みへの対応では、「働き方改革~人と組織を元気にする~」との全体観で、便宜上デフォルメして以下の3つの「開発」を基本コンセプトとして展開しています。

・「人材開発」

・「組織開発」

・「現場開発」
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①人材開発

ここでは人事やHR、そういう機能を持つ部門に対して主に教育研修等を提供しています。例えば、「内外のグローバル化対応」としてグローバルマインド醸成、リーダー育成、他階層別研修など。「働き方の多様化対応」としてダイバーシティ対応研修などがあります。 

②組織開発

これはもう少し上位というか大きなテーマです。人材開発の周りにあるような大くくりであり、経営トップ、経営企画、管理部門の管掌役員の方に対する提案になります。例えば、「組織風土」とか「企業文化」の問題や、人を活かすためのいろいろな仕組みづくり、また、どのように適材適所に人を配置するか、その前提としてどんな人材がどのように分布しているのかといったことの見える化、(いわゆるタレントディベロップメント)あるいは、それらに付随する評価・報酬・処遇をはじめとした制度・仕組みをどのように構築していくかなどです。

③現場開発

現場起点での人の活性化、モチベーションの向上、生産性の向上といった、工場長とか営業部門長など現場の第一線のトップの方のお悩みへの対応です。

例えば技能・技術伝承対応として実務ワークショップや伝承者育成、ナレッジエンジニアリング、あるいは実務とマインドの融合(マインドマネジメント)を実施しています。

◆「働き方改革」

 当社は現場での改善・改革指導で成果を出すことが元々強みですが、定着化、永続性のためには人材開発(継続的な人材の育成)、組織開発(風土改革、規範変革)、現場開発が連動して取り組まなければ達成できません。いま、経営者・幹部の方からは異口同音に

・“ことなかれ社員”が増えた。一人ひとりがもっと当事者意識を持って自ら考え、動ける。そんな社員を育成しなければ…。

・社員が活き活きと働ける。仕事を通じて向上しようという気持ちで、わくわく楽しく仕事ができ、生産性や品質も向上する。そんな職場にしたい…。

等々の話題が、投げかけられています。

次回は「働き方改革」の詳細についてご紹介したいと思います。

文責:ジェムコ日本経営 常務理事 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

前回は、グローバル本社機能として整備すべき事項について述べた。その前の回でも述べたが、海外拠点の経営がうまくいくか否かは出向者に起因することがほとんどだ。それだけに、定期的な監査や、管理帳票の見直しで問題を早期に発見して対策が打てるようにすることは重要なことだが、やはり、そのような問題を起こさず、経営の舵取りをするためには、出向者人材を適切に育成することが基本と言える。併せて、海外拠点がどんどん拡大する中で、出向させられる人がいないと悩まれている企業も多い。そういう意味では、いかに短時間で出向者人材を育成するかも課題と言える。今回からは、出向者人材をいかに育成するかということについて述べる。
 

◆計画的な育成とは言うものの実質的には無理

 海外出向すると、担当する分野が極めて広くなると共に、役職も日本での役職から1~2階級上になることが大半だ。当然、専門分野だけを知っていれば良いということにはならない。そういう意味では、計画的な育成を図るには、色々な部門の経験を積むことが必要であり、そのような育成ができればそれに越したことは無い。実際、将来を担うであろう人材を明確にして、ローテーション計画を立てられている企業もある。しかし、この方法は、ものすごく時間もかかると共に、実現できていないのが実態だ。筆者のご支援先でも、出向候補者人材のリストがあり、その育成計画が記載された計画書はあっても、各部門のニーズや、その人が抜けると業務に支障をきたすという理由で、結局は異動できないままになっているということが大半である。計画的なローテーションは、大抵、絵に描いた餅になっていることが多いということだ。

また、それ以上に多いのは、海外での拠点新設が急に前倒しになったり、急に出てきたりしているケースだ。これは、客先の要請によるということもあるし、そこに事業機会があると判断すれば、逸早く進出した方が得策という経営判断が働く場合も多い。そうなると、計画的な出向者の育成どころではなく、今すぐ出向させられる人材は誰かという話しが突然出てくる。

すなわち、計画的な育成が図れるのであれば、それに越したことは無いのだが、実質的には無理というのが現実の姿ではないだろうかということだ。

◆出向候補者の選定・・・先ずは資質があるか否か

 それでは、どうするとよいだろうか。出向候補者の選定にあたって、よくあるのは、出向先での仕事ができる人(できそうな人)ということで選定するケースが多い。しかし、これだけで選ぶと失敗することがある。一番大切なことは、海外出向者に求められる資質を備えているかということだ。実は、国内で優秀だから、海外でもできるとはならないケースが多いからだ。筆者の経験した事例では、優秀な経理責任者にもかかわらず、海外での生活が不安で、うつ病になってしまい、赴任直前に取り止めることにしたという例もある。また、出向したものの、その国の文化や風土が受け入れられず、いつ帰任できるだろうかということばかり考えて、ほとんど仕事ができていないというケースもある。
 そういう意味では、日本と異なる文化を受け入れ、また、多少のことでは動じない強いメンタリティを持っているということが海外出向者に求められる必要条件と言える。特に、赴任先が、日本と比較すると劣悪な環境にあるというような場合は、なおさらである。従って、選定にあたっては、仕事の内容という前に、先ずはこのような資質を持っている人かどうかで選ぶ必要があるということだ。


◆短時間で育成を図るには・・・先ずは何を事前に勉強する必要があるかを明確に

 さて、資質があるという人の中で、出向先の地位や仕事内容を踏まえて、それに対応できる人を選定することになる。その場合、出向者の地位や仕事内容から、出向者に求められる要件を明確にしておくと良い。その中で必要となる知識について、出向候補者が修得していないものについては、事前にそれを修得する場を用意することが必要となる。一般的には、一つには、経営責任者や、経営幹部として出向するケースが多いので、経営の基本とマネージメント、また、海外では日本の常識は通用しないので、異文化への理解と対応等については、最低でも理解しておく必要がある。(これについての詳細は、次回以降、述べることにする。)

 もう一つは、その事業を進める上での専門知識だ。例えば、品質や生産技術といった、独自の規格や専門知識が必要という場合は、それらを修得しておく必要がある。これらは、大抵は、それを専門とする部門に行って、現物や帳票、マニュアル等を見ながら、ポイントを学ぶ必要がある。いずれにしても、出向者に求められる能力や知識要件が整理されていれば、何を事前に修得しておく必要があるかはわかり、それを短時間で研修できるようにするということだ。

◆相談できる関係を築く

 ところで、そうは言っても、少しくらい研修しても、専門知識については、すぐに自分のものにするというのは難しい。研修で大切なことは、出向して事業推進をする際に、必要となる知識の引き出しを用意しておくということだ。すなわち、すべての分野の専門家になる必要はなく、その分野については、誰に聞けばよいかがわかっていれば、仕事はできるということなのだ。そういう意味では、研修にあたっては、このことは、誰に聞くとよいかという相談役を明確にして、気軽に相談できるような関係を築けるように配慮することが大切ということだ。そういうことであれば、短時間で、必要となる知識の引き出しが準備でき、海外に出向しても、何とか仕事はできるということになる。

 次回からは、経営幹部として、出向する人には、是非、理解しておいていただきたい事項について述べることにする。

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