【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2015年12月

文責:ジェムコ日本経営 常務理事 グローバル事業担当コンサルタント 高橋 功吉

 前回は、海外拠点での経営問題を見ると、人災と言ってもおかしくないのではという事項が多く、そういう意味では、出向者人材の育成が極めて重要なのだが、現実を見ると計画的な育成には難しさがあることを述べた。また、出向候補者の選定としては、単に能力だけで判断するのではなく、異文化で仕事をする資質があるか否かが重要であることを述べた。

 今回は、資質のある人材を選定した上で、海外拠点の経営幹部として、赴任前に最低限、身に付けておくべき事項について述べることにする。


◆赴任前研修が真に有効なものになっているか

 赴任前研修や出向候補者研修を行なわれている企業は多い。

実際、海外での仕事に順応できる資質のある人でも、不安事項は多く、それは、異文化の国で仕事をすることへの不安だけではなく、仕事の範囲が大幅に広がることから、未経験の仕事に対する不安と共に、海外の場合は、教えてもらえる人が近くにいないということも背景にある。それだけに、赴任前の研修は極めて重要と言える。しかし、研修内容を見せていただくと、これでよいのかというものが意外に多い。失礼な言い方だが、研修メニューそのものが、経営を担った経験のない人や、海外出向したこともない人が企画したのではないかという内容になっていることが多いからだ。

 それでは、海外での経営を担う立場として、最低でも理解しておく必要のある事項としては、どんなことがあるだろうか。一つには、経営を担う立場である以上、経営の基本についての理解である。これが身に付いていなくては、適切な経営判断や経営の舵取りは難しい。ベースはキャッシュフローへの理解と、具体的な推進方法の理解が必須だ。また、成り行き経営にしないためには、経営計画の策定や日常の経営推進管理といった事項も理解しておく必要がある。さらに、海外では日本の常識は非常識ということも多い。その国で仕事をさせていただくという姿勢で仕事をすることが大切ということだが、海外での常識や海外でよくある問題を事前に理解していないと落とし穴にはまることもある。ローカルの皆さんとの接し方も含めて、先ずは、これら最低でも必要となる知識について、短期間で修得できるカリキュラムは、是非、用意しておきたい。


◆経営の基本としてのキャッシュフローへの理解

 今回は、先ず、それらの中から経営の基本への理解ということについて述べる。

海外出向すると、大抵、役職は1~2階級上になると共に、経営全般を担う立場になることが大半だ。さらに、海外拠点は日本の中の一工場ではなく、独立した法人ということになる。税務調査が入ることもあれば、労使協議等も独立した会社として対応が必要になる。

 今までは、本社のメンバーがやってくれていたというようなことも、自分の責任で行なうことが必要になる。

例えば、資金繰りだ。資金繰りなどは、本社の財務部門や経理部門がやってくれていたことで、今までは、そんなことは知る必要がなかったかもしれない。実際、自分の財布にはいくらお金が入っているかは知っていても、会社にいくらお金があるかは知る必要もなかったという人は多い。しかし、独立した会社ということになると、そうはいかない。資金ショートすれば、倒産ということになりかねない。従業員への給与の支払い、調達先への支払い等で苦労したことなどなかった人が、「資金不足で給与支払いができませんがどうしましょうか」とローカルの経理責任者に言われて、慌てふためいたというようなこともありうるからだ。

 そういう意味では、先ずは、経営の基本となる「キャッシュフロー」についての理解は必須と言える。どうするとお金が増やせるか、どうするとお金が減るか、誰もがわかっていそうな当たり前のことなのだが、意外に、この基本が理解されておらず苦労されている例は多い。もともと経営は、株主や金融機関等から調達したお金を使って、いかにキャッシュを生み出していくかということであり、そこで生み出したお金を使ってさらなる成長発展に向けて投資をし、さらに新たなお金を生み出すというのが、事業を存続発展させていく基本のサイクルになる。従って、ムダなお金の使い方をせず、キャッシュを生み出すには何に取り組む必要があるかという基本がわかっていないと、話しにならないということだ。ちなみに、誰もムダなお金の使い方などしているとは思っていない。しかし、例えば、売掛金であれば相手に無償でお金を貸しているのと同じであり、また、在庫はお金が物になって寝ている状態なので、借金をして調達したお金が売掛金や在庫になっているということは、それだけで金利を支払っているという感覚が持てることが大切なのだ。

 すなわち、どこからお金を調達し、そのお金を事業推進のための資産にどう換えたのかを示したものがB/Sであるが、先ずは、B/Sの中身がわからなくては、有効なお金の使い方にできているかもわからないことになる。

 どの企業でも利益については、うるさく言われており、大抵の人が理解している。しかし、B/Sやキャッシュフロー計算書などは見たことも無いという人が多い。これでは、経営を担うことは難しい。最低でも、資金の組立や利益の組立ができなければ、経営計画そのものの策定もできないし、また、日常の経営管理も難しい。実際、未回収の売掛金が多いにもかかわらず、利益しか見ておらず、利益が出ているにもかかわらず資金ショートに陥ったという事例もある。海外では、支払いを遅らせるのは当たり前という国は多く、日本の感覚で、売ったらお金を支払ってくれるものという感覚でいると、大変な事態になることがあるが、日頃からB/Sやキャッシュフロー計算書、資金繰り表から管理しておくべき事項がわかっていないと、このような事態にもなりかねない。

 先ずは、経営の基本としてのキャッシュフローについては、徹底して事前に勉強して赴任いただきたいということだ。

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男


◆「働き方改革」の本質‐第一回 「主体的に働く」とは
 前回、本コラムで「人と組織の活性化‐働き方改革」について紹介しました。そこで、今回から「働き方改革」の詳細について取り上げていきます。第一回は「主体的に働く」ということについて考えてみます。


◆人の持つ可能性をつぶすもの

高度成長時代を生き抜いてきた我々は、後世に何を残してきたのでしょうか。利益、コスト、効率と血のにじむ努力をしてきたのに、夢のない、やりがいのない社会にしてしまったのでしょうか。

最近、各社からご相談されるのは

「事なかれ社員が増えて困っている。言われたことはちゃんとやるのだけれど、それ以外はやらない」

「新しい事や面倒なことにはチャレンジしない人たちが増えてしまった。これで強い会社になるはずがない、何とかよい方法はないか…」

といったことが非常に増えています。

そうした会社の現場にヒアリングしてみると

「実はこんなことを感じているのですがどうも目立つのがいやで…」

「問題だと思ってはいますが、誰か旗振りがいれば私も参加するんですけど…」「やりたいことはあるんですが、会社から無茶な要求ばかり来るのでやる余裕がないんです」等々

可能性の芽はあるのですが、どうも風土やマネジメントがその芽を摘んでいるように強く感じます。
現場の人たちは「やらなければ」という思いはあるのですが、結局行動には移っていないためにストレスが溜まり、自分をかばうために、出来ない理由を自分以外の上司や職場や会社のせいにして不満を言っている、というのがどうも実態の様です。 


◆自分を殺す凶器(言葉)

「どうせ私はこんなレベルです」

「どうせ俺には無理だ」

これらの言葉は、自分を殺す凶器です。

どんなに能力があっても、豊富な経験があっても、この言葉で自分が死んでしまいます。そして、出来ない理由を他人に向けて、自分は正しいのに、と正当化して、世の中との繋がりを遮断して行くのです。こうした否定的な思い込みで囲ってしまう意識の壁(メンタルブロック)、これが自分の可能性も人間関係もすべてを悪くしている原因であるといえます。

これは、上司やコンサルタントもどうすることもできません。唯一ともいえる方法は、このような思い込み、考えが自分自身をダメにしていることに気付き、小さなことでよいので、自ら考え、自ら行動することなのです。

挨拶や朝の散歩でもよいでしょう。ともかく自分で考え、まず行動してみる。そして習慣づける。こうすることで強固に築かれていた自分を囲っているメンタルブロックが崩れていき、前向きで主体的な自分が戻って来るのです。


◆主体的に考え、行動する風土

「こうしたらいいのに」「自分はこんなことがやってみたい」ということを本当に実行に移していける風土やマネジメントがあれば、人はイキイキと働くはずです。

「あれはやっちゃダメ!」「そんなことムリだろー」と、可能性を閉じ込めていませんか。

「それいいね! 難しいけどやってみようよ!!」「失敗してもいいよ。チャレンジしてみよう!」という風土・マネジメントが、今一番必要とされているのです。

「一日8時間労働制に感じた危機感は、労働時間の不足などではない。働くということが、ただの決まりきった作業になってしまうということだ」とは、エジソンの言葉だそうですが、このエジソンの危機感の様に、私たちは単に作業をする人を増やしてはいないでしょうか。例えば、政府が推進する「働き方改革」も、残業を減らそうとか育児休暇を取ろうとか、本質の部分が抜けているように思えてなりません。

本当に必要なのは、自分の成長や夢のために主体的に仕事に取り組むことです。ドラッカーが言う“ナレッジワーカー(知識労働者)”とは、「自ら考え、自ら決め、自ら行動する人」という意味です。これと対極にあるのが“マニュアルワーカー”、すなわち、指示、命令に従い、マニュアルどおり働く、動く人です。各人がいかにして自ら考え、自ら決め、自ら行動して自分の成長を果たしていくか、現代の労働者の大半を占めるナレッジワーカーの大きな課題です。
 

◆自らの意図を持って行うことで、人は幸福感を得る

幸せを感じるのは、およそ半分は遺伝的による、と言われています。

環境要因(人間関係、仕事、家庭、お金、健康)は10%。それは、人間は我々が想像以上に短期間に自分のまわりの環境変化に慣れてしまうからです。

残り40%は、日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方による。特に、「自分から積極的に行動を起こしたかどうかが重要」なのだそうです。自らの意図を持って何かを行うことで、人は幸福感を得るのです。

そして幸福な人は、仕事のパフォーマンスが高く、クリエイティブで、収入レベルも高く、結婚の成功率も高く、友達に恵まれ、健康で寿命が長いことが確かめられているそうです。定量的には、幸せな人は、仕事の生産性が平均37%高く、クリエイティヴィティは300%も高いと言われています。

脳科学的にも、自分で考え自分で決めることで「報酬神経群」の働きで「心地よい」というご褒美が出るそうです。脳内物質のセロトニンやドーパミンがでることで心地よさを感じ、次なる行動へと駆り立てる仕組みなのです。

ですから、幸せになるためにはまず自分から積極的に行動を起こすことです。
私たちの幸せは、未来に向かって昨日より今日の自分を成長させるために、自分で考え判断し、自分の持つ個性と才能を発揮することです。

次回は「夢」について取り上げます。
 

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