【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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2017年09月

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 古谷 賢一

コンサルティングを行っていると、大企業であれ中堅企業であれ、とても悩ましい状況に陥ることがあります。このコラムでは、“隣の工場”で身近に起こった事例をモデルにして、どのように事態を打開していったのかを紹介したいと思います。

 例えば、改善活動を推進しようとしても、現場があまり乗り気にならず、改善活動への逆風が吹き荒れることがあります。「忙しいのに、改善活動をすると、さらに忙しくなる」、あるいは「改善活動って、しょせんは会社が儲かる話で、俺たちには何の得にもならない」、さらには「改善活動って、人減らしでしょう? 自分が不要になるようなことを誰が喜んでやりますか?」と言った言葉は、決して珍しいものではありません。

 ここで紹介するX社も、そのような声が渦巻く悩ましい職場でした。X社は金属加工を生業としており、全国規模の大企業ではありませんが、その地域では中核的な存在の会社でした。しかし、職人気質の従業員が多く、自分達の作業が一番だという自負もあり、改善や改革と言う言葉にはずいぶん抵抗がある職場風土でした。

 同業者が競争に切磋琢磨しながらレベルアップをしているなかで、市場の厳しさを肌で感じていた社長が、工場の改善取り組みの必要性を訴えるものの、現場の反応はまさに上記のような言葉が返ってくるばかりでした。改善を得意とするコンサルタントが、社長の助っ人役を仰せつかり、最初に工場を訪問した時も同じで、社長が席を外した途端、社長批判が続出して話しあいには程遠いものでした。

 しかしコンサルタントが根気よく、現場の人たちの話を聞いていると、今まで改善活動というと“おしつけの活動”ばかりであり、“自分達が苦労する事はあっても、改善で楽になることはなかった”という本音が見えてきたのです。そこで、コンサルタントは社長と密な話し合いを持ち、従来の改善での良くない記憶を払拭させて、前向きな職場を目指すことが重要だとの合意を得たうえで、現場に対して「改善活動とは、そもそも、作業する人が楽になることだ」と言うメッセージを発信しました。作業が楽になれば、結果として作業性も高くなるからです。

 “面倒な仕事は減らしましょう”、“身体に負担のかかる作業は減らしましょう”、“複雑な動作を簡単な動作に変えましょう”、そういうスローガンを掲げて、現場の人たちに実例を繰り返し体験してもらうことで、頑なだった現場の意識が変わり始め、その後、改善活動に弾みがつくようになりました。改善への道のりには時間がかかりましたが、それまで短期成果を追い求めるあまり、現場の意欲を大きく削ぎ落していたことが、この会社の反省点であったのです。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

ドラエモン開発のコンセプトを「人の生活を楽にする」としました。AIを搭載したドラエモンは世間の情報をSNS経由等で収集して、形態素解析等を通して困り事に関連した単語等を分類・整理していきます。ここで、ひとつ開発者サイドとして、悩ましい事柄が発生します。果たしてSNS上のあらゆる情報をそのまま読み込ませてしまっても良いものでしょうか?ご記憶の方も多いかとは思いますが、中国IT企業の対話プログラムにて「中国の夢は米国への移住」などと、中国政府にとっては好ましくない発言を連発したり、米国IT企業の対話プログラムは米国では最大のタブーである人種差別発言をしたりと、全てをAI任せにはできない面があります。映画の話になりますが、「チャッピ-」(2015年)ではギャングに育てられた?AIがギャングの行動規範で動くようになってしまいます。

ここで、AIがどのように学習をしていくかということに関連して、教師あり学習-教師なし学習-強化学習という3つの機械学習に関わる考え方について触れておきたいと思います。

まず「教師あり学習」ですが、簡潔に表現すると「正確とみなす情報があるデータを基準にモデル化」する方法です。例えば、住宅価格を求めたいとき、住宅の広さ、間取り、住所、駅からの距離、周辺の施設、等々と住宅価格のデータをもとに住宅価格算定モデルを作成するようなイメージです。この例の場合であれば、従来からあった多変量解析と同様な手法と言っても良いかもしれませんが、コンピューターの性能アップで膨大なデータに対しても処理できるようになったとともに、随時新たなデータを取込んでモデル修正を行なっていける部分が従来の多変量解析から機械学習が進んだ部分と言えます。第3AIブームの火付け役のひとつの事象であるGoogleが画像処理と深層学習でネコの画像を認識させることに成功したのも、「これはネコだ」といって数百万枚のネコの画像を読み込ませて、ネコの特徴からネコを判別できるようにしたからですが、これも教師あり学習にあたるものです。「ネコ」ではなく「ネズミ」としてデータ入力していれば、ネコの画像をネズミとして回答するようになっていたはずです。このように書くと当たり前と思われるかもしれませんが、次のような場合はどうでしょうか?ある研究機関で人の遺伝子情報からある病気との関連性をAIを活用して研究していましたが、人間だと思って取り扱っていたサンプルの中にイヌのものが入っていたようで、あやうく狼人間の研究をするところだったという笑えない話もあります。ここにも、まだまだ、恣意的ではないにしてもAI任せにする訳にはいかない例がありますね。健康診断用のサンプルにペットのものを出した記憶がある読書の方はいらっしゃいませんか?

教師なし学習と強化学習については、次回以降に記載させて頂きます。

文責:ジェムコ日本経営 営業部

会議室のドアを開けてメンバーが入ってきた。

5ヶ月間のコーチング研修を終えたメンバー一人ひとりの足取りと視線は、自信にあふれているとすぐにわかりました。

 

私達コンサルタント会社は成果を必ず求められます。

定量的な数字は成果の結果とし評価される重要なファクトとして扱われますが、コーチング研修などでは定量的な成果は見えづらく、私達としては評価がどう下されるのか、とても緊張する場面です。

「始めたころと何一つ変わってない」と言われてしまえば、それで終わってしまいます。

でも、私達の想いはメンバーが席に着く前に全て吹き飛びました。 

研修の目的は、「自律的に変化を生み出し組織に進化をもたらす」ことで、自らを活性化させ、周囲に影響力を発揮する次世代の人材を育てることにあります。

5月上旬に部内全体で集合研修を行いその後、選抜メンバーを対象に個別コーチングを実施、本日の最終回は全員でお互いの心情を共有し振り返る報告会です。

 報告会は本部長も出席しており、これまでお互いがどのような個別コーチングを受けてきたのか分からないので、メンバーは少し不安と緊張している面持ちです。その状況は集合研修と同じでした。

しかし、大きく変化していたのはメンバーの行動。コンサルタントが「振り返りのコメントをお願いします」と切り出すと、誰からともなく話し始めたこと。始まったころは、「○○さんお願いします」と発言を促されるのを待っている状態でした。

私は、この短期間にいったい何が、彼ら変えたのだろう?その答えは彼らの迷いのない振り返りコメントで理解しました。 

人は日常生活の中で必ず他人との接点ができ、様々な情報や価値観が入り、自分の感情に影響をあたえられます。誰しも感情の影響を直接的に受けないように、無意識のうちに自分の周りに膜をつくり身を守ろうとします。

ちょうど紫外線から地球を守るオゾン層のようなもので、私はこれを「Mind Block」と呼んでいます。

Mind Blockの内側にいれば安全で安心して過ごせます。ただし成長はしません、さらに自分の意識を塗り変えてしまう副作用も起こります。

意識の塗り替えとは、他人からの影響を極力受けないように、自分の「本当の思い」に嘘をつき「思っている」と思い始めてしまうことです。

この副作用が起きると、本当の気持ちが分からなくなり、混乱し葛藤が始まります。混乱と葛藤を抑えようとして膜を重ねて厚くして閉じこもるようになります。これを「心が乱れている状態」といいます。 

彼らは、まず「心を整える」ことから始めたそうです。その方法は一人ひとり違いますが、共通していたことは職場以外でも自分の小さな感情の変化を意識し一日を振り返る行動です。

感情が乱れる時は自分の心が乱れている時。小さな心の乱れが、なぜそうなったのか、どうすれば心を整えられるのかを意識する。

それを個別コーチングで言葉に出してコンサルタントと話し合う。次はこうしてみたいとかコミットしながら実行して失敗と成功を繰り返しながら習慣化したそうです。 

心を整える習慣をつけることで、自分が「本当に思っていること」へ素直に向き合えるようになり、さらには相手の気持ちに寄り添えるようになったと、メンバーは口をそろえて振り返っていました。

メンバーの自信に満ち溢れた姿は、自分の周りを取り囲んでいたMind Blockが消えた証、迷いのない発言は、自分の気持ちに素直に向き合えるようになったから、私はそう理解しました。 

人の行動は自分が思っていることが顕著に現れます。行動を習慣づけることは質が高まります。そしてその行動は周囲の人に変化をもたらし影響を与えていくことになります。

報告会の最後にメンバーは行動を習慣づけるために何をするのか、コンサルタントと一人ずつ握手をしながらコミットしました。その言葉には熱い魂が入っているとても印象に残るコミットでした。

会議室を出る姿からは、ワクワクした気持ちが伝わってくるものでした。


文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

本日開催の趣旨

本日は、お忙しいところありがとうございます。世の中では「働き方改革」と称して残業規制や、女性活用などの制度作り、ルール作りに取り組まれていますが、本質的な部分が置き去りにされているようです。本日、ゲストとして某食品会社の社長と元某石油会社の製油所長にお越しいただき、本質的な部分をお聞きしながら、皆様でディスカションをしたいと思います。 

1.ゲスト2社の取り組みについて

<その1>某食品会社・M氏の取り組み 

2年前に社長就任した時

・女性社員や派遣社員がトイレを使用できないなど、いろんな事があり、理由が突き止められないような中身だった。

社員の中には、

「この人が嫌い」「絶対にしゃべらない」「一生許さない」

という人がたくさんいた。

いろいろな事が隠れている会社だと感じた。

原因として、

・親会社からの出向社員

・プロパーで入ってくる人(平均3~4社経験している)・派遣・パート

といろんな人がいる中で、自分がよければいいという考えが中心となり、人との関わりが薄いく、陰口・噂話が多くなった。

どうやったら一人ひとりが幸せに働けるか?

会社の売上を上げるには、自分たちの商品で幸せをお客様に与える事。その為には、働く人が幸せである事が前提になる。

一人では解決できない、色々な事がでてくることから、広野ゆい氏(ご本人も発達障害で、同じ障害を持っている人達の支援をしているコンサルタント)に相談した。

会社の中に、

コミュニケーション障害と言われる、得意先で挨拶ができない、名刺交換ができない、人と同じ事ができない人たちがいた。これは、能力が低いわけではなく、障害である。

・普通の人と病気の人は白と黒ではない。完全な人はいない。ほとんどが灰色であって、度合いが違うだけ。 

まずは、役員、部長、全社員、全パートを集めて研修をしてもらった。

楽しそうに話しているのをみて、自分の中の思いこみが強かったと感じた。(この人とこの人は仲がよくないのでは?等)

研修終了後、一人ひとりの価値観を大切にしたいと思い、これまでの2年間は、お昼を役員だけで食べていたが、この事は、“縦の関係はフラットだ”と言いつつも、役員だけで食事をしているのは、下からみたら間逆の事。

派遣社員が辞める理由に、

・いじめられる

・陰口言われる

・トイレも使えない

・お昼に45分も休めない、休む場所もない

と言われていた時に、その人の45分を大切にしたいと思い、自分が一緒に食べたら時間を邪魔し、緊張させてしまうかもという考えだったが、

現在は、事前に確認をしたうえで、違う人達と一緒に昼食を食べるようにした(理想の理想「今日いやです」と言える会社)結果、「皆も呼んで食べましょう!」と言ってくれるようになった。「お昼一緒に食べていいの?」 と言うと、「そんな事思っているのは社長だけですよ。」と言われ、

あらゆる事に対して自分が目指している姿と、自分のやっている事は一致しているのか見つめ直した。 

各部署で5~6人のグループに分かれて、皆で会社を良くするには?とディスカッションをした。

全員が明日から自分が毎日すること(目標)・行動することを決めた。

(自分がお昼を皆と食べるのも、この活動のひとつ)

1か月に1回:できたか・できなかったか確認しあう 

一人ずつの目標を出してもらっているで、

明日からの行動で一人ひとり何をしましょうといった時には、もの凄く意識を持つ。 

自分も言っているので、破るわけにはいかないし、辛そうにやっている姿を見ているので、

皆もやらないわけにはいかないし、習慣化した時に気持ち良くなってきている。

Q:変化は見られるか?

徐々にだが、最初は否定した人達もだんだん変ってきている 

一部の部署では、

毎朝“ハイテンションで、全員でハイタッチ”を行っているが、習慣になっていて、ものすごく明るい。でも、逆に、他の部署との距離はあいていく・・・。

原因は、自分がその部署と一緒にハイタッチをしていなかったから、そのように周りから見られる。 

と思い、今は一緒にハイタッチを行っている。

男性は男性、女性は女性でお昼を食べるのが習慣になっている。

その中、皆で仲良くしようと、ある男性と女性が一緒にお昼を食べていたら、ネットに書き込みをされ、結局、男性は男性、女性は女性でお昼を食べる元の形に戻った。

そこで、後日、2人と一緒に食べたが、会社の雰囲気は自分がどう動くかで変える事ができる。と感じた。 

問題がある人とは何十時間も関わって話をするが、この事は、社長は問題がある人たちとは話すが私たち(普通の人)とは話さない。

時間に対しても平等にしなければならない。

目指す会社とは程遠いし、何がどう変わっているか分からないが、

行動ではなく“気持ちでどう動くかが大切”

高度経済成長時代の

・給料が上がる・いい家が買える・いい車が買える、ことだけを求めていた時代とは違い

一人ひとりの価値観、何を求めているのか何を本当に幸せと思っているのか、

時代に一番あっているのは、若い人たちほど、時代にあっているし、一番進化を遂げているのは若い人。

これからの時代、どうしていくかをみんなで考えながらやっていこうという取り組みをしています。 

【モデレーター】

よく言われることだが、7歳違うと価値観は合わないと思ったほうがよく、世代間のGAPがある。

私の年代(60歳前後)が境目で、高度成長時代に理不尽な事を言われても、泣きながら仕事をやってきた“プロジェクトX”の世代。“根性”と“度胸”、で行ってきたマネジメントは、通用しない。 

我々の世代がまだおさまっているので、マネジメントをなかなか変えられない。良き時代でのマネジメントを身に付けた人達がまだまだいる。我々の時代は、合理化、コストダウン、IT化での効率化を徹底してきたので、コミュニケーションが減った。内部統制とかISOとかで、失敗させない仕組みを作ってきたので、チャレンジしない風土を作ってきてしまった。

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毎日のように企業様から相談をもらう。特に、大手企業の方が悩みが深いようだ。

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次回は、某石油会社の取り組みをご紹介いたします。

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