【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

成長戦略 | 技術伝承 | グローバル | 改善改革 | コストダウン | 等 プロジェクト現場から最新情報やお役立ち情報をお届けします。

2017年11月

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 牛奥 修三

先般、異業種交流会にて、群馬県前橋市に拠点を置く通信機器メーカーである株式会社ナカヨ様の工場見学に行って来ました。
今回のテーマは、「
IoTによる製造現場の革新」です。

 同社は、1944年に中与通信機製作所として設立後、情報通信機器の開発、製造、販売、環境及びエネルギー設備関連機器、関連商品の製造、販売を事業としています。

2014年に株式会社ナカヨに社名を変更後、ものづくりサポ
ートにも力を入れ始めました。70年以上の通信機器製造に裏付けされた高品質な“ものづくり”をもとに、一歩先を行く最適なソリューション提案を行っています。また、IoTが昨今のように話題になる前から、自社工場の見える化に取り組み、様々な施策を行ってきました。マウスに使われているセンサーを取り外して利用することで、ライン稼働の可視化を試行錯誤したこともあるそうです。見える化の画面に関しても、現在でも見やすく、比較も容易ですが、さらなる改良に努めていらっしゃいます。
確かな技術
力とサポート力はもちろんのこと、一番感銘を受けたのは、改良に取り組む姿勢や、可視化したデータを全社で共有し、次に繋げるという体制です。朝礼等の打ち合わせの場には、毎月の改善活動内容をまとめた社内報や、収集されたデータが様々な角度・視点で検討できる状態に加工されて掲示されていました。改善活動の打ち合わせの様子も拝見しましたが、見える化が目的なのではなく、現場の改善や、生産性の向上を目的に取り組む姿勢が社内風土として定着していると強く感じました。
今回のテーマである「
IoTによる製造現場の革新」の本質を見た気がしました。

夜は、異業種交流会のメンバーと工場の方々とで懇親会が行われ、おいしい料
理と一緒に、群馬の地酒である水芭蕉、谷川岳、赤城山を頂きながら、(銘酒を飲み比べというには、多すぎる?量ではありましたが楽しくおいしく頂きました。)現場改善力や気づき力を持った人材の育成に対する熱い思いを聞かせていただきまた。さらに脱線したお話もいくつか聞かせて頂き、いろいろな意味で魅力的な企業だと感じました。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 古谷 賢一

 コンサルティングを行っていると、改善活動に消極的な人が必ずいるものです。
消極的であればまだマシな方で、積極的に否定をする人もいるのが現実です。
しかし、あるタイミングをきっかけにガラっと考えが変わり、改善活動に積極的な姿勢へ転じることもあります。そういう瞬間に出会えることは、コンサルタント冥利に尽きる思いです。

 ある会社での印象的な出来事を紹介しましょう。
 規模の大きな化学メーカー
で現場の5S活動を行った時の事例です。業界でもトップクラスの生産を誇る工場でしたが、それに満足することなく、さらなる競争力の強化を目指して、ものづくり力の基礎体力を徹底して強化するべく5S活動に取り組んだものでした。しかし、足もとの職場を見ると、紙袋に入った粉体や、ドラム缶に入った液体などを多用するために、特に設備の周辺は、垂れた液まみれ、舞い散った粉まみれのひどい状態でした。長年そのような職場であったので、工場で働く多くの人たちにとって、それは”普通の姿”でしたので、誰も問題とは思わない状態でしたが、コンサルタントが指摘を繰り返すことで「これではまずい」という意識が芽生え、活動が進むにつれて現場が徐々に綺麗な職場へと変わってゆきました。

 しかし1箇所だけ、改善に後ろ向きの職場があったのです。設備の至る所から、水や蒸気、そして処理中の液体が漏れている職場だったので、コンサルタントは「まず、この設備を綺麗にしませんか?」と提案したのです。しかし、その返答は「綺麗にしても、どうせすぐ汚れる」、あるいは「設備のあちらこちらが老朽化しているが、修理の予算も無く、このままでしかたがない」と言ったもので、なかなか動いてはくれませんでした。

 そうしているうちに他の職場は、どんどん活動が進み、見違えるように綺麗になり、同時に生産性や品質にも改善の兆しが見えてくるので、問題の職場だけが取り残されるような状態になってしまいました。ところが、周囲の変化に危機感を覚えたのでしょうか、ある時、操業が無いタイミングを活用して、その職場のメンバーが自主的に、とにかく設備をピカピカにしようと立ちあがったのです。そのあと少ししてからコンサルタントが訪問をした時、その職場のリーダーがやってきて、「設備とその周辺を綺麗にしてみました、すると、どこから液が漏れているかはっきり分かりました」、そして「一番漏れが激しい箇所も分かったので、今期、その箇所だけは修理をしてもらえるようになりました」と喜んで報告をしてくれたのです。

 コンサルタントが、設備を綺麗にしたらと提案した理由は、ただ綺麗にするのではなく、綺麗にする事で、汚れや漏れなどの異常個所が分かりやすくなり、それによって設備保全にむけた行動を促したいと考えたのです。汚れまみれの設備では異常が見えにくいために改善活動の手が動かないのです。この職場では、コンサルタントが狙っていたことを、彼らが自ら行動したことで気付いて頂いたのでした。その後、その職場の設備が再び汚くなることはありませんでした。

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 丸川 隆文

 前回は機械学習における学習プロセスとして、教師あり学習、教師なし学習、強化学習という3つの考え方について触れ、その中で「教師あり学習」をご紹介しました。今回は「教師なし学習」についてご紹介していきます。

「教師あり学習」が、正解がある情報をベースとしてモデルを作成するのに対して、「教師なし学習」については、正解とみなす要素がないデータ群から、何らかの特徴や関係性を見出しモデル化する方法となります。最近では、すっかり見聞きすることが少なくなった「データマイニング」手法が活用される領域となります。オーソドックスな統計手法でいうと、「クラスタリング」や「主成分分析」といったものが適用されます。ここで、居酒屋でのメニューの売上分析を行なっている場合を想定してみましょう。定番メニューである枝豆、冷奴、メインどころの各種魚料理、肉料理類、ご飯もの、デザート、もちろん各種酒類といった感じでしょうか。お客さんの会計毎に、注文されたメニューを分析すると、日本酒と烏賊塩辛が同時に良く注文される、酒量と関係なく枝豆は良く出るといった特徴や関係性が見出されます。こういった手探り状態から、何らかの特徴、関係性を見出していくことが「教師なし学習」です。ここで得られた関係性をもとに、更にその関係性に何が影響しているのかといったことを「教師あり学習」で因子分析を行なっていき、効果的な販促等に用いていきます。この分野での有名な話として、ホームセンターにて缶ビールとおむつの売行きに相関があり、その要因を調査分析したところ、奥さんからおむつの買い物を頼まれた若いパパが、ついでに缶ビールを買っているということが売上データから判り、その結果をもとにおむつ売り場の近くに缶ビールを置くようにして、缶ビールの「ついで買い」で売上を伸ばしたという事例があります。おむつと缶ビール売上の間に相関があるからといって、缶ビール売り場の近くにおむつを置いても、おむつの「ついで買い」を誘発することは期待出来ず、相関分析に留まらず、その先の因子分析等が重要となってくることが判ります。

さて、今の世の中、クレジットカードでの支払や各種ポイントカードの利用が当り前となっています。上記では居酒屋でのメニュー別売上げ分析という形で話を進めましたが、ここに個人情報もリンクさせることが技術的には可能となってきています。酒 類や食品に関する趣向や摂取量といった情報を連係させることにより、その人が注文しそうなメニューや、はたまた病気リスク等も勝手に診断されるような世の中になっているんでしょうね。更に言えば、いたるところ監視カメラが設置され、画像認識技術も向上しているので、カードを出す前から個人が特定され、注文する前から料理の仕込が開始されるなどということもあり得る世の中だと思います。これから年末に向けて飲み会も増えることかと思いますが、飲み過ぎて羽目を外し、居酒屋グループのブラックリストに載ることだけは避けたいですね。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部事業部長 森岡 琢


前回(第3回)では「タマの事業化戦略」(パート1:戦略検討与件の明確化)について解説しました。

戦略検討与件の明確化とは、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈を行うこと。
具体的には、
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析
といった活動を行うことになります。
戦略検討与件を明確化した上で、戦略を構想するわけですが、難しく考える必要はありません。
押さえるべきポイントは3つしかありません。
・誰に(Who)
・何を(What)
・どうやって(How)
提供するのかを考えることです。

「誰に」とはつまり顧客の定義です。具体的な顧客名をすぐに挙げがちですが、そうではなく「どんな課題を持った企業(or個人)なのか?」という問いかけをもとに顧客を定義します。一般的に顧客とは自社にお金を払ってくれる企業(or個人)と定義できますが、顧客の顧客、さらにそのまた顧客とは?まで定義づけておくと、ビジネスの全体像が見えやすくなるでしょう。

「何を」とはタマを活用した製品なりサービスなりソリューションを指します。タマそのものが商材になる場合もありますが、上記でも触れたように顧客の課題を解決できるような「状態」に姿を変えて提供する必要があります。前回解説した受容性調査の結果もふまえて、「タマ」を「商材」に変える行為と言えます。

「どうやって」とは単にデリバリの方法を指すのではありません。川上から川下までどういうバリューチェーンを構築して商材を顧客に届けるかというビジネスデザインを行います。バリューチェーンの日本語訳は価値連鎖と言う通り、川上から川下に進むごとに(付加)価値が積み重なることになります。競合優位に立つにはその価値が競合より「相対的」に大きくなる必要があります。ゆえに戦略与件の明確フェーズで競合企業の実態調査が必要となるのです。
いま、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを考えることについて説明しましたが、戦略構想のうえでは、実はもう1点大切なことを考えなくてはなりません。それは「どうやって儲けるのか?」ということです。顧客は(付加)価値の大小だけで選ぶわけではありません。最終的には価値と価格のバランスをみて選ぶことになります。誰に支払い、誰から支払ってもらうのか、バリューチェーンの設計とあわせて収入・支出モデルも描くことにより、戦略と呼ばれるものが仕上がっていくことになります。

最後に「新規事業のバリューチェーン構築」について解説します。前述した「どうやって」を検討する際、自前ですべて揃えることは困難なことが多いのが一般的です。新規事業であればなおさらのことです。「新規事業のバリューチェーン構築」には、将来的なM&Aも含めたアライアンス・提携といった柔軟な発想が必要です。
どの領域でアライアンスや提携が必要なのかを検討する際のステップを簡単に記します。
1. バリューチェーン毎に具備すべき要件を抽出する(当然複数の要件が存在する)
2. 各要件毎に自社の具備度合いを評価する
3. 具備していない要件を自前で獲得する場合の難易度を評価する
4. 具備していない要件のインパクトを評価する(その用件が差別的かどうか)

このプロセスを経て、「要件の具備難易度が高い」かつ「要件を具備した場合の差別性が高い」領域にて優先的にアライアンスや提携を検討するとよいでしょう。
今回は以上になります。
次回(第5回)はいよいよ実践フェーズである「市場創造・顧客開拓」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

前回は、ゲストとしてお招きした食品会社の活動事例を掲載しました。
今回は、某事業所の取り組みをご紹介いたします。

 
<その2>某事業所の取り組み

某事業所所長時代

東日本大震災(2011.3.11)でこの事業所は終わりかなと思った。(この時は前任の所長)

数百億円、1年かけて工場を建て直した。社員も仕事を失わず、一瞬モチベーションもあがった。

直ったのは表面的だけで、潜在的に残っている問題がある。だんだん疲弊してきた。

2013年から自分が所長になった。震災を経験していない者が言っても、ダメ。

1年間、何も言わずに、話を聞いた。

「時間がない」「人がいない」「疲れてる」・・・何か変えてあげたい。

外部活用をいろいろ検討したが、今回はJEMCOに働き方改革を頼んだ。

きっかけは、現場の人たちを少しでも楽にしてあげたいという事から始めた。

①労働時間を減らそう。どうすればいいか?考える時間がない。

そこで、会議を減らした。

・目標で30%減らす

・会議の参加者を減らす

・会議の構成を変える

事務所方は時間が減ったなと実感した。

 

②アンケートをとる

会社が

・良い1割

・悪い1割~2割

・分からない7~8割

「分からない」は、言いたい事はあるが言えない。隠している。

会社に言えないのであれば、第三者(ジェムコの大西さん)に聞いてもらう。(コーチング)
聞いてもらうと人は楽になる、会社での会話も増えてきた。
自分たちの“夢”を共有化してもらいたい。

<コンセプト>

・仕事を減らすのは美徳

・なんでも言える風土

 

課長の下のキーマンを探して、職場の不満を色々ジェムコの大西さんに聞いてもらう。

大西さんから提出されたレポートを見ると、匿名だが誰だか想像がつく。

課長もそれを聞いて、どうしたらコンセプトに繋がるか、課長とキーマンで仕事を変えていく。

期限とか効果、目標を自分たちで決めてもらう。

・自主性を持たせる

・やらされ感を持たせない

・責任は問わない(責任はすべてトップが負う)と明言する

・揉め事を課長が中に入って解決する

・仕事をゼロから見直した

・お金(予算)をつける(好きに使ってよい。使った結果だけ、報告する。)→やる気を促進

【活動の全体イメージ】

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<方針が通るということが経験できた>具体的には?

・自分が現場に飛び込んでいく

・3ヶ月に1回/年4回 班ごとに(10名程度)話をする→2年間行った

・自分から現場(職場)に足を運ぶことで、コミュニケーションをとれた 

現場は安全第一。上からたたかれる。職場の中の先輩には口がきけない。怖い。

・若手に主体性を持たせる

・中堅クラスが仕切ると若手が何も話せない

・ミーティングでも若手を主体におこなう 

工場の基準はだんだん厳しくなるが、自己サイドで改善してもよいという部分に着手すると隠れている改善のポイントがでてくる。


次回は、
自動車ディーラーでの営業マンの成績向上事例をご紹介します。

文責:ジェムコ日本経営 営業部

今回は報告会からのエピソードというよりも、我々営業部隊が日々感じていることについて少しお話してみたいと思います。 

少し前の話題になりますが、2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子さんが金メダルを取りました(もう17年も前のことなんですね・・・時が経つのは早い)。ずいぶんと興奮した記憶があります。おそらく、高橋選手に憧れて多くのアスリートが奮起した事でしょう。陸上に携わる者であれば、オリンピックの舞台は究極の目標のはずです。 

しかしながら、誰もが高橋選手のようになれるかというと、そうはいきませんよね。高橋選手は、練習量の多さが有名ですが、おそらく、基本的な大部分の練習メニューは、他のアスリート達が行っているものと大差があるものではないはずです。でも、なかなか高橋選手のようにはなれませんよね。恐らく、高橋選手の強みは基本的なこと(ある意味あたりまえのこと)を確実に且つ、執拗に「やりきる力」がある事にあるのであろうと思います。 

我々営業部隊がジェムコ日本経営を理解頂くことに苦労するところは、正にこの執拗に「やりきる力」を伝える所にあるのだろうと思います。 

モノづくりの世界で言えば、例えばトヨタの生産の仕組みについては、今では深く研究もされ、実際に取り入れている企業は多いはずです。ですが、すぐにトヨタと同じ様なパフォーマンスはなかなか出ないことも多いようです。 

すり合わせ理論で有名な東大の藤本隆宏教授の著書「日本のもの造り哲学」の中に、「トヨタの生産現場の仕組みの大半は、テーラー主義や古典的な官僚制論、あるいは経営プロセス論といった百年近く前の経営学で説明できてしまうようにさえ思います。(中略)シンプルな経営原則を全員で首尾一貫して行っている。そこにこそトヨタの強さの本質があるがある。」との一節があるますが、つまり強い会社は、基本ができているという事なのだと思います。 

もちろん技術や手法、最新のツール(IT等)は重要ですし、効率化に大いに貢献しますが、ことの本質は「やりきる力」「基本」にあるのだろうと思います。

例えば、コストを作りこんでいく事に、目のさめるような技法や、魔法の杖があるはずも無く、ある意味当たり前のことを確実にやりきることこそが重要なのかもしれません。
つまり我々のご支援は、ある意味当たり前にやるべきことを、時間や色々な制約がある中で「どのようにマネジメントして確実にやりきって頂くか」ということとも言えます。(それ故に、マネジメントコンサルタントといいます)もちろんコンサルタント会社ですから最新の技術や手法もご提供できることは、大前提です。 

「知っていること」「やっていること」と「出来ていること」の間には深く、且つ大きな川が流れています。どうやったらこの川を渡って頂くご支援ができるのか・・・。

これが非常に厄介なところで、この点の訴求が中々難しい所です。 

日々このような事を考えつつ、色々な方々とお会いしながら悪戦苦闘している毎日ですが、色々なお考えをお伺い出来るので、とても楽しく、刺激のある仕事であります。

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