文責:ジェムコ日本経営 常務執行役員 奥村英夫

2.生産資源の柔構造化を活用した方法論
前回は、「生産資源の“柔構造化”」を活用した4つの方法論のうちの1つ、「 生産資源のロス削減」を解説した。
これは、生産のフレに対しては平準化を行い、需要の山に対し生産を前倒しすることで「 生産資源のロス削減」を実現するというものである。生産の前倒しには在庫リスクが伴うので、その低減策と共に平準化を行なうということだ。
今回は、4つの方法論のうちの2つ目を解説する。
<方法論―2>生産資源の価値向上
生産資源の“柔構造化”の2つ目は、生産資源の価値向上を図るということだ。生産資源はそのものが存在するだけで価値が生まれるわけではない。部材を加工して製品を作り出す現業の人作業や機械作業、管理間接業務と言ったように「作業、行為」を介在させることで価値を生み出す。
①生産資源の価値
生産資源の価値は作業の機能と作業のコストに分解される。
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生産資源の価値向上の概念式

先ず、上記の式の分子から説明しよう。作業の機能とは作業の結果の企業目的への貢献度である。たとえばある企業の目的として「生産性向上20%により顧客への提供価格を引下げ競争に勝つ」と言う方針があったとする。それに対しある作業の結果が10%の生産性向上となったとするとその作業は企業目的への貢献度は50%、即ち機能の程度は50%とみなすことができる。このように作業の結果が企業目的に沿ったものかどうかが作業の機能を決める。作業の機能が十分果たせていても分母である作業のコスト、即ち生産資源の維持コストが高ければ、作業の価値は相対的に低くなり、逆に作業のコストが低ければ価値は相対的に高くなる。
生産資源の価値は作業の価値の合計に等しいので、作業の生み出す結果の価値が低ければ生産資源のロスがなくとも、企業目的の貢献に結びついていないことになる。それは生産資源を何に活用するかと言う「活用面の問題」があるからである。
②企業目的を果たす中核はコア業務
生産資源の活用のあり方は企業の目的をどう捉えるかで決まる。企業の目的に沿った作業の中で、その企業の競争優位性を向上させ、収益力リスクを回避させる作業を「コア業務」と呼ぶ。コア業務は次のように4つに分類される。
コア業務である以上、「A 利益を生む」「B キャッシュフローを生む」は当然であるが、今後は「C ロスを回避する」「D コンプライアンス・方針対応」を特に意識する必要がある。将来も含め損害を被る可能性があるにもかかわらず、短期ではコストアップすると言うだけで対応しない企業が多く見受けられる。昨今の製造業が引き起こした災害の例を見てもこれらの対応を怠ることは将来に渡り「収益リスク」を背負うことを物語っている。
③生産資源の価値向上のポイント
生産資源の価値向上のためには作業をコア業務へ集中させる必要がある。コア業務を増やし作業コスト(生産資源の維持コスト)を変えずに企業目的により貢献することで、より高い価値を生み出し、将来の収益リスクを早めに摘み取り「収益の成長力の獲得」へ繋げられるということだ。
企業目的を果たすコア業務を意識し、そこに、いかに集中させるかが、生産資源の価値向上のポイントと言える。
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●コア業務とは *クリックで拡大

以上
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