文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

本日開催の趣旨

本日は、お忙しいところありがとうございます。世の中では「働き方改革」と称して残業規制や、女性活用などの制度作り、ルール作りに取り組まれていますが、本質的な部分が置き去りにされているようです。本日、ゲストとして某食品会社の社長と元某石油会社の製油所長にお越しいただき、本質的な部分をお聞きしながら、皆様でディスカションをしたいと思います。 

1.ゲスト2社の取り組みについて

<その1>某食品会社・M氏の取り組み 

2年前に社長就任した時

・女性社員や派遣社員がトイレを使用できないなど、いろんな事があり、理由が突き止められないような中身だった。

社員の中には、

「この人が嫌い」「絶対にしゃべらない」「一生許さない」

という人がたくさんいた。

いろいろな事が隠れている会社だと感じた。

原因として、

・親会社からの出向社員

・プロパーで入ってくる人(平均3~4社経験している)・派遣・パート

といろんな人がいる中で、自分がよければいいという考えが中心となり、人との関わりが薄いく、陰口・噂話が多くなった。

どうやったら一人ひとりが幸せに働けるか?

会社の売上を上げるには、自分たちの商品で幸せをお客様に与える事。その為には、働く人が幸せである事が前提になる。

一人では解決できない、色々な事がでてくることから、広野ゆい氏(ご本人も発達障害で、同じ障害を持っている人達の支援をしているコンサルタント)に相談した。

会社の中に、

コミュニケーション障害と言われる、得意先で挨拶ができない、名刺交換ができない、人と同じ事ができない人たちがいた。これは、能力が低いわけではなく、障害である。

・普通の人と病気の人は白と黒ではない。完全な人はいない。ほとんどが灰色であって、度合いが違うだけ。 

まずは、役員、部長、全社員、全パートを集めて研修をしてもらった。

楽しそうに話しているのをみて、自分の中の思いこみが強かったと感じた。(この人とこの人は仲がよくないのでは?等)

研修終了後、一人ひとりの価値観を大切にしたいと思い、これまでの2年間は、お昼を役員だけで食べていたが、この事は、“縦の関係はフラットだ”と言いつつも、役員だけで食事をしているのは、下からみたら間逆の事。

派遣社員が辞める理由に、

・いじめられる

・陰口言われる

・トイレも使えない

・お昼に45分も休めない、休む場所もない

と言われていた時に、その人の45分を大切にしたいと思い、自分が一緒に食べたら時間を邪魔し、緊張させてしまうかもという考えだったが、

現在は、事前に確認をしたうえで、違う人達と一緒に昼食を食べるようにした(理想の理想「今日いやです」と言える会社)結果、「皆も呼んで食べましょう!」と言ってくれるようになった。「お昼一緒に食べていいの?」 と言うと、「そんな事思っているのは社長だけですよ。」と言われ、

あらゆる事に対して自分が目指している姿と、自分のやっている事は一致しているのか見つめ直した。 

各部署で5~6人のグループに分かれて、皆で会社を良くするには?とディスカッションをした。

全員が明日から自分が毎日すること(目標)・行動することを決めた。

(自分がお昼を皆と食べるのも、この活動のひとつ)

1か月に1回:できたか・できなかったか確認しあう 

一人ずつの目標を出してもらっているで、

明日からの行動で一人ひとり何をしましょうといった時には、もの凄く意識を持つ。 

自分も言っているので、破るわけにはいかないし、辛そうにやっている姿を見ているので、

皆もやらないわけにはいかないし、習慣化した時に気持ち良くなってきている。

Q:変化は見られるか?

徐々にだが、最初は否定した人達もだんだん変ってきている 

一部の部署では、

毎朝“ハイテンションで、全員でハイタッチ”を行っているが、習慣になっていて、ものすごく明るい。でも、逆に、他の部署との距離はあいていく・・・。

原因は、自分がその部署と一緒にハイタッチをしていなかったから、そのように周りから見られる。 

と思い、今は一緒にハイタッチを行っている。

男性は男性、女性は女性でお昼を食べるのが習慣になっている。

その中、皆で仲良くしようと、ある男性と女性が一緒にお昼を食べていたら、ネットに書き込みをされ、結局、男性は男性、女性は女性でお昼を食べる元の形に戻った。

そこで、後日、2人と一緒に食べたが、会社の雰囲気は自分がどう動くかで変える事ができる。と感じた。 

問題がある人とは何十時間も関わって話をするが、この事は、社長は問題がある人たちとは話すが私たち(普通の人)とは話さない。

時間に対しても平等にしなければならない。

目指す会社とは程遠いし、何がどう変わっているか分からないが、

行動ではなく“気持ちでどう動くかが大切”

高度経済成長時代の

・給料が上がる・いい家が買える・いい車が買える、ことだけを求めていた時代とは違い

一人ひとりの価値観、何を求めているのか何を本当に幸せと思っているのか、

時代に一番あっているのは、若い人たちほど、時代にあっているし、一番進化を遂げているのは若い人。

これからの時代、どうしていくかをみんなで考えながらやっていこうという取り組みをしています。 

【モデレーター】

よく言われることだが、7歳違うと価値観は合わないと思ったほうがよく、世代間のGAPがある。

私の年代(60歳前後)が境目で、高度成長時代に理不尽な事を言われても、泣きながら仕事をやってきた“プロジェクトX”の世代。“根性”と“度胸”、で行ってきたマネジメントは、通用しない。 

我々の世代がまだおさまっているので、マネジメントをなかなか変えられない。良き時代でのマネジメントを身に付けた人達がまだまだいる。我々の時代は、合理化、コストダウン、IT化での効率化を徹底してきたので、コミュニケーションが減った。内部統制とかISOとかで、失敗させない仕組みを作ってきたので、チャレンジしない風土を作ってきてしまった。

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毎日のように企業様から相談をもらう。特に、大手企業の方が悩みが深いようだ。

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次回は、某石油会社の取り組みをご紹介いたします。