【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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カテゴリ: 4.成長戦略

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部事業部長 森岡 琢


前回(第3回)では「タマの事業化戦略」(パート1:戦略検討与件の明確化)について解説しました。

戦略検討与件の明確化とは、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈を行うこと。
具体的には、
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析
といった活動を行うことになります。
戦略検討与件を明確化した上で、戦略を構想するわけですが、難しく考える必要はありません。
押さえるべきポイントは3つしかありません。
・誰に(Who)
・何を(What)
・どうやって(How)
提供するのかを考えることです。

「誰に」とはつまり顧客の定義です。具体的な顧客名をすぐに挙げがちですが、そうではなく「どんな課題を持った企業(or個人)なのか?」という問いかけをもとに顧客を定義します。一般的に顧客とは自社にお金を払ってくれる企業(or個人)と定義できますが、顧客の顧客、さらにそのまた顧客とは?まで定義づけておくと、ビジネスの全体像が見えやすくなるでしょう。

「何を」とはタマを活用した製品なりサービスなりソリューションを指します。タマそのものが商材になる場合もありますが、上記でも触れたように顧客の課題を解決できるような「状態」に姿を変えて提供する必要があります。前回解説した受容性調査の結果もふまえて、「タマ」を「商材」に変える行為と言えます。

「どうやって」とは単にデリバリの方法を指すのではありません。川上から川下までどういうバリューチェーンを構築して商材を顧客に届けるかというビジネスデザインを行います。バリューチェーンの日本語訳は価値連鎖と言う通り、川上から川下に進むごとに(付加)価値が積み重なることになります。競合優位に立つにはその価値が競合より「相対的」に大きくなる必要があります。ゆえに戦略与件の明確フェーズで競合企業の実態調査が必要となるのです。
いま、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを考えることについて説明しましたが、戦略構想のうえでは、実はもう1点大切なことを考えなくてはなりません。それは「どうやって儲けるのか?」ということです。顧客は(付加)価値の大小だけで選ぶわけではありません。最終的には価値と価格のバランスをみて選ぶことになります。誰に支払い、誰から支払ってもらうのか、バリューチェーンの設計とあわせて収入・支出モデルも描くことにより、戦略と呼ばれるものが仕上がっていくことになります。

最後に「新規事業のバリューチェーン構築」について解説します。前述した「どうやって」を検討する際、自前ですべて揃えることは困難なことが多いのが一般的です。新規事業であればなおさらのことです。「新規事業のバリューチェーン構築」には、将来的なM&Aも含めたアライアンス・提携といった柔軟な発想が必要です。
どの領域でアライアンスや提携が必要なのかを検討する際のステップを簡単に記します。
1. バリューチェーン毎に具備すべき要件を抽出する(当然複数の要件が存在する)
2. 各要件毎に自社の具備度合いを評価する
3. 具備していない要件を自前で獲得する場合の難易度を評価する
4. 具備していない要件のインパクトを評価する(その用件が差別的かどうか)

このプロセスを経て、「要件の具備難易度が高い」かつ「要件を具備した場合の差別性が高い」領域にて優先的にアライアンスや提携を検討するとよいでしょう。
今回は以上になります。
次回(第5回)はいよいよ実践フェーズである「市場創造・顧客開拓」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第2回)では「新規事業のフォーカス領域」を選定(第1回)した後の、「新規事業のタマ(テーマ)出し」について解説しました。


テーマ領域


第3回と第4回の一部で、選び出した「タマの事業化戦略策定」について解説します。
事業化戦略策定は次の2つのフェーズから構成されており、今回は①の要点を説明します。

①戦略構想の与件明確化フェーズ
②戦略構想フェーズ

戦略構想の与件明確化とはつまり、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈に
あたります。

ジェムコでは具体的に次の3つの活動を通して、戦略構想のための与件を明確化しています。
(1)競合企業の実態調査
(2)受容性調査(フィールドワーク)
(3)参入障壁分析

(1)競合企業の実態調査
新規事業領域で既に活動しているプレイヤーの事業実態を調査します。定量情報・定性情報を収集し、競合企業の事業実態から、事業特性や成功要因を探ります。

競合企業は、リーダー企業(フロントランナー)、チャレンジャー企業(対抗馬)、ニッチャー企業(独自ポジションを築いている企業)からバランスよく選ぶとよいでしょう。またあまり多くの企業を選び過ぎると調査が目的化してしまいがちなので、3~4社で充分です。

(2)タマの受容性調査(フィールドワーク)
これまでの過程で選び出したタマは、いわば机上で論じたものです。市場で本当に受容されるかどうかはまだ分かりません。その一次試験として、顧客候補やチャネル候補、学会の権威・有識者にタマをぶつけてみて客観的な反応やフィードバックを得ることで仮説を磨きます。(場面設定はジェムコでも支援しています)

この活動は困難も伴います。地道であるだけではなく、否定もされるからです。「特に必要ではない」「やめたほうがいい」という意見も当然出てきます。いきなり全肯定されるほど、新規事業は甘くありませんし、美味しいものもありません。ですがこの活動を行い、仮説再検証・再設定を繰り返すことで、タマが磨かれていきます。

(3)参入障壁分析
(1)(2)の結果もふまえて、新規事業領域への参入障壁を抽出し、個別の障壁の影響度を分析しながら、対応策・克服策を検討します。

これらの活動を通して、事業特性、顧客特性、製品(サービス)特性をしっかりと見極めて、重要成功要因を導き、それらの獲得方法を検討します。この獲得方法こそが戦略と呼ばれるものとなります。

今回は以上になります。
次回(第4回)は「タマの事業化戦略」(パート2:戦略構想編)と「新規事業のバリューチェーン構築についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回(第1回)では新規事業構想の最初のステップである「新規事業のフォーカス領域選定」について解説しました。

 テーマ領域

第2回では、選定したフォーカス領域での「新規事業のタマ(テーマ)出し」について、基本的な考え方を解説します。

新規事業のタマ(テーマ)出しのステップをシンプルに表すと以下のようになります。
①ニーズ分析
②シーズ棚卸・評価
③ニーズ×シーズ分析
④事業性評価

ひとつずつ要点を解説します。

ニーズ分析とは、フォーカス領域における市場ニーズ分析を意味します。分析手法としては、代表的なマクロ環境分析であるPEST分析を用いることが一般的です。ここでのポイントは、川上に位置する企業でも、PEST分析の対象は、川下、つまり最終製品まで視野に入れることです。
このステップで、今後、市場において想定される変化から、世の中で起こり得る問題やニーズを探索します。
次に、自社の技術シーズを棚卸し、競争力を評価します。技術シーズは要素技術まで分解し、研究開発領域だけではなく、製造・加工、品質管理まで範囲を広げるとよいでしょう。
評価にあたっては、さしあたっては自己評価でも構いませんが、外部リソースを活用しての客観評価・定量評価も行ってみるとよいでしょう。この時、技術シーズは、「コア技術」「コア技術ではないが保有している技術」等、メリハリをつけて分類してみてください。
ニーズ分析とシーズ評価が終わったら、ニーズ項目とシーズ項目でマトリクスを作り、機会領域(新規事業のタマ候補)を探索します。ニーズに対し、対応できる技術があるのか?コア技術で対応できるか?技術を保有していなければ技術開発の難易度はどうか?といった具合に複数のメンバーで意見を出し合いながら進めていくとよいでしょう。

こうして出てきた新規事業のタマ候補に対し、本当に取り組む価値があるか?取り組むことができるのか?という評価を行わなければなりません。いわゆる事業性評価です。事業性評価の手法もBMO法(市場性と適社性による評価)など一般に良く知られている評価手法をアレンジしながら進めていきます。この評価を通じて、複数ある新規事業のタマ候補の優先順位をつけ、これから取り組んでいくべき新規事業のタマを決定します。
以上が、「新規事業のタマ(テーマ)出し」のステップと要点になります。ジェムコでは、一般的な手法のみならず独自の手法を用いて、数多くの新規事業のタマ出し支援と事業化のお手伝いをしてきた実績がありますので、新規事業をご検討の際はぜひお問い合わせください。
次回(第3回)は「タマの事業化戦略」についてのポイントを解説します。

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

前回の本連載予告編では新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、
成長(収益化)させていくという事業のライフサイクルを、以下の図を用いて俯瞰しました。

テーマ領域


第1回では最初のステップである
「新規事業のフォーカス領域選定」における基本的な考え方について解説します。

皆さんは新規事業のアイデアを構想する際、どのようなステップを踏むでしょうか?
我々が見てきた多くのケースでは、世の中の動向や将来のニーズを広く想像し、そこから
自社のリソースが活かせるようなことを自由に発想する、ということが多いようです。
一見すると間違っていなさそうなやり方ではありますが、検討領域をあまりに広く取ってしまう
ことで、思考が発散し過ぎ、まとまるものもまとまらないという状況に陥り易いケースをよく見ます。
 
こういったことを回避するために、最初のステップとしてジェムコでは
「新規事業を構想する検討領域をフォーカス」することをお勧めしています。
新規事業なのに検討領域を限定してしまうの?と疑問に思われるかもしれませんが、あえて
枠を設けることで、四方八方に思考を飛び散らかすことなく、自由な発想を促すことも可能です。

その際に注意したいのは、自社の既存領域に近接する関連領域からフォーカス領域を定めよ、
ということです。逆に言うと、自社が全く知らない(素人である)まっさらな新規領域にいきなり走って
はいけないということです。
 
新規事業とは元来リスクが高いもので、「一発当てる」ことを狙うのではなく、「成功確率を上げる」
マネジメントが必要です。そのためにはある程度目や鼻が利く領域でなければ舵取りが困難になります。(まっさらな新規領域でいきなり成功できる程、美味しいものは転がっていないということです)
図2

図3

上記の図は既存領域・関連領域・新規領域の関係をごくごく簡単に表したものですが、
まずは関連領域の中からフォーカス領域を選定しようということです。
例えば家具メーカーであれば、住設機器や建材を関連領域と捉えることが出来ます。
そしてそのフォーカス領域の中でアイデア発想することがジェムコ流新規事業構想の
第1ステップです。

次回(第2回)は新規事業のタマ出し(テーマ出し)についてのポイントを解説します。
 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢

◆ジェムコの成長戦略コンサルティング

 ジェムコでは主に製造業のお客様における

「モノづくり」・「コトづくり」・「ヒトづくり」のご支援に取り組んでいます。

成長戦略コンサルティング事業部では、この中の「コトづくり」領域に着目したご支援活動を手掛けており、国内だけではなく、海外(主にアジア)も含めた事例・実績を積み重ねてきています。

本連載(全7回)では、ジェムコのご支援テーマをご紹介しつつ、お客様が成長戦略を描いていく上でのポイントについて解説していきます。今回は予告編として、

ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方を、ご支援テーマの全体像を示しながらご紹介します。 

◆ジェムコの成長戦略コンサルティングの基本的な考え方

 下図は成長戦略コンサルティング事業部が手掛けているご支援テーマの全体像です。

 
       テーマ領域
 
 

 ジェムコの成長戦略コンサルティングは「新規事業(新商品、新技術)」が基点になっており、新規事業を構想し、立ち上げ、軌道に乗せ、成長(収益化)させていく、という事業のライフサイクルに沿ったお手伝いができるようになっています。

新規事業が大きくなれば、いつしか既存事業となり、既存事業として収益の最大化を目指していくことになるわけですが、この段階になると「コトづくり」だけではなく、「モノづくり」・「ヒトづくり」も含めたトータルでの改革・改善活動へと移行していきます。 

 コンサルティングにおいて我々が大切にしている基本的な考え方は、活動を通じてお客様にどのような成果を残したいか、ということであり、それは次の3つです。
 

     ① 文字通りの成果(定量成果・定性成果)

    ② 事業を構想し、立ち上げていくための仕組み

    ③ ②を実践していく(実践していける)ヒト
 

これらの成果がどのようにして生まれていくか、“現場の空気感”をできるだけこのコラムでお伝えしていきます。

 

◆本コラムの構成

 本コラムでは、先ほど示した全体像の各プロセスの要点や難しいことについて事例を交えながら解説していきます。

 ・第1回:新規事業のフォーカス領域選定

 ・第2回:新規事業のタマ(テーマ)出し

 ・第3回:タマの事業化戦略策定

 ・第4回:新規事業のバリューチェーン構築

 ・第5回:市場創造・顧客開拓

 ・第6回:事業中期計画の策定

 ・第7回(最終回):さらなる事業拡大に向けて
 

新規事業ご担当の方、経営企画ご担当の方にとって特にお役立て頂けるような情報を盛り込んでいきますので、これからよろしくお願いいたします。

 









 

第一回 次世代モビリティ時代に生き残りをかける部品メーカーの成長戦略 
文責:ジェムコ日本経営 事業開発支援センター 次世代モビリティ産業チーム

このコラムでは、「競争ルールの変化にともなうチャンスを獲得するために、部品メーカーが何に取り組むべきか」、我々の考えを紹介したいと思う。

 ◆過去の延長線上に未来はない

2008年のリーマンショックから回復してきた矢先に、2011年の東北とタイの2度の自然災害により自動車産業の全世界を横断するサプライチェーンの繋がりの深さと脆弱さを改めて認識させられた。また、欧州の信用収縮の連鎖、米国の債権に過度に依存した財政の破綻懸念の結果、購買力の低下、円高が全世界同時に押し寄せた。さらに、TPPに対する日本の政策が予断を許さぬ中、企業1社の努力範囲をはるかに超えたリスク要因や不確実性が企業経営に大きな影響を与えることをこれほど痛切に感じた年はなかったかも知れない。我々は、サプライチェーンの再構築と生産拠点の新興国シフトだけでは乗り切れない大きな潮流にあることも確かに感じ始めている。小説『坂の上の雲」の様に、前のみを見ていたかつての日本人の行動様式は、今や新興国に引き継がれ、日米のメーカーは正に凋落まじかなバルチック艦隊と受け止められているようである。そんな彼らと現地生産でコストや品質で闘おうとしているのである。「これまでの延長線上にビジネスはない」かもしれないとの認識で、新たな取組みが求めれている。このような市場環境の中、われわれは、自動車産業のみならず、異業種としての電子・機械・素材・ITメーカーのコンサルティング活動を通して、異業種連携によるクルマの新しい価値創出こそが我々の取り得る戦略として考えるに至った。 
◆技術の変化→顧客の変化→土俵の変化

モノづくり日本では、技術の変化のみ着目されているが、米国では競争の軸を転換して土俵を換えようと企み、欧州ではアーキテクチャをおさえて競争を優位に展開しようとする傾向がある。日本はオセロゲームで勝つための布石であるコーナーを抑えることに集中するより、一つずつのピースをひっくり返すことに終始していることが多い。競争の原動力が看板生産方式に代表される「生産技術」から、電池や素材、燃費向上の触媒やモーターといった「技術開発」さらには、顧客価値指向の「マーケティング」にシフトしつつある。新興国で勃興するメーカーに対抗するためには、コストや品質も重要だが、加えてクルマ自体の価値をあげる(即ち売れるクルマ)ためには、顧客への新たな提供価値を創出するしかないとの結論を得る。130909_メルマガ_04_成長戦略_v2


 

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