【JEMCO通信】 ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部/広報室 編集

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カテゴリ: 6.働き方改革

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

前回は、ゲストとしてお招きした食品会社の活動事例を掲載しました。
今回は、某事業所の取り組みをご紹介いたします。

 
<その2>某事業所の取り組み

某事業所所長時代

東日本大震災(2011.3.11)でこの事業所は終わりかなと思った。(この時は前任の所長)

数百億円、1年かけて工場を建て直した。社員も仕事を失わず、一瞬モチベーションもあがった。

直ったのは表面的だけで、潜在的に残っている問題がある。だんだん疲弊してきた。

2013年から自分が所長になった。震災を経験していない者が言っても、ダメ。

1年間、何も言わずに、話を聞いた。

「時間がない」「人がいない」「疲れてる」・・・何か変えてあげたい。

外部活用をいろいろ検討したが、今回はJEMCOに働き方改革を頼んだ。

きっかけは、現場の人たちを少しでも楽にしてあげたいという事から始めた。

①労働時間を減らそう。どうすればいいか?考える時間がない。

そこで、会議を減らした。

・目標で30%減らす

・会議の参加者を減らす

・会議の構成を変える

事務所方は時間が減ったなと実感した。

 

②アンケートをとる

会社が

・良い1割

・悪い1割~2割

・分からない7~8割

「分からない」は、言いたい事はあるが言えない。隠している。

会社に言えないのであれば、第三者(ジェムコの大西さん)に聞いてもらう。(コーチング)
聞いてもらうと人は楽になる、会社での会話も増えてきた。
自分たちの“夢”を共有化してもらいたい。

<コンセプト>

・仕事を減らすのは美徳

・なんでも言える風土

 

課長の下のキーマンを探して、職場の不満を色々ジェムコの大西さんに聞いてもらう。

大西さんから提出されたレポートを見ると、匿名だが誰だか想像がつく。

課長もそれを聞いて、どうしたらコンセプトに繋がるか、課長とキーマンで仕事を変えていく。

期限とか効果、目標を自分たちで決めてもらう。

・自主性を持たせる

・やらされ感を持たせない

・責任は問わない(責任はすべてトップが負う)と明言する

・揉め事を課長が中に入って解決する

・仕事をゼロから見直した

・お金(予算)をつける(好きに使ってよい。使った結果だけ、報告する。)→やる気を促進

【活動の全体イメージ】

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<方針が通るということが経験できた>具体的には?

・自分が現場に飛び込んでいく

・3ヶ月に1回/年4回 班ごとに(10名程度)話をする→2年間行った

・自分から現場(職場)に足を運ぶことで、コミュニケーションをとれた 

現場は安全第一。上からたたかれる。職場の中の先輩には口がきけない。怖い。

・若手に主体性を持たせる

・中堅クラスが仕切ると若手が何も話せない

・ミーティングでも若手を主体におこなう 

工場の基準はだんだん厳しくなるが、自己サイドで改善してもよいという部分に着手すると隠れている改善のポイントがでてくる。


次回は、
自動車ディーラーでの営業マンの成績向上事例をご紹介します。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

本日開催の趣旨

本日は、お忙しいところありがとうございます。世の中では「働き方改革」と称して残業規制や、女性活用などの制度作り、ルール作りに取り組まれていますが、本質的な部分が置き去りにされているようです。本日、ゲストとして某食品会社の社長と元某石油会社の製油所長にお越しいただき、本質的な部分をお聞きしながら、皆様でディスカションをしたいと思います。 

1.ゲスト2社の取り組みについて

<その1>某食品会社・M氏の取り組み 

2年前に社長就任した時

・女性社員や派遣社員がトイレを使用できないなど、いろんな事があり、理由が突き止められないような中身だった。

社員の中には、

「この人が嫌い」「絶対にしゃべらない」「一生許さない」

という人がたくさんいた。

いろいろな事が隠れている会社だと感じた。

原因として、

・親会社からの出向社員

・プロパーで入ってくる人(平均3~4社経験している)・派遣・パート

といろんな人がいる中で、自分がよければいいという考えが中心となり、人との関わりが薄いく、陰口・噂話が多くなった。

どうやったら一人ひとりが幸せに働けるか?

会社の売上を上げるには、自分たちの商品で幸せをお客様に与える事。その為には、働く人が幸せである事が前提になる。

一人では解決できない、色々な事がでてくることから、広野ゆい氏(ご本人も発達障害で、同じ障害を持っている人達の支援をしているコンサルタント)に相談した。

会社の中に、

コミュニケーション障害と言われる、得意先で挨拶ができない、名刺交換ができない、人と同じ事ができない人たちがいた。これは、能力が低いわけではなく、障害である。

・普通の人と病気の人は白と黒ではない。完全な人はいない。ほとんどが灰色であって、度合いが違うだけ。 

まずは、役員、部長、全社員、全パートを集めて研修をしてもらった。

楽しそうに話しているのをみて、自分の中の思いこみが強かったと感じた。(この人とこの人は仲がよくないのでは?等)

研修終了後、一人ひとりの価値観を大切にしたいと思い、これまでの2年間は、お昼を役員だけで食べていたが、この事は、“縦の関係はフラットだ”と言いつつも、役員だけで食事をしているのは、下からみたら間逆の事。

派遣社員が辞める理由に、

・いじめられる

・陰口言われる

・トイレも使えない

・お昼に45分も休めない、休む場所もない

と言われていた時に、その人の45分を大切にしたいと思い、自分が一緒に食べたら時間を邪魔し、緊張させてしまうかもという考えだったが、

現在は、事前に確認をしたうえで、違う人達と一緒に昼食を食べるようにした(理想の理想「今日いやです」と言える会社)結果、「皆も呼んで食べましょう!」と言ってくれるようになった。「お昼一緒に食べていいの?」 と言うと、「そんな事思っているのは社長だけですよ。」と言われ、

あらゆる事に対して自分が目指している姿と、自分のやっている事は一致しているのか見つめ直した。 

各部署で5~6人のグループに分かれて、皆で会社を良くするには?とディスカッションをした。

全員が明日から自分が毎日すること(目標)・行動することを決めた。

(自分がお昼を皆と食べるのも、この活動のひとつ)

1か月に1回:できたか・できなかったか確認しあう 

一人ずつの目標を出してもらっているで、

明日からの行動で一人ひとり何をしましょうといった時には、もの凄く意識を持つ。 

自分も言っているので、破るわけにはいかないし、辛そうにやっている姿を見ているので、

皆もやらないわけにはいかないし、習慣化した時に気持ち良くなってきている。

Q:変化は見られるか?

徐々にだが、最初は否定した人達もだんだん変ってきている 

一部の部署では、

毎朝“ハイテンションで、全員でハイタッチ”を行っているが、習慣になっていて、ものすごく明るい。でも、逆に、他の部署との距離はあいていく・・・。

原因は、自分がその部署と一緒にハイタッチをしていなかったから、そのように周りから見られる。 

と思い、今は一緒にハイタッチを行っている。

男性は男性、女性は女性でお昼を食べるのが習慣になっている。

その中、皆で仲良くしようと、ある男性と女性が一緒にお昼を食べていたら、ネットに書き込みをされ、結局、男性は男性、女性は女性でお昼を食べる元の形に戻った。

そこで、後日、2人と一緒に食べたが、会社の雰囲気は自分がどう動くかで変える事ができる。と感じた。 

問題がある人とは何十時間も関わって話をするが、この事は、社長は問題がある人たちとは話すが私たち(普通の人)とは話さない。

時間に対しても平等にしなければならない。

目指す会社とは程遠いし、何がどう変わっているか分からないが、

行動ではなく“気持ちでどう動くかが大切”

高度経済成長時代の

・給料が上がる・いい家が買える・いい車が買える、ことだけを求めていた時代とは違い

一人ひとりの価値観、何を求めているのか何を本当に幸せと思っているのか、

時代に一番あっているのは、若い人たちほど、時代にあっているし、一番進化を遂げているのは若い人。

これからの時代、どうしていくかをみんなで考えながらやっていこうという取り組みをしています。 

【モデレーター】

よく言われることだが、7歳違うと価値観は合わないと思ったほうがよく、世代間のGAPがある。

私の年代(60歳前後)が境目で、高度成長時代に理不尽な事を言われても、泣きながら仕事をやってきた“プロジェクトX”の世代。“根性”と“度胸”、で行ってきたマネジメントは、通用しない。 

我々の世代がまだおさまっているので、マネジメントをなかなか変えられない。良き時代でのマネジメントを身に付けた人達がまだまだいる。我々の時代は、合理化、コストダウン、IT化での効率化を徹底してきたので、コミュニケーションが減った。内部統制とかISOとかで、失敗させない仕組みを作ってきたので、チャレンジしない風土を作ってきてしまった。

          無題


毎日のように企業様から相談をもらう。特に、大手企業の方が悩みが深いようだ。

           無題1

次回は、某石油会社の取り組みをご紹介いたします。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の七回目(最終回)として「成長と新しい目標設定」ということについて取り上げます。

環境変化とマネジメント

 今話題になっている「電通鬼十則」を改めて読んでみました。私(58歳)にはすんなりと受け入れられる内容で「なるほど」と感心して読んでしまいました。十則を通して大筋では「何事も夢を持って主体的にチャレンジせよ」となかなか良いことが書いてあります。

問題になっているのは十則の五番目で「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは・・・」という内容です。おそらく、我々の年代以上の人には受け入れられても、その下の年代には違和感があるのではないでしょうか。特に「殺されても放すな」は今に時代にふさわしいとは言い難いでしょう。

電通広報部は「企業風土の検証・改善は重要な課題の一つで、手帳への掲載は取りやめを検討している」としています。

 この電通に代表されるような世代間のギャップが、日々、社会の中で起きています。「団塊の世代」「しらけ世代(捨て石世代)」「新人類世代」「バブル世代」「団塊ジュニア世代」「ゆとり(さとり)世代」と価値観が変わってきているのです。

日本生産性本部の「働くことの意識」調査の新入社員の働く目的の推移では、2000年に「自分の能力を試す生き方をしたい」が「楽しい生活をしたい」に逆転され、その差は開く一方になっています。7年もとしの差があると、価値観が理解できないと言われています。この世代間の価値観が異なる集団の中でどうマネジメントをしていけばいいのでしょうか?

マネジメントが通用しない

 我々の日々の営業活動の中で、私と同じ年代の幹部から最近頻繁に相談を受けるのは「我々が団塊世代からされてきたマネジメントが通用しなくなってきた。社員がどうしたらもっとイキイキと主体的に働いてくれるんだろう」というものです。

 ある大手企業の幹部は「今まで強引にでも腕力でねじふせてきたが、最近では何を言っても動かなくなってきた。もっと現場から主体的に動くやり方がないか」とのことで、現場のヒアリングをしたところ「冗談じゃない。人は以前の半分になり、その上○○活動をしろ、○○の報告しろと、どこに時間があるんですか、やってられません」との反応でした。

 この状況はこの会社特有のものではなく、多くの会社の現状と言っていいでしょう。バブルがはじけてから、グローバルでの競争に打ち勝つためにコストパフォーマンスを上げなければならず、経営側は人員削減とコスト改善に集中し、現場をひと塊(数字)とみて、それぞれの人(個性や可能性)を見ることをおろそかにしてきてしまった、ともいえるのではないでしょうか。

◆今も昔も

 今年のNHK大河ドラマの「真田丸」の策士で名をはせた真田幸村のお父さん(真田昌幸:大群の徳川勢を2度も破った)の遺言が次です。

ワシの策に場数などいらぬ

ワシの策に心得は一つ

軍を一つの塊と思うな

一人ひとりが生きておる

一人ひとりが思いを持っておる

それを夢ゆめ忘れるな

 

 武田信玄の有名な言葉に

「渋柿は渋柿として使え。接木をして甘くすることなど小細工である」

つまり渋柿は渋柿としての良さを生かせ、無理に甘くする工夫などするなということです。

信玄は戦場にいくと気が弱くいつも情報収集ばかりしていて役に立たない武将を後方において裏切りが起きないように見張らせたら大きな活躍をしてそうです。

 真田にしても武田にしても強い集団はリーダーの強いリーダーシップだけではなく、そこにいる一人ひとりをきちんと見てその個性と可能性を伸ばしていることがわかります。

 

◆強い集団とは

 ある高収益企業の工場にお邪魔した時、会社の玄関にかかっていた横断幕の言葉が「私たちの幸せは昨日の自分よりも成長することです」というものでした。これは素晴らしいなと思って工場見学すると、作業中の方が皆「こんにちは」と作業を中断して立ちあがって挨拶してくれるのです。申し訳ないので「挨拶は結構ですので作業を続けてください」とお願いすると「ご挨拶するのは私たちのお給料はお客様から頂くので、お客様がお見えになったらご挨拶しようと私たちで決めたのです」との回答。感動して鳥肌が立ちました。

 強い集団とは、夢(目標)に向かって、それぞれの人がその個性と可能性をフルに発揮して、仲間と励まし合いながら、苦しい試練をポジティブに乗り越えながら、一歩一歩着実に行動し、それが習慣となり、その成長が他の人へ影響して風土・文化となり、次なる目標(夢)に向かっていきます。それが下記にあるような図になります。

 

◆「働く」ということ

7回にわたる「働き方改革」の連載では、この図のそれぞれを解説してきました。これはあくまでも考え方なので、具体的にどうやっていくかはトップの方と十分話をし、その状況とあるべき姿を踏まえて方向性を出していきます。基本的には、やらせ型ではなく、コーチングを織り交ぜながらそれぞれの世代の価値観の中で、本人の主体性を待つやり方です。答えは一つではなく人の数だけある、ということです。

「働く」ということは、試練を克服し、運命を好転させてくれ、成長する喜びを与えてくれます。つまり、一生懸命働くことで「幸福な人生」を送ることができるのです。摩擦を恐れ、孤立し、楽をして生きようとすることが実は「不幸な人生」を送ることになるのです。

私たちも経営コンサルタント会社として、一人でも多くの人に、自分の持つ個性と能力を発揮して一人ひとりがイキイキと働き、顧客に喜ばれ同僚に感謝されるような有意義な人生を送っていただける一助となれるよう、使命感を持ってご支援させていただきたいと思っております。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の7回目(最終回)ですが、7回を通して読んでいただけると「主体的に①夢を持った集団が ②仲間とスクラムを組みながら ③思考を変えて ④自分で考えて、自分で決めて行動し ⑤それが習慣化され力となり ⑥成長しながら次なる目標設定をして強い集団になります」ということになります。

下図の様な順でスパイラルアップして、企業風土・文化を再構築して行きます。



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文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

今回は「働き方改革」の本質の六回目として「行動の習慣化」ということについて取り上げます。

 

◆イチロー選手の習慣化力

今年6月についにイチロー選手が、ピート・ローズの持つMLB通算最多安打記録4256安打を抜きNPB/MLBの通算安打で記録を更新しました。

どうして(メジャーの中では)あんな小さな体で、大リーガー相手にそんなことができたのか。彼もアメリカに行ってすぐは筋力トレーニングなどで身体を大きくしようとして失敗したようです。そしてたどり着いたのは「細かいことを積み重ねるしか頂上には行けない」そのために身につけたのが習慣化です。

 

メジャーに来てから毎日の朝食は弓子夫人がつくるプレーンカレー(具なし)と決まっている、試合の日の集合時間の1時間前に来ておこなうストレッチやトレーニングメニュー、試合後のロッカールームでの1日の振り返りなども常に一定で時間まで決まっています。

 

常にやれることを全てやり準備することで、最高のパフォーマンスを発揮できる自分でいられるようになれば、自分に誇りを持てるようになります。自ずと自分が取り組んでいることも細部までこだわりをもてるようになり、手抜きがなくなるのです。

 

◆習慣のすごさ

イチロー選手が外部環境に惑わされることなく力を発揮できたのは、最高のパフォーマンスを発揮できるための毎日の積み重ね(習慣)なのです。ゴルフの石川遼選手が今年は腰を痛めて休養をしていましたが、アメリカに行って、外国人選手と同じ様に飛ばすためにクラブを重くして腰を痛めたそうです。休養して現在は国内で活躍していますが、シャフトを40グラム(40%)も軽くしたそうです。何かを見つけたのではないでしょうか。イチロー選手の様に外部環境に影響されず自分を見つめてこれから活躍してほしいものです。

 

環境はコントロールできない部分があります。しかし、自分はコントロールできます。その自分のパフォーマンスを上げるために何をすればいいのか、それを目標に新しい習慣をつくっていくことが、環境に惑わされずに自分の最高のパフォーマンスを出す秘訣なのです。

 

◆ストレスに強くなる(セロトニンとドーパミン)

習慣は最高のストレス解消となるそうです。ストレスに強い人なんていないのですが、それから復元できることが大切で、普段からセロトニン神経を活性化する習慣を持っているといいのです。毎日ジョギングやスクワットのようなリズム運動を実践している人は、日常的に復元力がしっかりしているので、ちょっとくらいのストレスに遭ってもすぐ回復できる。もっとも復元力を高める方法は太陽の光を浴びての朝一番のウオーキングだそうです。

 

脳科学的には、新しい目標や習慣を計画する時やその目標に向かって努力している時に脳内にドーパミンが出て、注意力や集中力が出て幸福感を感じるそうです。よくマラソンを続けている人は習慣になるそうですが、ドーパミンが出て心地よくなるので続くようです。

 

実は、私も毎朝、6時31分45秒からテレビのラジオ体操をスタートに、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ストレッチと30分程からだを動かしているのですが、もう習慣になっていて15年も続いています。私の場合はこれで一日の準備ができたという感じです。

 

◆習慣の重要性

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」とはマザーテレサの言葉です。

 

ある思いを実現するためには習慣が大きな意味を持ちます。日々の半分以上は習慣的に行われていると言われています。習慣化されると意志力を使わないので、余力の意志力で新しい習慣化のための力が使え、新しい習慣を作れば作るほど前頭葉が鍛えられて、意志力、集中力が上がってくるのです。

 

全ての行動は、意識、無意識にかかわらず、最初は自分自身が「自ら選択した行動」です。いきなり習慣が出来上がったわけではないのです。それのため、良い習慣を形成すれば良い人生に近づくことができ、悪い習慣を形成すれば良くない人生に転落するわけです。

結局、どうやって生きていくかというのが大事なことで、苦しい中でどう向き合うか、どうやって進んでいくか、その姿勢みたいなものが大切なのです。避けることができない苦しい環境の中で、いかに高いレベルで自分を保つかというのが、大きな結果を出し続けるために重要なのですが、これを生み出すのが習慣化の力なのです。

 

今回で「『働き方改革』の本質」の6回目ですが、6回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて ⑤自分で考えて、自分で決めて行動し ⑥それが習慣化され力となり、強い集団になります」ということになります。

次回は「『働き方改革』の本質」の最終回(7回目)で、「風土・文化改革」というテーマです。

以上

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の五回目として「行動の変化:自分で考え、自分で決めて行動する」ということについて取り上げます。
 

◆頭は臆病

 営業で新規のアポイントを取る時、あれこれ考えると電話ができなくなります。相手は忙しいのではないか、怖い人だったらどうしよう、上手く説明できるかな…、考えれば考えるほど、悪い方のイメージが湧いてしまいます。頭の中を真っ白にして電話番号を押してしまえば、「お会いしましょう」なんて簡単にアポイントが取れるケースがあります。

 「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」。頭で考えていると、どうしてもできない理由をいろいろと考えてしまい、どうしてもマイナスな方向へいってしまう。でも実際に手を動かしてみると、意外と簡単にできることが多い。まず手を動かして考えていることができるということを、体を通して知ることが大事なのです。


◆自分で決める

 ある会社で営業成績の悪い人たちを対象に研修をしたことがありました。

話を聞いてみると皆「この地域ではむずかしい」「体調がすぐれなくて」「仲間の協力が得られなくて」など、できない理由ばかりでした。

 自分の可能性をなくしているのは「おれはこんなもの」「これでいいや」「これ以上は無理」というマイナスな自分自身の考え方です。それを破るのは自分で考えて自分で決めて行動するしかない。但し、最初から難しいことをやるよりスモールステップでやれることから取り組むことが大切だということを、研修を通して知って頂きました。

 メンバーが主体的に始めたことは「水曜日の午前中だけある地域を回わってみます」「くすりをちゃんと飲んでみます」「積極的にこちらから仲間に挨拶します」というものでした。ごく簡単な行動でしたが、手ごたえはあったらしく「よい話がありました」「体調がよくなりました」「職場の人が協力してくれます」と、まずみんなの表情が明らかに変わってきたのです。結果は、半年後このメンバーの方々はトップ近くまで成績が上がったのです。
 

◆脳内物質とマネジメント

 上記の例の様に、主体的に行動すると脳にある「報酬神経群」の働きでセロトニンやドーパミンという物質が出て、心地よいご褒美を感じ、次へのチャレンジに本人を駆り立てるのです。スモールステップで最初はどうでもいいようなことですが、主体的に行動して上手く行くことが、心地よさとなって次の行動へと導いていくのです。

特に、若い人たちは“指示待ち”だったり“事なかれ主義”だったりで主体的に行動できないことが多いようです。上司は安易に指示を出したり、自分の価値観や経験を押し付けるのではなく、失敗をしてもよいくらいの気持ちで、自分で考えて自分で決めて行動させるように仕向けることが重要です。そして上手くいったら褒めてあげる。そして、主体的に行動することが習慣化されることで、本人も成長する喜びを感じてチャレンジするようになります。


◆夢に向かって行動を起こす

 行動を起こすのには、夢や志が必要です。そのために、未来を考えることが大切となります。5年後、10年後、20年後、世の中はどう変わっていくのか。その未来で自分は何をしていたいのか。何ができる人間になっていたいのか。このイメージが湧いて、自分の“やりたいこと”が見つかれば、それが行動の大きな原動力となります。

 未来を夢を持って見ながら、その未来に自分がどんな形で携わっていたいかを考え、そのために今から何ができるのか、どんな努力をしていかなければいけないかを考えた上で、スモールステップで行動することが大切です。


これで「働き方改革」本質の五回目ですが、5回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が②主体的に③仲間とスクラムを組みながら④思考を変えて⑤自分で考えて、自分で決めて行動する強い集団になります」ということになります。

次回は本質の六回目「行動の習慣化」というテーマです。

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の四回目として「思考の変化:人生は考え方次第」ということについて取り上げます。
 

◆病気を通じて学んだこと


今から16年前、医者から言われた言葉です。

「即入院ですが、治療方法がありませんので、後は体力勝負です。頑張ってください」と。

突然の発熱と血尿で、病院に行っての診断結果です。

この日から1週間、40度の発熱と血尿が続き、もうダメと弱気になり、過去を振り返っては「あれがいけなかったかな」とか、先を考えては「死ぬんじゃないか」とか、悪いことばかり考え、恐怖のどん底におりました。

その時、実に不思議な体験をしたのです。

夢うつつのなかで、“神の啓示”ではないのですが、脳に直接テロップが流れるかのように、明らかに誰かが語りかけてきたのです。

要約すると

「過去は変えることができないから悔やんでも仕方がない。未来は思い悩んでもどうなるかわからないだから、今なすべきことを熱心になせ 」。

後で調べると「ただ今日まさになすべきことを熱心になせ」というお釈迦様の言葉と重なったのです。

このことが起きてから気持ちも楽になり、病気も快方へと向かい始めました。

この言葉はキリスト教でもイスラム教でもみられ、宗教の基本の様です。こうして先人は、思考を変えることでよりイキイキと生きるすべを教えてくれているのです。


◆ストレスはからだに悪くない

スタンフォード大学教授で健康心理学者のケリー・マクゴニガルさんが最近発表した話がとても興味深いです。

「ストレスはからだに悪い」と言われていますが、最近の研究でそうではないことが証明されたのです。

アンケートとその後の追跡調査でわかったのは、強度のストレスを感じた人は43%死亡率が上がるのですが、これは「ストレスはからだに悪い」と思っている人たちだけで、強度のストレスを感じていても「ストレスはからだに悪い」と考えていなかった人には死亡リスクの上昇は見られず、それどころかこの人たちは、参加者のなかで、もっとも死亡リスクが低かったそうです。

つまり、ストレスがほとんどない人より、強いストレスを感じながらもそれをポジティブに捉えていた人たちのほうが、死亡リスクが低かったということになります。

実際、医学的研究でも、「ストレスはからだに悪い」と考える人たちがストレスで心臓の血管が収縮するのに対し、この人たち(ストレスをポジティブに捉える人たち)は、強いストレス下でも収縮しないそうです。

また、別の研究論文では、「人生の満足度が高い幸せな人々は、ストレス度がすごく高い」という結果もあるとのことで、ストレスを上手く乗り越えたところに満足があるのも確かな様です。


◆脳の暴走と対策

要は、考え方次第で身体に与える影響が違ってくるということです。

悪い例で言うと、何かの病気になり、悪い方へ考えるとどんどん悪いことが起こるのではないか思ってしまいます。つまり、脳が暴走してしまうのです。そして、そこから逃げようとすればするほど恐怖が襲ってきて、結局、病状が悪化したり、うつ病になったりしてしまうのです。

しかし、その意味付けをしてしまっている自分自身(脳の暴走)に気づく力さえあれば、出来事に心が支配されず、そのとらわれからも離れることができるのです。

そうした心の状態にするための四大ツールが“表情、態度、言葉、思考”です。この四つを意識的に明るく前向きにすることで、「脳は、今は平安が訪れ希望に満ちている」と勝手に思うのです。


◆明るく考えれば運命から愛される

わたしたちは、思考次第で生き方が変わってしまいます。

何か悪い出来事が起きても「大変だ」とおろおろするより、「自分の成長のチャンスだ」と思えるかが大切です。

仕事においても、「奴隷のようにやらされている」ではなく、そこに意味を見出し、主体的行動を起こした方がからだにも良いし、仕事も面白くなるはずです。

善きことを思い、善きことをすれば、良い結果が生まれる。 

物事を暗く考える人間は暗い運命を引き寄せる。天を信じて明るく考えれば運命からも愛され、幸せな人生を築くことができるのです。


今回で「働き方改革」の本質の第四回目ですが、4回を通して読んでいただけると「①夢を持った集団が ②主体的に ③仲間とスクラムを組みながら ④思考を変えて強い集団になります」ということになります。


次回は、本質の五回目「行動の変化」というテーマです。

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男
今回は「働き方改革」の本質の3つめのテーマ「関係性の向上:思い込みの罠」ということについて取り上げてみます。
 

◆妙齢のご婦人達の会話から

よく電車内やファミレスなどで出くわすオバさん3~4人の会話です。

「ねえ、聞いてよ~。A子さんたら昨日B子さんにこんなこと言っていたのよ」

「私も聞いたわ、信じられないわよね~」

「私なんかA子さんにこんなこと言われたのよ~」

「え~!ひどいわね…」

というものです。

話を聞いていると、A子さんはとんでもない人のようにも思えてくるのですが、だとすると、会話の当事者3~4人と、1人のとんでもない人がいる構図になります。

果たして本当にそうなのでしょうか。もしそこにA子さんがいたら、何と弁明するでしょうか。

人は、本当はこうしたいと思う理想の姿があるのですが、自分の努力不足や怠惰が原因でそれがやれなかった(やらなかった)時、自分を正当化するために、他のことの理由や他の人のせいにする傾向が強いらしいです。

先程の女性たちの会話から想像すると、たとえA子さんは正論を話していたとしても、何らかの理由でそれができない女性たちが、A子さんの性格や言動のせいにして、なおかつ同調者(A子さんは悪者)を増やしている、というそんなシーンなのかもしれません。 
 

◆事実と真実

世の中には事実は一つしかありませんが、真実(事実を受け止める人の価値観と感情を含めたもの)は人の数だけあります。

争いは真実と真実のぶつかりあいです。どちらも自分側の立場では「絶対正しい」のです。世の中の争い事はすべてこれだと言ってもよいでしょう。

それを「お前は間違っている」「あなたこそ違う」と言い合えば言い合うほど、感情的になり、「あいつはダメ」「あの人はひどい人」などのレッテルを張って、もう話を聞こうともしなくなります。つまりこれは“思い込み”です。
 

◆自分の世界を狭める“思い込み”

こうして人は“思い込み”の世界で自分の世界を狭めていき、「俺はツイテいない」「環境が悪かった」「上司・会社・友達に恵まれなかった」などと、自分のことはさておき、外部環境のせい、悪さにしてしまいがちです。こういう人は仕事のパフォーマンスも上がりません。
 

◆何を言っているかより、何をやっている人かが大切

仕事ができる人を見ていると、コミュニケーションがよく、不平不満は言わず、人の悪口は言わない、約束を守る、嘘はつかない、進んで嫌な役回りをするなどの共通点がみられます。そうでない人と何が違うのでしょうか。

仕事ができる人は、他の人や全体の状況を偏ることなくはっきりと見ています。他の人をあるがままに、自分と同じ人間、同じ様なニーズや望みを持った人として、まっすぐに見ています。何よりも、自分でこうしたことを実践していることが大切です。

 その人が何を言っているかではなく、何をしている人かが大切なのです。こういう人のところには、一緒に働きたいと人が集まり、おのずとうまくことが運びます。


◆かけがえのない仲間の長所を見る

このように、自分の価値観で人を見るのではなく、かけがえのない一人の人間として見れば、必ず長所や個性に気付けるはずです。

ある大手印刷会社で、営業部門のミーティング研修を実施した時の最終報告会で、各メンバーからの感想発表を聞いたのですが、同じ営業部門の部長と新人のコメントが次の様なものでした。

部長「ミーティング研修前は、A君のことを全くやる気のないチャラチャラしたダメ人間だと思っていました。今回のミーティングを通して彼と話をして、こんなに優秀でポジティブな人間がうちの部にいたと初めて気がつきました」(実際の言い回しはもう少し配慮されていますが、このような意味合いでした)


A君「ミーティング研修前はいつも怒られていてばかりで、部長の話がさっぱり分からずどうしていいか悩んでいましたが、このミーティング研修を通して、部長が言われていることの意味や、私に期待されていることがはっきりとわかりました」と。


研修により人の見かたや価値観が非常に劇的に変わった事例ですが、皆さんの身の回りにもあることではないでしょうか。つまらない“思い込み”でかけがえのない仲間を「ダメなヤツ」「つまらないヤツ」と決めつけていませんか。


◆組織における信頼関係が業績を上げる

とはいえ“思い込み”に気付くことは至難の業です。それは、自分の思考の枠組みであり、そこを自ら越えたり壊したりできないのです。例えば居心地のよい自分の部屋の壁を壊したり、屋根を取っ払う様なことであり、自らやることは簡単なことではありません。ではどうすればよいのでしょうか。

まずは、異質なものを受け入れてみることからではないでしょうか。世の中では「ダイバシティー」と騒がれていますが、これは何も外国人や女性を受け入れようということだけではなく「多様性の受容」ということです。異質なものを取り入れて組織生産性を高めようというものです。まずは先入観なしでいろいろな人の話を聞いてみませんか。


仕事を効率的に進めるためには「組織における信頼関係」といったインフラが不可欠です。お互いがそれぞれの価値観を知り、信頼し合っていることで良い連携がうまれ、お互いのミスを補い合い、そこにそれぞれの経験とスキルも加わって、成功の度合いを大きくすることができます。

企業業績を上げるために経営戦略や組織改革が論議されがちですが、本質的な部分としては、この信頼関係が構築されているかどうかが大切な部分だと思います。人間同士の関係性が深まることで連携が深まり、発想が広がり、モチベーションが高くなります。当然モチベーションの高い連携の取れた組織は、結果として業績が良くなるはずです。


今回のコラム「働き方改革」をシリーズ通して読んでいただけると
1.夢を持った集団が 2.主体的に 3.仲間とスクラムを組みながら働いて強い集団になります
ということになります。

次回は「思考の変化」というテーマです。

 

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

前回、「働き方改革」の本質の一回目として「主体的に働く」ということについて取り上ました。今回は、二回目として「未来を考え、夢をもつ」ということを考えてみます。 

◆夢がない、いまの日本の職場

 かつて、高度成長時代のサラリーマンは、一生懸命働いて給料を上げ、テレビを買い、洗濯機やクーラーを買い、余裕ができたら車もほしい、最後は家が欲しいと、現実的ながらも夢をもって仕事に取り組んできました。そのためには、多少の理不尽なことは我慢していました。これも、そうした夢があったから、同じ夢を持つ仲間がいたから我慢できたのです。

 いまの20代、30代のサラリーマンに聞くと「特に欲しいものはない」「夢なんて考えたこともないですよ」と返事が返ってきます。以前日経新聞の新入社員に対するアンケートでは「できたら働きたくない」と答えた人が29%、働く目的で最も多かったのが「安定した収入のため」で69%という結果だったそうです。仕事を生活の為と割り切る傾向が鮮明になっているとのことです。

 一方、会社のマネジメントも多くは数字だけの目標管理制度で、「あなたはこの数字を達成しなさい」と、プロセスはさておき結果だけの管理をしていることが多いようです。これではマネジメントではなく、放置になってしまっていないでしょうか。

 いままでの管理型経営は従業員に、「あなたを信用していませんよ」というメッセージを絶えず発し続けているようなものです。そして「夢など持たずに間違いなく仕事をしろ」と言っていように思えます。だから言われたことはやるがチャレンジしない社員“ことなかれ社員”が増えているのではないでしょか。

◆思えば叶う

 世の中には奇跡と言われることが沢山あります。昨年の南アフリカを倒した日本ラグビーがその典型です。それを実現した人はみな、長らく夢として持ち、あきらめることなくできると信じてきた人たちです。思っていれば何らかのチャンスは必ず来る。実現へ向けてのアイディアが湧く。誰かがヒントをくれます。常に思っているからそれにつながるのであり、思っていなければ人もアイディアもすべて素通りしてしまいます。

 「それは無理」「やっても無駄」は、すべての可能性を潰してしまう最悪の言葉です。人間の持つ、神様から授けられた個性と能力を発揮するためにはまずは「できる」と思うことです。

◆失敗は成功のもと

 エジソンの「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」という言葉が物語るように、いまの人たちは、上手くいかない方法をあまりにもやっていないのではないでしょうか。情報が氾濫する現代は、事前に情報を得て失敗しない方法、失敗しない基準をつくり出しているので、なぜ上手くいっているかさえも分からなくなっています。

 我々がつくってきた社会は、失敗しない仕組みで成り立っているともいえます。それは、先輩たちが苦しみ、思考錯誤を繰り返して沢山失敗して仕組みができたからです。つまり仕組みはできたが、物事の基準やルールをつくるための失敗を経験させていない人たちをつくってしまっているのです。ボタンを押せば製品ができる。夢も持たず、間違いのない仕事をする。つまり、“ことなかれ社員”をつくってしまったのは、失敗を恐れる私たちなのです。

◆夢は未来にある

 未来を考えるのは「自分のやりたいことを見つけ」、その時代が来た時に“できるようになっている”ことです。だからワクワクするし、ない時間を創って努力が続くのです。最近、参加している田中栄氏が主宰する「未来予測」コミュニティーで、未来を語り、未来をつくる人たちと行動していますが、そこでは誰も“無理”とは思っていません。まだ実現しないけど、必ずできると思っています。良い思いで行動すれば良いことがどんどん起こり、必要な人との出会いがあり、夢の実現性が見えてきます。このコミュニティーでも、夢を持つ人の周りに人が集まり、必要な人が現れ、アイディアが湧き一歩ずつ夢が実現していくプロセスを見ます。まさに奇跡が起こるのです。

◆夢を語ることから始めませんか

 いま会社にとって必要なことは、社員一人一人の個性と可能性を認め、夢を語る風土文化をつくることではないでしょうか。マズローの6段階の生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求はすでに満たされており、これからは認定欲求、自己実現欲求、自己超越欲求が強い時代になっているのです。

 自分のいる会社を通じて自分の個性と可能性を発揮するために未来に向けてどんな努力をするのか、その未来が来た時の成長した自分の姿がどんな姿なのかワクワクしながらイメージする。そして、その実現のために会社や仲間がバックアップする。夢を語る人たちは元気で明るくコミュニケーションが活発になります。そうした風土文化づくりが必要なのではないでしょうか。

“自分の人生の可能性を最大に発揮するための働き方改革”を、いまから始めてみませんか。


次回は「関係性の向上:思い込みの罠」について取り上げます。


 

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男


◆「働き方改革」の本質‐第一回 「主体的に働く」とは
 前回、本コラムで「人と組織の活性化‐働き方改革」について紹介しました。そこで、今回から「働き方改革」の詳細について取り上げていきます。第一回は「主体的に働く」ということについて考えてみます。


◆人の持つ可能性をつぶすもの

高度成長時代を生き抜いてきた我々は、後世に何を残してきたのでしょうか。利益、コスト、効率と血のにじむ努力をしてきたのに、夢のない、やりがいのない社会にしてしまったのでしょうか。

最近、各社からご相談されるのは

「事なかれ社員が増えて困っている。言われたことはちゃんとやるのだけれど、それ以外はやらない」

「新しい事や面倒なことにはチャレンジしない人たちが増えてしまった。これで強い会社になるはずがない、何とかよい方法はないか…」

といったことが非常に増えています。

そうした会社の現場にヒアリングしてみると

「実はこんなことを感じているのですがどうも目立つのがいやで…」

「問題だと思ってはいますが、誰か旗振りがいれば私も参加するんですけど…」「やりたいことはあるんですが、会社から無茶な要求ばかり来るのでやる余裕がないんです」等々

可能性の芽はあるのですが、どうも風土やマネジメントがその芽を摘んでいるように強く感じます。
現場の人たちは「やらなければ」という思いはあるのですが、結局行動には移っていないためにストレスが溜まり、自分をかばうために、出来ない理由を自分以外の上司や職場や会社のせいにして不満を言っている、というのがどうも実態の様です。 


◆自分を殺す凶器(言葉)

「どうせ私はこんなレベルです」

「どうせ俺には無理だ」

これらの言葉は、自分を殺す凶器です。

どんなに能力があっても、豊富な経験があっても、この言葉で自分が死んでしまいます。そして、出来ない理由を他人に向けて、自分は正しいのに、と正当化して、世の中との繋がりを遮断して行くのです。こうした否定的な思い込みで囲ってしまう意識の壁(メンタルブロック)、これが自分の可能性も人間関係もすべてを悪くしている原因であるといえます。

これは、上司やコンサルタントもどうすることもできません。唯一ともいえる方法は、このような思い込み、考えが自分自身をダメにしていることに気付き、小さなことでよいので、自ら考え、自ら行動することなのです。

挨拶や朝の散歩でもよいでしょう。ともかく自分で考え、まず行動してみる。そして習慣づける。こうすることで強固に築かれていた自分を囲っているメンタルブロックが崩れていき、前向きで主体的な自分が戻って来るのです。


◆主体的に考え、行動する風土

「こうしたらいいのに」「自分はこんなことがやってみたい」ということを本当に実行に移していける風土やマネジメントがあれば、人はイキイキと働くはずです。

「あれはやっちゃダメ!」「そんなことムリだろー」と、可能性を閉じ込めていませんか。

「それいいね! 難しいけどやってみようよ!!」「失敗してもいいよ。チャレンジしてみよう!」という風土・マネジメントが、今一番必要とされているのです。

「一日8時間労働制に感じた危機感は、労働時間の不足などではない。働くということが、ただの決まりきった作業になってしまうということだ」とは、エジソンの言葉だそうですが、このエジソンの危機感の様に、私たちは単に作業をする人を増やしてはいないでしょうか。例えば、政府が推進する「働き方改革」も、残業を減らそうとか育児休暇を取ろうとか、本質の部分が抜けているように思えてなりません。

本当に必要なのは、自分の成長や夢のために主体的に仕事に取り組むことです。ドラッカーが言う“ナレッジワーカー(知識労働者)”とは、「自ら考え、自ら決め、自ら行動する人」という意味です。これと対極にあるのが“マニュアルワーカー”、すなわち、指示、命令に従い、マニュアルどおり働く、動く人です。各人がいかにして自ら考え、自ら決め、自ら行動して自分の成長を果たしていくか、現代の労働者の大半を占めるナレッジワーカーの大きな課題です。
 

◆自らの意図を持って行うことで、人は幸福感を得る

幸せを感じるのは、およそ半分は遺伝的による、と言われています。

環境要因(人間関係、仕事、家庭、お金、健康)は10%。それは、人間は我々が想像以上に短期間に自分のまわりの環境変化に慣れてしまうからです。

残り40%は、日々の行動のちょっとした習慣や行動の選択の仕方による。特に、「自分から積極的に行動を起こしたかどうかが重要」なのだそうです。自らの意図を持って何かを行うことで、人は幸福感を得るのです。

そして幸福な人は、仕事のパフォーマンスが高く、クリエイティブで、収入レベルも高く、結婚の成功率も高く、友達に恵まれ、健康で寿命が長いことが確かめられているそうです。定量的には、幸せな人は、仕事の生産性が平均37%高く、クリエイティヴィティは300%も高いと言われています。

脳科学的にも、自分で考え自分で決めることで「報酬神経群」の働きで「心地よい」というご褒美が出るそうです。脳内物質のセロトニンやドーパミンがでることで心地よさを感じ、次なる行動へと駆り立てる仕組みなのです。

ですから、幸せになるためにはまず自分から積極的に行動を起こすことです。
私たちの幸せは、未来に向かって昨日より今日の自分を成長させるために、自分で考え判断し、自分の持つ個性と才能を発揮することです。

次回は「夢」について取り上げます。
 

文責:ジェムコ日本経営 ジェムコ日本経営 人材開発事業部 部長 鳥羽 昭仁


◆昨今の人材、組織活性化に関するお悩み

 人材開発事業に携わる中、日頃経営者、幹部、あるいは人事やHRの部門管理者の方から、人、組織に関わるお悩み、ご相談をいただいておりますが、昨今の企業環境を反映して実に多岐にわたります。例えば…


・技術・技能の伝承、中高年シニア社員の活用と活性化がうまくいかない

これは、団塊の世代の完全退職を迎える2025年問題や65歳定年延長(改正高年齢者雇用安定法)などが背景にあります。
 

・次世代幹部社員(リーダー)、グローバル・中核人材の育成不足

ご承知のようにグローバル経営が加速する環境下、例えば若手社員の内向き(安定)志向の増加、異文化コミュニケーション力の不足、変革推進リーダーの絶対的不足と育成の必要性、これらを踏まえた教育体系の見直しの必要性が背景です。

・多様性、一体性(D&I)への対応、女性社員活躍へのサポート体制の不備

例えば、女性社員の育児サポートや復職に向けた支援と効果的な制度・運用、管理職層のパラダイム・チェンジ、マタニティー・ハラスメントの社会問題化などが背景にあります。

・タレントマネジメント;人材と組織の見える化、仕組みづくりがわからない

人材管理データの蓄積・管理・分析と効果的な活用が求められています。
 

・評価・報酬体系の見直しをどうすべきか?

年功序列、終身雇用の職能資格制度がターニングポイントにあるのは周知の通りですが、最近は「ホワイトカラーエグゼプション法」(年収1075万円以上の高度専門職の勤務形態に対する、時間ではなく成果による賃金決め)の法改正検討なども背景にあります。

・就業形態の変化への対応をどうすれば…派遣(有期)社員や限定正社員の能力測定の基準や諸制度の再構築は…

例えば改正労働者派遣法を受けて、企業はどのように対応していけばよいかなどです。
 

◆「人材」・「組織」・「現場」の3つの開発

 こうした人に関わる悩み、組織の活性化への取り組みへの対応では、「働き方改革~人と組織を元気にする~」との全体観で、便宜上デフォルメして以下の3つの「開発」を基本コンセプトとして展開しています。

・「人材開発」

・「組織開発」

・「現場開発」
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①人材開発

ここでは人事やHR、そういう機能を持つ部門に対して主に教育研修等を提供しています。例えば、「内外のグローバル化対応」としてグローバルマインド醸成、リーダー育成、他階層別研修など。「働き方の多様化対応」としてダイバーシティ対応研修などがあります。 

②組織開発

これはもう少し上位というか大きなテーマです。人材開発の周りにあるような大くくりであり、経営トップ、経営企画、管理部門の管掌役員の方に対する提案になります。例えば、「組織風土」とか「企業文化」の問題や、人を活かすためのいろいろな仕組みづくり、また、どのように適材適所に人を配置するか、その前提としてどんな人材がどのように分布しているのかといったことの見える化、(いわゆるタレントディベロップメント)あるいは、それらに付随する評価・報酬・処遇をはじめとした制度・仕組みをどのように構築していくかなどです。

③現場開発

現場起点での人の活性化、モチベーションの向上、生産性の向上といった、工場長とか営業部門長など現場の第一線のトップの方のお悩みへの対応です。

例えば技能・技術伝承対応として実務ワークショップや伝承者育成、ナレッジエンジニアリング、あるいは実務とマインドの融合(マインドマネジメント)を実施しています。

◆「働き方改革」

 当社は現場での改善・改革指導で成果を出すことが元々強みですが、定着化、永続性のためには人材開発(継続的な人材の育成)、組織開発(風土改革、規範変革)、現場開発が連動して取り組まなければ達成できません。いま、経営者・幹部の方からは異口同音に

・“ことなかれ社員”が増えた。一人ひとりがもっと当事者意識を持って自ら考え、動ける。そんな社員を育成しなければ…。

・社員が活き活きと働ける。仕事を通じて向上しようという気持ちで、わくわく楽しく仕事ができ、生産性や品質も向上する。そんな職場にしたい…。

等々の話題が、投げかけられています。

次回は「働き方改革」の詳細についてご紹介したいと思います。

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